消費税増税

【※2019年5月13日にFacebookノートに投稿した内容を再掲】


令和元年10月から消費税が8%から10%に増税される予定である。 過去,二度の施行予定時期(平成15年10月,平成17年4月)を延期した経緯もあり,今回は,リーマン・ショック級の出来事が起きない限り実施すると政府も明言している。一方,最近,羽生田自民党幹事長代行が 6月の日銀短観が示す景況感次第で三度目の延期もあり得ると個人的見解を述べたり,これに対して経済界からは, 三村日本商工会議所会頭が短期的な景気の動きを理由に延期すべきでないとコメントしたり,といった報道がなされている。

消費税の税率についてよく聞こえてくるのが,欧州の消費税に相応する付加価値税の多くが20%以上であり,日本は10%に増税してもまだ低すぎるという話。また,今回の増税と一緒に取り入れられる予定の軽減税率は,景気後退を避けるために消費者負担に「色を付けた」ようであるが,これも欧州での「付加価値」の区分けとしての導入されて軽減税率を参考にしているのだろう。しかし,アメリカでの消費税の話が報道で聞こえてこない。なぜか。それは,アメリカでは,消費者への流通の最後の段階で課せられる小売売上税なるものがあるだけで,いわゆる消費一律に付加される消費税なるものがないからなのか。アメリカの間接税の仕組みを報道すると,日本の消費税増税施策に水を差すことになるからだろうか。最近の中国に対する貿易対策=関税引き上げに向かうトランプ大統領の「ビジネス的」言動を見るに,税収不足は国外から徴収し,関税アップ=輸入減となる産業を国内で回復させて国内税収アップ増を見込んでいるのかも。。。そんな単純な話ではないであろうが。

私個人としては,高齢化社会に進む日本は税収確保のために消費税増税をすべきとは思う。高齢化社会では,高齢層への国費負担増と労働年齢層からの税収入減となるのは自明であり,何らかの税収確保を考えなければならない。

但し,今回の消費税増税施策については,もう少し知恵を使ったほうがいいと考える。日本は,概して,諸外国ではどうのこうのとステレオタイプの施策比較議論をするが,独自性があっていいとはず。実際,欧州では1970年前後から付加価値税率を導入している一方で,日本で消費税を導入したのは1989年(平成元年)で,しかも税率は低い。にもかかわらず,(いいか悪いかは別にして)借金しながらでも打撃的な国際信用を落とすことなく国費(予算執行)を維持してきているのも事実なのである。これは,政府として,大きな増税なく頑張ってきた自慢していい話なのでもあると思う。

私が約25年前に生活していた欧州では,既に付加価値税が20%以上あったが,日本に比べて生活用品・食料品の値段がとんでもなく高いといった印象はなかった。それは,課税前の物価,特に食料品は安かったからである。確かに,マクドナルドのビッグマックは日本より高かったのは事実だが,それは外食という「付加価値」なので,それなりに納得していたのも覚えている。

日本の場合,流通の仕組みや生産者までさかのぼって,課税前の物価を下げることは今更できないであろうから,消費者に「日常生活」で高負担を感じさせない施策を抱き合わせる必要があるだろう。その一つが,既に決定している「軽減税率」であるのだが,私個人としては,加えて「物価累進税率」なるものも導入すればいいのではと思う。すなわち,所得税の累進課税制度にならって,軽減税率対象品を除き,購入金額に合わせて税率を上げていけばいいのではないかと。さらには,キャッシュレス精算システムは社会の総括的コスト低減に寄与することから推進するにしても,ポイント還元とせずに,この「物価累進税率」により低額購入については減税すればいいのではないかと。例えば,消費税率を
 ・低額購入:5%(現行より3%減税)
 ・高額購入:15%(現行より7%増税)
と仮に設定した場合,
 ・生活用品2千円×購入回数100回×消費税率5%=税収1万円
 ・ブランド品20万円×購入回数1回×消費税率15%=税収3万円
であれば,予定されている消費税率10%での税収入,
 ・(2千円×100回+20万円×1回)×消費税率10%=税収4万円
と税収合計は同じとなる。「一律」消費税は逆進的に低所得者層の負担が高くなると言われているが,この「物価累進」消費税であれば,概して,低所得者層のみならず国民の多くはブランド品等の高額商品は「めったに」買わないだろうから,多くの国民の消費税「高負担」感覚は,日々の生活の中では緩和されると思う。逆に言えば,高額商品を購入する時は,しっかり消費税をしっかり認識してもらう,すなわち「付加価値」の対価であることを理解してもらうことができるとも言える。「付加価値」とは,何も「価値が少ない=軽減」だけでなく,「価値が高い=加重」ということでもある。

そもそも,諸外国の多くでは,日本ほど,子供がブランド品持ったり,高級外車で格安スーパーに来ることはない。ある欧州の人から「日本人はなんで子供から一般の大人までみんなブランドの『ニセモノ』を持ち歩いてるの?」って聞かれ,「全部『ホンモノ』だよ」と答えるとおったまげてたという笑い話あり。高級なものを持つこと自身,何も悪いことでがないですが,それなりの価値があるということを,グローバルな視点?で認識させることも大事であると思う。

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