マガジンのカバー画像

単発短編小説

5
一話完結の短編小説置き場。
運営しているクリエイター

#お題ガチャ

【短編小説】明日死ぬって言ったらどうする?

「明日死ぬって言ったらどうする?」  その日、私は友人である英生と中華料理屋に来ていた。  目的はひとつ、激辛料理である。  私たちは、定期的に激辛料理を食べる。  それはストレス発散の為であり、互いの近況報告の為でもある。忙しい社会人にとっては、なくてはならない大切な時間だ。  どうして毎回激辛料理かと訊かれれば、答えは単純明快。素面で話すには恥ずかしいけれど、お酒を入れるほどでもない話題に、美味い辛いとひいひい言いながら食べる激辛料理は、思う以上に最適なのだ。  今日も、

【短編小説】世界終焉の、一週間後。

 一ヶ月前、世界終焉の日が全世界に通達され。  二週間前、選ばれた人たちは宇宙へ旅立った。  一週間前、冗談みたいな天変地異に見舞われ。  そうして、世界は滅んだ。  そのはずだった。 「なんで生きてっかなあ」 「そりゃあ、死んでないからっしょ」  世界終焉の、一週間後。  滅んだはずの世界の端で、私は友達と海辺に居た。  ほとんどの生き物は死滅した。一週間前に起きた地震と大雨と洪水と津波と……それから、なんだったか。とにかく天変地異が起き続け、それによって滅んだのだ。  こ