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第16節 讃岐対鹿児島 晴れ時々くもり

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは。仙太郎です。約1ヶ月ぶりのご無沙汰です。

7月に上野新監督が就任して、就任直後に1試合だけして即オリンピック休み期間に入りました。
これは鹿児島にとっては超ラッキーでしたね。新監督が就任してもすぐに、新しい戦術が身につくわけではありません。特にシーズン中ですと、試合のあとは休みがあり、リカバリーの日があり、試合前日も軽めの練習しかできないとか、本格的な戦術練習って週のうち1日か2日位しかできないんですよね。しかも一回の練習は1時間30分とか2時間なので、一回の練習でできることも限られている。定期的に試合を重ねながら、新監督の戦術と身につけるのは、想像以上に難しいのですが、なんと鹿児島に新監督がきて1ヶ月以上、リーグ戦が中断されるわけです。これを超ラッキーと言わずして、なんと言うのでしょうか。上野監督、就任後最初の試合は、これまでとスタメンも大きく変えずに臨みました。これはまだ就任後、数日しかたっていないので、上野監督自身がまだ選手の特徴を掴みきれてなかったから、無難にそれまでの選手起用を継続したのだと思います。

そこで1ヶ月のリーグ戦中断期間を経て、どう鹿児島のサッカーが変わったのか、そこがこの試合の大きなポイントでした。
そして先発メンバーに変化がありました。

まずはシーズン前半戦、鹿児島のキーマンのひとりだったCBの田辺選手がボランチの位置に上がりました。これは田辺選手は元々ボランチの選手なので、驚くことではないのですが、前半戦の田辺選手は攻撃でも、ビルドアップの局面でも、主部の部分でも素晴らしいプレーを連発しており、今年始めてCBをプレーしたとは思えないほどのプレーでした。これも前監督のパパス監督が目指すポジショナルプレーには優れた戦術眼を持ったCBが欠かせないとの思いからの抜擢だったと思います。そのキーマンの田辺選手の代わりにCBに入ったのが今年、広島から期限付き移籍してきたイヨハ 理(おさむ) ヘンリー選手です。

この目的は明らかでイヨハ選手のほうが10cmの高く、CBに欠かせないヘディングの強さを選んだのだと思います。実際、田辺選手がヘディングに弱いわけではありませんが、ウェズレイ選手がサイドに引き出されたあとのゴール前に弱点があったのも事実です。

この試合では、ビルドアップ時には田辺選手が下がって、両CBの間に入って関与することでビルドアップの質を担保していました。

そしてもうひとりセンターFWにこれまで起用されることが多かった萱沼選手ではなく、薗田選手が先発しました。萱沼選手はどちらかという下がってきて、ゲームの組み立てにも絡みながらゴールを狙うタイプのFWです。薗田選手も下がってくることはあるのですが、萱沼選手よりはプレーエリアが前だと思います。つまり上野監督はFWに下がるより前でプレーしてほしいと思っているかもしれません。

あとは両SBの二人が変わりました。右SBの野嶽選手はJ1へ移籍(おめでとうございます!)したので、その代わりにフォゲッチ選手が先発します。左のSBは衛藤選手が先発することが多かったのですが、この日は砂森選手が先発しました。

先発選手がかなり変わった鹿児島でしたが、それがプレー内容にどう影響したのか、1ヶ月の中断期間中に上野監督が目指すサッカーがどう鹿児島を変えるのかが楽しみな試合前でした。

全体的な印象は最後に述べたいと思います。ではまずは得点シーンを見ていきましょう。最初の得点は前半の早い時間13分に五領選手のゴラッソから生まれます。これはもう五領選手を褒めるしかない得点でした。最初ボールを持った五領選手は相手DFラインの裏に(米澤選手に)スルーパスを出そうとしたんです。でもそれをキャンセルして中原選手へのパスを選択します。そしてその中原選手からのリターンパスを受けた五領選手は、もう一度イヨハ選手へパス。イヨハ選手がツータッチで五領選手にパスを返して、フリーの五領選手が見事なシュートを決めました。

ワンツーパスの練習のような、完全に崩した見事なゴールでしたね。裏に抜けようとする米澤選手に相手DFがついていき、次にそのDFがイヨハ選手をマークしたので、元々その選手がいたスペースが空いていて、そのスペースを五領選手が使ってのゴールでした。五領選手が見せたプレーをキャンセルするのって、かなり難しいんです。特に相手ゴール前ではスペースも時間も限られるので、その判断が素晴らしかったと思います。

