ラジオでメールを読まれたくない人の話
「……ラジオネーム、フルーツ浮かれポンチさん。ありがとうございます。
『ラジオでメールを採用されたくありません。どうすればいいですか?』
うーん、送らなければいいんじゃないですか?」
─ 完 ─
「フルーツ浮かれポンチさん」はいまわたしが考えた架空のラジオネームです。被ってなかったらどっかで使うかも。
まえがき
基本的に、ラジオにメールは送ったほうが良いです。書く手間と選ぶ手間以外のデメリットが特段存在しないため。それはこの記事において最初から最後まで一貫します。
じゃあこの……これは、何?
今回は「送ったほうがいいし 送りたいし 送るけど、べつに読まれなくていい」の話をします。
読まれたくない心理
メール送ってるのに読まれたくない。これはいかに。
これにはまず、聞いている時の立場から入ります。
単刀直入に、「ラジオ聞いてて同じ人ばっかり読まれる」とどうなるか。
だいたいの場合、
このどちらかになります(「なったりします」)。
いずれにせよあまり良くない体験です。
前者については、メールを読むパーソナリティまでも同様に「メール送る人少ないのかな…?」の心配を抱くことがあります。時には本当にメールが足りてなかったりします。これはいけない。
後者については、実際問題ぜんぜんズルくはないんですが、聴く側の印象としてはそうなりがちです。"ズルい"までいかなくとも、「俺も送ってるのになんでこいつばっかり」になるのはよくある話です。「常連リスナーを贔屓してる」みたいな吹聴はこういうところから湧いてきます。
メールを読まれたくない心理は、そういうのをルーツにしています。
すなわち、リスナーとしてこれらの経験があり、「自分が何度も読まれることで他のリスナーをマイナスの気持ちにさせたくない」人がこれに陥ります。
そもそも、それ気にする必要ある?
そう思われる方もいるかもしれませんが、あるところではあるんです。コーナー単位だと「このコーナーフルーツ浮かれポンチさんしか送ってきてないんだけど!」みたいな話はたまによくあります。
総数が少ないタイプだと「同じリスナーが名前変えて何通もメール送った」なんて伝説も、あるところにはあります。
「いつも読まれる方」からすると、1通読まれるために10通書いたり、時間をかけて練ったり、経験と技術に基づいた労力をかけて採用を勝ち取るので、「いつも読まれててズルい」「俺も送ってるのにこいつばっかり」なんてのはお門違いです。そういう意味では、たくさん送る側が気にする必要はないです。何も悪いことしてないのだから。
反面、「送っても読まれない方」からすると、この「こいつばっかり」という”ふて腐れ"が正しいか正しくないかは関係ありません。勘違いだろうとお門違いだろうと現にこの"ふて腐れ"感情は存在するので、「送ってもどうせ読まれない」→「書かない」に繋がります。
つまり、メールが減ります。
メールが減るというのは番組にとっての実害であり、巡り巡っていつも読まれてる人にも損失たりえます。究極的には番組が終わるので。
気にする人が気にするのはこれが理由です。これが、「送るけど読まれないでほしい」という人の心情です。
なぜ「あいつばっかり読まれる」のか
送っても読まれないふて腐れちゃんの方に焦点を当てましょう。
メール投稿初心者といわゆるメール職人の2名が、1通ずつメールを送ったら、当然メール職人の方が採用されやすいですが、これは贔屓でもなんでもありません。技量によるものです。
「構成」「表現」「分量」といった技術から、「この番組・作家・パーソナリティはこういう話題が好き」「そろそろ夏休み放送分の収録」みたいな経験によるものまで。たくさん聴いてたくさん書いてきた人の方が当然に採用され(るメールを作り)やすいです。
ではなぜ贔屓に感じてしまうのか。
このあたり。
本当に、ふて腐れちゃん側の思い込みと認識不足でしかないんです。
ラジオのメールは全てが技術でもないし、全てが運でもないですが、「俺も送ってるのにあいつばっかり読まれる」の人は、技術または試行回数のいずれか(もしくは両方)が足りていなかったりします。
そういった技術の不足や「運でしかないことの認識」の不足により、常連がたくさん読まれることに対して理不尽を感じやすいのだろうと思います。
(ちなみにこの「不足」自体は、"修業が足りん!"というだけであって、悪いことではないです。手の皮剥けるまで素振りしな!というだけ)
そういうわけでどうしても印象として「同じ人ばっか読まれる」になるのは仕方ないです。なんなら「運」を納得しろと言われてもそう簡単に飲み込めませんからね。わたしだって20年近くラジオを聴いてこんな文章まで書いて、頭ではそうと理解していても、不採用が続くと"ふて腐れちゃん"になることもあります。
解決策はあるのか
メールを選ぶスタッフ側で採用される名前のバランスを取ればよいのでは、というのはよく挙がるところです。同じ放送で2回読まないようにするとか、そういうやつです。
"ふて腐れちゃん"の発生はこれで解消できるんですが、これをやっている番組は稀です。あまりやりません。
こんだけラジオの歴史があって、名前で選ぶのをやってないということは、やらないほうがよいということです。もはやラジオスタッフ裏話の定番ネタです、「名前でメールを選んでいない」。
メール職人はメールをたくさん送るし、番組スタッフは常連への肩入れなくメールを選ぶ。いつも聞く名前が読まれる。お前はふて腐れて筆を置く。いつも聞く名前ばっか読まれる。
となると、「あいつばっかり読まれて」を解消するには、「技術不足と運の存在を認識し」「お前がメールを書け」しかないんです。
いやあ、手厳しいですね。
しかしみなさんは幸運です。ここまで読んだということは、「認識の不足」については無くなっているわけですから。あとは「書く」だけです。
幸い、ラジオのメールは技術一辺倒ではないので、数を重ねればいつかは読まれる日が来ます。多少の誤字脱字や日本語の誤りがありつつも、熱量を買われて読まれるメールは数多くあります。ラジオは文芸ではなく、コミュニケーションなので。
「声優ラジオにメールを書こう!」系の話はたびたび盛り上がるため、技術についてはTwitter(X)やnoteにたくさん知見が転がっていると思います。
とはいえ野原に放り投げるのも薄情なので、ここまで読んで頂いたお礼に一つアドバイスを置いておくなら、番組をたくさん「聴く」ことです。
リスナーが聴くことができるメールは、すべて採用されたメールです。当たり前。すなわち、ラジオを聴くだけで目標とする成功サンプルを効率よく摂取できるわけです。聴くべきなのは「読まれてばっかりのあいつの名前」ではなく、「読まれてばっかりのあいつの送ったメールの本文」というわけです。
この記事を読んで、一通でもメール書こうと思ってくれたら幸いです。
あれ?メール読まれたくない人どこいった?
