待望の初勝利の裏側 第3節 鹿児島ユナイテッド対福島ユナイテッド
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは!
早くもJ3 2021年シーズンは第3節を迎えました。鹿児島は開幕二試合を1分け1敗でした。決して褒められた開幕ダッシュではないですけども、試合内容自体は悪くありません。なので期待を持って迎えた開幕三試合目の福島ユナイテッド戦を振り返って見ましょう。
▽酒本選手が先発したものの押される前半
試合前の驚きは前回予想通り酒本選手が先発した事です。先週の試合で後半頭から酒本選手を投入してからボールが前進を始めました。そこで今週も相手が前からプレスに来ることが予想できるので酒本選手を先発させたのだと思います。ただ残念ながら前半はその効果はあまり出ませんでしたが。
前回予想した通り福島ユナイテッドは前からプレスをかけます。開幕二試合見れば鹿児島がGKからショートパスをつないでビルドアップすることは明白なので、この前プレスも予想できました。
ですから当然試合の見所は鹿児島のビルドアップ対福島の前プレスということになりました。ただ先ほども話した様に酒本選手を先発させた甲斐もなく、鹿児島のビルドアップはうまくいかず、相手にボールを奪われる場面が多くみられました。オフサイドで助けられましたが、決定的場面も作られていました。
その理由は肝心の酒本選手がビルドアップに関わる場面が少なく、鹿児島は2人のCBでビルドアップするのですが、福島は前から2人でプレスをかけてきます。そのため数的同数になり前にパスしても、福島がマンツーマンでプレスかけてくるのでボールが前進しなかったのです。
できれば酒本選手か中原選手がCBの間に降りてきて、数的有利か状況を作りたかったのですが、その様な場面はあまり見つけられませんでした。
こうして前半は完全に福島のペースで試合が進みます。ところが前半の25分、相手DFの不用意な縦パス(米澤選手がプレスをかけて慌てさせてパスミスをうまく誘いました)をカットした鹿児島のカウンターアタック。米澤選手からの横パスを野嶽選手が素晴らしいファーストタッチでDFのマークをかわし裏に抜けてGKと一対一になったところで、抜かれたDFが後ろからチャージしてPK獲得。
前半は完全な福島ペースだったのですが、幸運なPKを得ました。結果的には米澤選手がこのPKを外して前半は0-0で折り返します。PK外して0-0なので普通なら悔しいところなんですが、前半はほとんどボールが前進しなかったので、0-0でもラッキーくらいの感じでした。
ただ福島も問題を抱えていました。鹿児島に対して前からプレスをかけてボールは奪えるのですが、それがチャンスに結びつきません。福島は高い位置で奪っても、その後の攻撃バリエーションが少なくて鹿児島の脅威にはなってませんでした。ビルドアップの場面でもFWのイスマエラ選手目掛けて放り込むくらいしか戦術がなく攻撃自体には迫力がありませんでした。イスマエラ選手は大きくて高さはあるのですが、数的有利な状況でミドルシュートを狙うなど、あまり判断がいいとはいえませんでした。ヘディングでは脅威になっていたのですが、マッチアップしていたウェズレー選手がほぼ完封していました。
となると後半も引き続き鹿児島のビルドアップ対福島の前プレスからのカウンターとなるのは明白でした。そしてその戦いに勝利したのは鹿児島でした。後半開始直後の46分。後半開始直後からGKの大西選手がビルドアップに参加します。ビルドアップの場面でCB二人とGK大西選手で数的有利を作れた鹿児島は横パスをつないで、フリーになった大西選手が相手DFラインの裏にロングパス。高い福島のDFラインの裏にボールが出ます。そのボールに対して米澤選手が裏に抜け出しGKと一対一になり落ち着いてゴールを決めます。
福島が前からプレスをかけると中盤に広大なスペースができるのでDFラインを高くします。すると当然DFラインの裏に広大なスペースができるので中西選手の素晴らしい判断とロングパス一発で裏に抜けて先取点が取れました。試合後の米澤選手のインタビュー聞くと監督の指示というよりは選手同士で話し合ったと話してましたね。
GKの大西選手がビルドアップに絡むようになり、数的有利な状況を作り出せた鹿児島は相手FWのプレスをかわして中盤にまでボールをつなぎ始めます。そうすると酒本選手の創造性が活かされて、相手の高いDFラインの裏に浮き球のパスを供給しはじめます。先制点の4分後、50分に先制点の様に高いDFラインの裏を鹿児島が攻めます。
酒本選手が前プレスをかける福島の選手の頭の上を越えていく浮き球のパスでDFラインの裏をつきます。ボールに追いつく牛之濱選手がボールに寄ってきた萱沼選手にダイレクトでパス。さらに鹿児島の選手がラインの裏に抜けようと縦に走ったので福島のDF3人は全員ボールサイドに寄ってしまいます。
その時、福島のゴール前には米澤選手がひとりフリーで残っており、その米澤選手に萱沼選手がボールをキープしながらターンしてその米澤選手に横パス。そのボールを米澤選手がダイレクトでカーブをかけてシュートして追加点を取り2-0となります。
GK大西選手がビルドアップに絡んで、数的有利になりポゼッションが安定したことにより鹿児島はこの後も続々とチャンスを作れるようになります。しかも裏を取られるのが怖い福島のDFはラインを高くすることができず、さらに疲れてきて裏を取られた場合に全力で戻れない判断もあったでしょう。そうしてできた中盤のスペースを鹿児島が使い始めて優勢に試合を進めます。
ただ鹿児島も何回かラインの裏を取られる場面があり、そこは要改善点だと思いました。特に後半イスマエラ選手にDFライン裏に抜けられGKと1対1になった場面は絶体絶命のピンチでした。しかしここは大西選手が絶妙のポジションをとり、簡単にはシュートを打たせず、最後まで動かずにイスマエラ選手が股抜きを狙ったところをブロックしてこのピンチを防ぎました。これは試合を決定づけた素晴らしいプレーでした。ここで1点返されていたが福島は一気に勢いづいてきますからね。
こうして後半も何度かピンチがありながらも防いだ鹿児島は2-0で今シーズン初勝利を飾ります。ただ快勝だったのですが、正直前半に1点や2点取られていてもおかしくなかったですし、そうなると試合展開はまったく違っていたと思います。単純に福島の攻撃のバリエーションのなさに助けられたと思います。
これで開幕3試合で1勝1敗1分けとなりました。パパス監督が宣言していた開幕ダッシュは失敗しましたが、プレーしている内容は悪くありません。鹿児島にはいい選手が揃っているので、組織的にプレーできれば大きなポテンシャルはあると思います。ただまだチームができてから僅か数ヶ月ですから、うまく行ってない部分も多いです。
これからもっとチームとしての戦術ができてくれば、もっといい試合ができると思います。ただ次の試合も相手チームの前プレス対鹿児島のビルドアップという構図は代わらないでしょうから、心臓に悪い試合が続くことになりそうですね。
次の試合は一週空いてYSCC横浜とのアウェー戦になります。横浜だったら、自分も見に行けるかな。
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