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ずれる思いはパンの形から

「○○さんがチョコ好きらしいから、チョコ入りのパン作って」

○○さんとは、奥様が仲良くしている職場の同僚。
この前の日曜日は、奥様のそんなご要望から、ミニウールショコラロールを焼いた。

パン生地にはココアパウダーを入れ、チョコチップをたくさん巻き込む。少し成形に手間がかかるパンで、薄く伸ばしたパン生地に何本もの切れ目を入れて丸め、輪っかの型に入れて焼くので小ぶりの毛糸玉のような見た目になる。

だから、ウール。

で、焼いてみた結果がこれ。

どこが毛糸玉?虫の群れ??

輪っかの型がやわらかい紙製だったせいか、パン生地の伸びる力に負けてしまってきれいに丸くなってくれず、楕円だったり中にはくの字に折れ曲がっていたりと、見事に個性の集合体のような仕上がりになってしまった。

せっかく会社に持っていくんだから見た目のいいものがいいだろうと、奥様に選んでもらう。

「ほな、これ」

奥様が選んだのは、輪っかの型が足りなくて型にはめずに焼いたせいでまるでフランクフルトかいもむしのように伸びてしまった、理想の形にはほど遠い仕上がりのパン。

なんかおいしそうやったから、という、彼女がそのパンを選んだ理由を聞けば、確かにこれはパンだから、形がどうより、おいしそうであればいいわけで。

作り手の想いと買い手の思いはこんな感じでズレるもんなんだな。

ちゃんと理想的なまんまるな形に仕上がっていればそんな問題は発生しなかったのでは?という正論は言わないお約束で。

私の名誉のために言っておくと、いつもは辛口の奥様からも、これはおいしいよ、とのおほめの言葉をいただきました。

思い通りの形に仕上げられるようになるためには、まだまだ修行が足りんようです。

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