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構造的問題は構造を変えないと解決しない 第16節 鹿児島対長崎

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは仙太郎です。

前節、アウェイ清水戦で大敗した鹿児島ユナイテッドFC。
ホームに長崎を迎えた試合を振り返ります。

鹿児島ユナイテッドFC対Vファーレン長崎 スターティングメンバー
清水戦から3人メンバー変更。渡邉、千布、田中選手が外れ、星、中原、鈴木選手が入りました

いつも順を追って試合を見ていくのですが、シーズン初の3連敗したこともあり、いきなり核心に入っていきたいと思います。

今シーズン、1試合を除いてすべて先制点を取られています。さらに失点の数も多くなっています。
じゃなんで?という疑問がユナサポさんの頭にあり、ずっとモヤモヤしているかと思うので、そこを掘り下げていきたいと思います。

私の考える鹿児島の問題点は大きくふたつあると思っています。
(本当はもう少しあるのですが、そちらはまたの機会に)

6分 鹿児島がボールロストして長崎に縦パスを入れられた場面。鹿児島は前に選手が多いので、後には選手が少ない。この場面でも3対2の数的不利な状況。
この時は井林選手の1対1の素晴らしい対応で失点は防げたが、この時もマテウス選手がフリーで走り込んでいるので、パスを出されていれば失点している場面

まずひとつめは攻撃していて、ボールを奪われた局面になります。
いわゆるネガティブトランジションですね。
鹿児島のボール保持時の特徴は、SBが中に入り高い位置をとり、時には相手DFライン裏を狙う部分にあります。なので長崎戦でもセンタリングに外山選手が競る局面が何回もありました。
よって前線には人がたくさんいます。

しかし前に選手が沢山いるということは、後にはいないということです。
つまり攻撃時にボールを失うと、フィルターを掛ける人がいないので一気にボールを前進されカウンターを受けて、フィニッシュに持ち込まれて、前線に強力な選手がいれば即失点となります。これが長崎戦で起こったことです(長崎戦だけではありませんが…..)。

9分 鹿児島がロングボールからボールを失った場面。前後が間延びしてプレスが掛からず、できた大きなスペースでマテウス選手にパスが通る。マテウス選手は本当にライン間で受けるのが上手かったです
マテウス選手のすごいのは、逆サイドが見えてない体の向きをしながら、見ててパスを出せる点になります。この時、エジガル・ジュニオ選手が斜めに走り、それに岡本選手がついていくので、逆サイドに大きなスペースが生まれ、そこにパスを出します。このエジガル・ジュニオ選手のフリーランニングも見事でした
ただこの時、パスが出された瞬間に方向転回した岡本選手がボールに向かいます。ただ一瞬間に合わずマルコス選手にゴールを決められてしまいますが、普通のCBなら諦めるか、間に合ってないので素晴らしいプレーだったと思います

そしてもう一つがボール被保持、つまりボールがないときの守り方になります。
鹿児島は前からハイプレス掛ける場面が多いのですが、相手陣内ではオフサイドがないので、選手が前からプレスを掛けに行くと当然ながらDFとFWの距離が広がり、大きなスペースができます。
そこで前からプレスに行って相手がボールを蹴ってくれればいいのですが、J2ともなるとCBも上手くて簡単に剥がされて、大きなスペースにいる相手選手にパスされて、大きく前進されてフィニッシュにまで持ち込まれ、以下同文となります笑。

14分 星選手からのセンタリングの場面。中央の鈴木選手が空いているスペースを認知して走り込んでヘディングシュート。このスペースを認知する能力は鈴木選手の優れたところです。たまたま偶然にボールが来てヘディングシュートしている訳ではありません。ただこの時はGK原田選手のビッグセーブに防がれます

またこの日はビルドアップにも問題を抱えていました。
前半は2CB対ツートップの状態でビルドアップを開始することが多く見られました。
ただこれだと数的同数なので、安定したビルドアップが難しくなります。

それでも岡本選手がボールを持ち、縦パスを狙いますが長崎は442でコンパクトにしてスペースを消してくるのでパスの出しどころがありません。とするとライン裏にロングボール蹴るのみが選択肢となります。
しかしロングボールを蹴ると、前後のライン間が間延びして、即プレスができない(先制点を取られた場面)。
結果的に空いたスペースを使われてカウンターを受けますし、相手ボールになれば強力なアタッカー陣の攻撃をうけることになります。