1-0の鹿児島リードで前半終了かと思われ始めた前半39分に今度は讃岐にゴラッソ返しを食らうことになります。速攻を受けますが、相手のプレーを遅らせて鹿児島の選手も人数的には揃ってたんです。ただ多くの選手がPA内まで下がって(約7人)しまって、PAの前に選手が足りなく(2人、ひとりはFWなので前に残っています)なります。そうするとそこでプレスが掛けられずにボールを回されます。最後は鹿児島の左サイドからセンタリングされるわけですが、ここでプレスに行った米澤選手も深いポジションからプレスに行っているので、相手との距離を詰めきれてなくて、相手のボールホルダーにはあまりプレッシャーが掛かっていません。その状態で逆サイドへセンタリングをあげられます。

この時、得点者をマークすべき五領選手はボールを見てしまい、後ろに讃岐の薩川選手がいるのは見ていたのですが、ポジションと体の向きが悪く、走り込まれたのに気がつくのが遅れました。さらにそのセンタリングに、ゴール前にいた相手の選手がヘディングに行こうとしたので、それにGKの大西選手が反応してしまい、動きが止まってしまいました。ちなみに相手がヘディングするときにGKが動きを止めること自体は悪くはありません。ただこの時相手の選手はヘディングできずにボールはファーサイドに流れていきます。このボールに五領選手の裏から走り込んできてた讃岐の薩川選手がダイレクトで合わせて失点してしまいます。大西選手も一度相手選手のヘディングに引っ張られてしまっていたので、これには反応ができませんでした。

これで1-1で前半を折り返します。そして後半79分に決勝点が生まれます。右サイドから山谷選手がボールを持ち込み、PA内にいた交代出場していた秋山選手にパス。これを受けた秋山選手は巧みな切り返しで相手選手のバランスを崩し、深い位置に侵入します。そこから強いセンタリングに中に入れうと、詰めていたなんとSBの砂森選手が合わせてゴールしました。秋山選手はこの決定的なプレーだけでなく、ゴール前につながるボールを前進させる場面でも、ワンタッチのパスでゲームを組み立てに関与していました。この得点の70%は秋山選手のおかげと言っても間違いないと思います。

そんなわけで、2-1で後半の開幕戦を勝利したのですが、手放しでは喜べないなと思いました。というのも前半戦の課題だった、ボールをポゼッション中にボールロストして、相手に速攻をされるという課題が解決されていなかったからです。実際、前半終了間際の讃岐のゴールは素晴らしいゴールなのですが、その讃岐の攻撃の始まりは、酒本選手の簡単なトラップミスからのボールロストなんです。個人の選手を責める気持ちはないのですが、酒本選手が相手からプレッシャーも受けない状況でのトラップミスが相手FWへのパスになり、そこから攻撃を仕掛けられた中からの失点でした。

これ以外でも簡単なボールロストから速攻を仕掛けられる場面は多々ありました。ただ相手の攻撃のクオリティが低かったので、失点しなかっただけです。ボールを持って主導権を持って攻撃するタイプのチームの場合、このボールを失ったあとにいかに早くプレスが掛けられるかというのが一番のキーになります。そうでなければ得点は多いけど、失点も多いという戦い方にならざるを得ません。実際鹿児島の得点数は19点で、失点数は18点。ほぼ同じです。2位の熊本の得点は鹿児島と同じ19点ですが、失点は13点です。これが鹿児島の課題で、これは前半戦の課題というよりも、昨年以前からの課題なんですね。

これを解決するには、ある程度ポジションを固定して戦うしかないのですが、この試合でもポジョションが頻繁に変わる場面が見受けられました。もちろんポジションチェンジ自体が悪いわけではないのですが、それによってポジションのバランスが崩れて、ボールロストした時のプレスの掛かりが悪くなってしまうんですよね。

もちろんたったの1ヶ月ですべての課題が解決できるほど、サッカーは簡単ではありませんし、これからも後半に向けて徐々に立て直して行くしかないのですが、このままだと後半も勝ったり負けたりを来る返し、中団から抜け出せないと思います。

ネガティブなことばかり話しましたが、そればかりではなく、もちろんいい点もありました。最後の崩しのクオリティは上がっていましたし、特に中断期間中にJ2の新潟から育成型期限付き移籍してきた秋山選手のクオリティには唸らせれましたね。ワンタッチで簡単にプレーするときもあれば、サイドチェンジもしたりとプレーの幅が広く、プレービジョンを持ったいい選手ですね。このまま鹿児島に欲しいくらいです(しかもまだ20歳!)。特に最後の決勝点の場面は、ほぼ秋山選手がひとりで崩してますからね。次の試合から先発しても驚かないですね。とういうか先発させてよって感じです。

J3は今年、J2からの降格がなかったことでチーム数が少なく、したがって試合数も少ないので翌週はお休みになります。次は11日土曜日、ホームの岩手戦になります。

「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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