龍が如く7外伝 名を消した男

外伝と銘打っているだけあり、龍が如く7と8を繋ぐ作品。

ストーリーは、7で1番盛り上がるシーンへ至るまで、その裏では何があったのかを主人公の視点で描く、正に外伝的な作品。7開発中からあった設定なのかどうかは不明だが、あとから考えられたにしては良く出来ており、破綻もなくストーリーの面白さも相まって、非常に満足度の高い物語であった。しかし、物語が良ければいいゲームなのかというと個人的には、ゲームとしては今ひとつ面白さに欠ける作品であった。
個人的に気になった点をいくつかあげたい。
前提として記載しておくべきは、私の龍が如くシリーズプレイ歴は、龍が如く7のみ、1作である。

まずひとつは、戦闘が爽快感のない無双のようで、中途半端に感じられた。基本は街中でエンカウントから戦闘の繰り返し、エンカウントも街中を歩いているだけで、因縁をつけられ戦闘に入るパターンのみ。戦闘システムもエージェントと応龍を切り替えるのだが、はっきりいって攻撃力の高い応龍で殴っていればそれで進められる単調さは気になる。非常に大味なバトルシステムだったと評価する。

続いて、雑なサブクエスト。サブクエも多少のストーリーがある依頼とお使いクエストのサポートMAPの2種類あるのだが、ほとんどが店でアレを買って来てくれや無くしたものを探してくれ、チンピラに絡まれて困ってるから倒してくれとパターン化されており、単純に飽きる。メインのストーリーがシリアスな分、サブクエはユーモア要素が豊富にあるのだが、そのユーモアが個人的には品がなく、面白いと思えなかった。これは個人の感想によるところが大きいので、私には合わなかったともいえる。
龍が如くはオープンワールドゲームとされているが、そのMAPが海外製のAAAタイトルと比べるとその規模は見劣りする。MAPが広ければ、それだけでいいというものではないことは、その通りなのだが、街中のNPCやビル群に息遣いが感じられなかった。狭くても中に入れる建物が多い、街を歩いている人物に命を感じるなどあれば十分魅力的なのだが、本作においてはいずれも物足りなかった。端的に生きている世界ではなく、ハリボテ感を覚えたのだ。現実世界とのコラボで、店や商品など多数登場するのだが、それがアイテムとしての効果含めて、必然性が無くあくまでコラボしたもの程度にしか存在感がなかった。

以上がプレイしていて、システム、ゲーム性、世界観と個人的に物足りなかった点である。しかし、不満点ばかり書いたからと言って、本作が悪いゲームかといえばそんなことはない。本作の魅力は、先を知りたい、一刻も早く続きをプレイしたいと思わせ、プレイ時間を1時間も2時間も延長させてしまう、そのストーリーにある。詳しくはネタバレになるので割愛するが、敵が味方に味方が敵にと目まぐるしく変わる関係性や、7をプレイ済みなら1番の盛り上がり箇所へどのように繋がっていくのかという期待など、ストーリーは非常に素晴らしかった。プレイ時間も20時間も掛からない程度で非常にコンパクトながら満足感の高いストーリー。声優陣、ゲスト俳優の演技は素晴らしく、今作が初登場のキャラクターを魅力的に描いており、その演技は体験してもらいたいと思う。個人的な総評としては、ストーリーは素晴らしいがゲームそのものには不満点もゼロというわけではない。

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