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うれしい気持ちのおすそ分け - チョコねこパン

こういう失敗は、パン作り3年目にして初めて。
なんと塩を入れ忘れてしまった。

塩はパンの素材として欠かせない重要なもの。
味を整えるのはもちろん、パン生地を引き締めて腰のあるパンにする効果、発酵が進み過ぎるのを抑制する効果などがある。

作業時間の短縮のために、前日に前もって粉類を1つのボウルに入れて混ぜておいたのだけれど、塩はイーストと相性が悪いので、作業当日に入れようと別の容器に入れて取っておいたのをすっかり忘れてしまって、塩を入れないまま作業を進めてしまったというわけ。

途中で入れても後の祭りなので、この際塩なしで焼くとどういう仕上がりになるのか確かめてみようとそのままパンを焼いてみた。

仕上がりとしては、塩がないことの影響は特に感じることはなく、焼きたての状態だと味も悪くなかった。ただ、猫の形にしようと耳を作ったりしたんだけれど、どこから見ても「変なツノが生えているパン」にしか見えなかった・・・

ねずみ?やっぱり猫の顔を書いたほうが良かったのかな?

もともと、ある集まりに差し入れをということで作ったパンなので、味に問題もないし、そのまま持っていって皆さんに食べてもらおうと紙皿に出してみたところ・・・

おまんじゅう??

なんだかシワがよってへこんでいる・・・。袋に詰めたからかもしれないけれど、塩を入れなかったことでパン生地の腰が弱くなったせいなんだろうか。

そんな心配もつゆ知らず、みんなは集まってきてパンを手に取っては口に運ぶ。

「わー、おいしい」

口々にみんなそういってくれる。ひと安心。では私も一口。

ん?パン生地の味が感じられない。これも塩が入っていないせいなのか・・・

「パン生地、味がしないよね・・・」
「でもチョコがおいしいから気になりませんよ?」

みんなの表情を見ると、気を遣って言ってくれているのではないことがわかる。自分は、塩を入れていないことでその影響があれやこれや頭に入っているのでそういうところがどうしても気になってしまうんだけれど、そういうことを気にせず食べたら普通に食べられるパンだということ。パン屋さんじゃ絶対売れないけどね。

食パンとかフランスパンだと味気なさが際立ってしまったかもしれないけれど、今回はパン生地にココアパウダーを入れ、フィリングとしてチョコレートも入れたチョコパンだったからよかった。

今日は参加者が少なかったのでけっこう余っちゃうかもなと思っていたら、みんな次から次に食べてくれて、最後に余ったパンも、明日の朝食べたいのでと持って帰ってくれた人までいた。

パンを作ること自体は自分がやりたいことをやっているだけなんだけれど、それを通じて身近な人たちに何か貢献できることはないかと考えてパンのおすそ分けを始めてみたら、そうやって喜んでくれている姿を見ることができて、逆に自分の方がうれしい気持ちのおすそ分けをいただいている。

それが原動力になって、次はどんなパンを作ってみんなに食べてもらおう、そういう気持ちがまた湧いてくる。

次はどんなパンを作ってみんなに食べてもらおうかな。

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