【短編小説】鬱で療養中の「私」が昔馴染みの雪女と雪だるまを作る話
『雪解けのときはまだ遠く』
小学生の頃、雪が降っている日に限り、同い年くらいの女の子とよく遊んでいた。
雪が音を吸収し、世界に一枚布を被せたような静寂さが支配する世界では、私と彼女の笑い声だけが響き渡っていた。雪だるまを作り、氷柱を使ってチャンバラをし、かまくらを作り、雪合戦をした。
彼女は、少し――いや、かなり、不思議な子だった。
烏の濡羽色のような瞳も髪の色も、ただ美しいと思うだけだ。私が不思議に思ったのは、彼女がいつも、こちらが寒く感じるほど薄着であることだ。私