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短編連作小説『透目町の日常』まとめ

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短編連作シリーズ『透目町の日常』をまとめました。基本的には一話完結なので、気になった作品からご覧いただければ幸いです。
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2024年3月の記事一覧

【短編小説】鬱で療養中の「私」が昔馴染みの雪女と雪だるまを作る話

『雪解けのときはまだ遠く』  小学生の頃、雪が降っている日に限り、同い年くらいの女の子とよく遊んでいた。  雪が音を吸収し、世界に一枚布を被せたような静寂さが支配する世界では、私と彼女の笑い声だけが響き渡っていた。雪だるまを作り、氷柱を使ってチャンバラをし、かまくらを作り、雪合戦をした。  彼女は、少し――いや、かなり、不思議な子だった。  烏の濡羽色のような瞳も髪の色も、ただ美しいと思うだけだ。私が不思議に思ったのは、彼女がいつも、こちらが寒く感じるほど薄着であることだ。私