60歳を過ぎた時に

娘をダンス教室に通わせています。そこの先生とこないだ雑談した際に「私なんて仕事(ダンス)と、あとは酒飲むばかりで、あとはなんもないんですよ」と言っていて、「ほか何かされてないんですか」と聞いたら「してないんですよね」と。

それをちょっと困った風に、もっと他になにかやれることあればやりたい、みたいに言ってたのだけれど、世界に対峙する軸としてダンスが据えられているということがとても幸せなことだと思われた。先生はダンスに魅入られダンスを生業とし、きっと酒を飲んでもダンスのことを考えているだろう。好きなダンスを仕事として、相応の苦労はあるだろうが、子供たちにダンスを教えている先生は非常に生き生きと輝いている。


パパバンドは現在仕事の合間にやっており、通常日々は仕事に追われている。追われたくないなーと思いながら、バンドの色々を考える。それが逆にバンドが中心だったらどんなだろうと夢想する。

世間で売れているバンドの皆さんは、おそらく若くしてバンドをこころざし、名曲を生み出し、多くの支持を集めて、結果生業になった。職業になったと言えどもバンドを続けることは大変で、メジャーデビューしたとしてもやめてしまうことなんて数多ある。それでも続けていく中で見えてくる「バンドをやっていくことのいろいろ」が、リアルに「生きていくこと」に直結してきて、しんどくなったりする。

けどけど、少なからず好きなことを仕事にするのは幸福で。ダンスの先生は、ダンスを教えるときはしんどそうに頭をフル回転させて指導しているけれど、そのしんどさは充実に違いない。日々の充実以上に幸福なことがあるだろうか。


と考えると、自分のバンドに対しての思いをもう少し「生きていくこと」に直結させることが肝要かもしれない。自分が60歳を過ぎた時に思い起こすのは、今の仕事のことではなくバンドのことである気さえする。

そんなようなことを酒を飲みながら書いていて、明日になったら何を書いたか忘れているだろう。1週間後にはバンドとしてステージに立ち、そこからまた新たな扉を開くだろう。制作意欲が高まっている。その機を逃してはならない。

(ひさとし)

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