おまけ
ここです。フルーツ浮かれポンチさん。
ここからは思考整理と思考実験のチラ裏なので本当に実用性のないおまけです。連続したツイートだと思ってください。本当はこれのために書き始めたんですが、解決策しょーもなって思ったので隅っこに追いやりました。
言い換えると「わたしがメールを毎回読まれることによって新規の参入を阻害したくない(orリスナーが少ないと思われたくない)んですが、どうしたらいいですか?」ということですが、まあ難しいです。
さんざん書いたとおり、ふて腐れちゃんがふて腐れちゃうのはふて腐れちゃん自身の問題だし、本当にメールが少なくてフルーツ浮かれポンチさんがたくさん読まれているならメール送らないとやばいからです。
前提として、よく読まれてる側がこれを気にするような状況というのは非常に小さい規模の番組です。「パーソナリティーもスタッフもリスナーも全員"常連"として名前を覚えている」ような環境。
『あ、フルーツ浮かれポンチさん。いつもお便りありがとうございます♪』
そういう状況になると、メールと名前にある程度信頼が乗るため、「送るけど狙って読まれない」というのは難しいです。
だからといってこの悩みを抱えた人がとる手段として 「新規に譲るために送らない」 「送る数をあえて減らす」 「メールの質を落とす」 というのが"違う"のはきっとわかると思います。 この話は実話をもとにしているのですが、「毎回メール送る人でいたい」というのもありました。めーちゃくちゃわかります。 実際この規模だとパーソナリティー(すなわち推し)がすべてのメールに目を通せるので、不採用でもメッセージが届いていることには大きな意味と価値があります。
そのためここでは、まっとうなメールを送るという前提を崩さずに、「読まれない」を達成しなければなりません。
めちゃくちゃ長文で書くというのも考えましたが、この規模の常連さんはパーソナリティに愛されているので「めちゃくちゃ熱量あるメールきた!」と採用されてしまう危険性があります。(危険性って何)
ラジオネームをたくさん作るのも手ですが、同じメールアドレスはなりすまし云々の問題があるため非推奨、フリーメールでもアドレス5個も10個も用意するのは大変です。
ふて腐れちゃんを発生させないためには、フルーツ浮かれポンチさんが読まれず、あまり名前を聞かない人が読まれることで解決するので、友人をサクラとして雇ってメールを書いてもらうというのはベクトルの向きは合っています。ただ、毎回はできないですし、番組聞いてないヤツのメールが読まれるのはどこにもプラスがないのでやめたほうが良い寄りです。(番組聞いてるのであればサクラやってないで送れお前)
絶対に読まれないまともなメール。これは思ったより難しいぞ。
メールは送りたい。数字のためにも、自身のプライドのためにも。でも読まれなくていい。読まれたくない。
どうしたものか。おりがみさんは考えました。
ありました。
きました。これです。
☑ 放送で採用されない
☑ メールの質を落とさない
☑ 何通も送れる
生放送であれば「生メールを採用しない番組」である必要がありますが、まあ生メール読まれるのは要求値高いのが明らかなので影響は誤差でしょう。生メール読まない番組や収録放送であれば、テーマメールや季節柄のメールなどはストックされることがなく、非常に高い確率でしにます。
それでも「数字」としてのメール総数からわざわざ外すこともおそらくないでしょう。
パーソナリティが目を通せない可能性があるという点が残り、プライド面は未解決の部分がありますが、採用枠を奪わずに普通のメールをたくさん送ることができるのはこれでしょう。
もしフルーツ浮かれポンチさんのような悩みをお持ちの方がいらしたら、これでひとついかがでしょうか。
***
ただまあ、やっぱりメールはちゃんと送った方がいいです。リスナーの皆様への大切なお知らせがきてからでは遅いんです。
最近わたしは『枯れ木も山の賑わい』と自らに言い聞かせています。どんなに拙くてもどんなに納得いかなくても送信ボタンまでたどり着きましょうね。
おわり
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