14本目「犯罪都市 NO WAY OUT」【ネタバレなし】
※本文は全て無料です。
※この記事にはネタバレはありません。
「マ・ドンソクが勝つ」ってそりゃ当たり前だろう…?
※愛が溢れて字数が長い!いつもの倍以上はある。ご注意を。
映画についての基本情報
公開日:2024/2/23
監督:イ・サンヨン(韓国)
まえがき(マ・ドンソクと私)
この映画について語る前に、私とマ・ドンソクのこれまでについて語らなければなるまい。(出てくる映画の時系列は、私の見た順に準ずる)
私とマ・ドンソクの出会いは、決して幸福なものではなかった。
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の一作、「エターナルズ」。この映画で彼は、時々ボケるアンジェリーナ・ジョリーの介護役に徹しており、またアクションを重視する作風でもないため、私の目には「太ったデカい韓国人」でしかなかった。その後見せる「包容力」の一端は見せていたが。
次の出会いは「新感染 ファイナル・エクスプレス」。
ここで私がマ・ドンソクに抱く印象は完全に変わる。
この映画は極めてシリアスなゾンビ映画である。ゾンビの身体能力は高く、嚙まれると感染する。その状況にあってただ一人、己の拳でゾンビをなぎ倒していたのがマ・ドンソクである。感染が怖くないのか。その上で主人公を気遣う包容力もまた見せる。「剛腕」「包容力」この2つを両立するマ・ドンソク(以下マブリー)の像は早くも確立されつつあった。
続いて、現状で私が最も愛する韓国映画である「悪人伝」。
刑事と手を組んで殺人犯を演じたマブリーは、本来的である刑事をして無意識に「目上」と思わせる器のデカさと、その殺人犯の顔面を容赦なくへこませる拳のデカさを見せつける。ついでに「食事中に余計な口を利かない」というテーブルマナーも叩き込む。
ここにきて、「マブリー」の名は私の脳裏に深く刻まれた。
そして、このレビュー対象の映画の一作目である「犯罪都市」がやってくる。ここでのマブリーは刑事である。全くそうは見えないが、刑事である。
「何事も暴力で解決するのが一番だ」と暴れまわり、民間人に無茶を言うけど刑事なのである。そのありえなさ、そして相変わらずの剛腕と端々に漂うお茶目さは我々の目を釘付けにして離さない。
さらに二作目、「犯罪都市 THE ROUNDUP」
管轄外のベトナムまで出張っても全く遠慮しない傍若無人の捜査手法。
文字通りの大ナタを振るう悪党相手にも一切の凶器を拒否し、その拳1つで悪党を寝かしつけるその姿は、我々に清涼感と笑い以外の何物も与えない。
その姿を、公式サイトではこう記す。
そう、マ・ドンソク(以下兄貴)は、「MCU」の意味を塗り替え、すなわち「MCUで観たマ・ドンソクはイマイチだった」という私の過去すら塗り替えてしまったのだ。もはや何も言うことはない。
兄貴の映画が公開されるなら、劇場に行く。それだけの話なのだ。
兄貴は当節のアクションスターの中では異色の存在である。
肥満体にも見える巨躯、長くはない足、ボコボコの肌に丸い顔。
しかし、その「拳」にこだわるボクシングスタイル、見かけによらぬスピード感、強烈なキャラクター性、兄貴は紛れもなく当代随一のアクションスターなのである。
本編の感想
本作はシリーズ3作目ではあるのだが、兄貴演じるソクト刑事が異動したという設定の元、人間関係がある程度リセットされている。
途中から見る初心者への配慮であろうか。
しかしシリーズ通してのお約束は全く崩れることはない。
冒頭では兄貴が小競り合いを拳で解決し、最後はチームで乾杯!するフォーマットは完全にいつもの「犯罪都市」。
しかし今作では従来に比べて大きく違う点がある。
スピード感だ。「避ける、殴る、(相手が)沈む」の三拍子が絶え間なく続く。今回は敵組織が2つあることもあって、兄貴の拳の餌食になる雑魚が大幅に増量されている。あまりにも多すぎるためか、兄貴はいちいち手数をかけられない。下っ端に兄貴が書ける手数は1~3発。ストレート1発やワンツー、そこからのフックで名無しの雑魚は床に沈む。簡単3発クッキング。
上映開始から終盤までほぼほぼ全員このパターンなので、「兄貴は4以上の数を数えられなくなったのか」と心配したくらいだ。もっとも、雑魚の数が増えてるのでパンチの総量は変わっていない。過剰なほどだ。
パンチの威力描写が過剰なまでに引き上げられているのも本作の特徴だ。兄貴のパンチだけ露骨に効果音が違う。まるで爆発音。そして雑魚が沈む。吹っ飛ぶ。今回のボスクラスはこのパンチを連続で2桁食らうのだから、そりゃ死に体になるのも当然だろう。
今回は悪役にジャパニーズ・ヤクザがいることもあって、日本刀を使うキャラクターが登場する。青木崇高演じる「リキ」だ。
このリキ、大ぶりなヤクザ剣法に柄打ちや当身を交える結構スタイリッシュな戦い方を見せてくれる。敵対する雑魚ヤクザをバッタバッタ切り捨てる登場シーンは素晴らしい。強者の風格を漂わせている。兄貴と対峙するまでは、だが。
今回の兄貴はもはや大怪獣の域であり、日本刀など圧し折ってしまった。銃で狙われても撃たれる前に懐に潜り込む。椅子で抑え込もうとすると、椅子を貫通して殴り飛ばされる始末。
ダメージを与えたのは車くらいであろう。人間か?
「お前に法は無用だ」だとか、「悪いがもう少し殴らせろ」だの物騒なセリフも相まって、やはり刑事には見えない。未来から来た殺人ロボットの方がなんぼか近いくらいだ。(もっとも、兄貴は誰も全殺しにはしてないが。一応。)
以上、アクション面の賞賛ばかりが続いてしまったが、本作の感想である。
上映後の舞台挨拶(青木崇高氏登壇)では「パート8くらいまで構想があると聞いている」とのことだったので、今後もMCU(マ・ドンソク シネマティック ユニバース)の拡大に期待したい。乾杯!
ペーパーお勧め度
★7(5段階評価)。
観終わって劇場を出るとき、ちょっとガニ股気味になっている自分に気づくだろう。ドスドスと。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?