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チームによって両利きを目指す

 両利きの経営という論がある。

両利きの経営

 新規事業は探索、既存事業は深化、この全くことなるアプローチをバランスよく取っていく必要がある、という話。

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 両利きの経営のいう新規事業の探索にせよ、既存事業の深化にせよ、DXやcovid-19によって前提がアップデートされることによって、状況の確実な度合いは増し、仮説検証とアジャイルなアプローチが不可欠という認識だ。「既存事業は不確実性が低い。だから、仮説やアジャイルは要らない」という話が通じたのは、ビフォアコロナの世界までだ。

両利き

 両利きの経営が今後、さらに期待されるのは想像に難くないが、私自身は、そのもの以上に「両利き」という概念に注目している。

・ウォーターフォールとアジャイル
・レフトウィングとライトウィング
・仮説検証とアジャイル開発
・正しいものを探すと正しくつくる

 一つの専門性でも難しいのに、両方となると言わずもがな。その両利きの困難さたるや、できるだけその方向性は回避しようという考えが頭をもたげやすくなる。「両利きは理想的だが、現実的にはどっちも深まらず、中途半端になる」と。

 ただ、両利きは二項対立の状況を越えていくための手がかりになりえる。結局のところ、どちらか一方だけの専門性で状況が突破できるか、というとそのようなことは少ない。私達が向き合う問題はたいていの場合、もっと複雑だ。両方向をときに左、ときに右と切り替えながら、状況に対処していくことが道を切り開くすべと感じる。これは、長らく右に左に振れながらやってきて、たどり着いた一つの答えのように思う。

チームによって両利きを目指す

 では、実際に両利き化を目指すには? 私はチームをイメージすることがその最初にあると良いと思う。実際のところ、一人の人間が両利き化するのは相当に困難だ。だからこそ、左側を担う者、右側を得意とする者、役割を通じて分担をする。役割を分けた上で、双方がなめらかにコミュニケートできる状態を目指す。

 チームで活動をともにすることで、左側は右を、右側は左を共体験できる。役割を越えて、異なる領域に踏み出すことができる。チームの中なら、適切な支援が得られる。チームは越境のための小さな安全圏だ。

 チームの中が安全圏なのだから、チーム自体は挑戦的でありたい。チームの中も安全圏で、チーム自体もそうであると、やがて学びの頭打ちがやってくる。熟達は遠い。


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