20分 長崎がセンタリングする場面。鹿児島が4バックなので相手が3人送り込んでくると、逆サイドの一人が余ってしまいます。この時は五領選手の戻りも間に合っていません。ボールサイドでは外山選手が1対2の対応を強いられているのでボールにプレスが掛かりません

普段は山口選手が降りてきてプラス1でポゼッションを安定させるのですが、この日はベンチ外。
前半は藤村選手はどちらかというと相手FWの裏でボールを受けようとしていました。これが監督の指示か本人の判断なのかは不明です。

ただ後半は藤村選手が降りてくる場面増えて三人でボール保持できたので、ビルドアップが安定しました。
田中選手が入ってからは彼もビルドアップに参加したので、相手のツートップに対して4対2を作れて、さらにビルドアップが安定しました。そして、そこからサイドチェンジが出て1対1の局面を作り出せるようになりました。ただ相手のSBが強くてチャンスは作れませんでしたが。

27分 藤本選手のヘディングシュートの場面。この時はDFの後にいてマークは外せてはいるのですが、矢印のように前に出て受ければ、決定的なチャンスになったと思います

ではどうすれば上記の問題を解決できるでしょうか。
解決策のひとつは、ハイプレスをやめてミドルプレスすることです。
するとライン間は狭くできますし、裏のスペースも限定できます。

その状態で、ボール保持時にはゆっくりボールを持ちポゼッション時間を増やし、相手の攻撃時間を減らす。相手の強力なアタッカー陣もボールがなければ怖くありません。

そしてSBを前線に置かないで、相手FWの後ろにポジションし、ビルドアップのサポートすると同時に、被カウンター時の防波堤、フィルター役をすると今よりも被カウンター時の守備は安定します。

35分 鹿児島が前プレスからボールを奪取して、藤本選手がセンタリングする場面。この時もゴール中央で鈴木選手が空いているスペースへフリーランニング、相手DFを引きつけスペースを作る。そのスペースに裏から走り込んだ福田選手がフリーでヘディングシュートするが、GK原田選手の見事な飛出しで防がれる。原田選手はとてもクオリティの高いGKでした

もう一つの解決策は、4バックを全部CBにすることです。左SB 岡本選手、右SB 広瀬選手にして、ビルドアップ時には中に入れると守備力は格段に向上します。またこうすることでセットプレーやサイドからのセンタリングをファーに蹴られたときに高さ不足でやられる回数も劇的に減ると思います。もちろんCBとSBは振る舞い方が違うし、ボランチの位置に入るなら適切なトレーニングをする必要はあります。

こうすれば攻撃力が落ちるかもしれませんが、守備力は格段に向上すると思いますし、慣れるに従って攻撃力もアップすると思います。いい攻撃はいい守備からが大原則ですから。そして後半になり攻撃的に行きたいときは野嶽や外山選手を入れるというオプションもできると思います。

58分 長崎のカウンターの場面。マテウス選手がボールを保持している。この時も体の向きは左を向いているのですが、ちゃんと逆サイドのスペースと上がってくる味方を認知していてパスを出す。この時も鹿児島は前に選手が多くいて、この後にはCB二人しか残っていない。
この時も3対2の数的不利な状況。この後エジガル・ジュニオ選手が急激にスピードダウンして井林選手のマークを外してパスを受けます
エジガル・ジュニオ選手はシュートを打ちたかったのだと思いますが、井林選手がうまく対応して打てず右サイドのマルコス選手へパスを出す。この時左サイドのマテウス選手へパスを出されていれば決定的なチャンスになっていた(最終的にはマテウス選手に決められますが)。マテウス選手のすごいところはパスも出せるけど、出した後にもう一度スペースに走り込めるところです

更にもう一つのオプションは5バックにすることです。こうすればWBを高い位置に上げてもボランチ2枚を残していれば5人で被カウンター対応ができます。

とにかく先制点を与えなければ、安定した試合展開もできますし、最悪0−0で引き分けの勝ち点1も得られる訳ですからね。しかも格下の鹿児島に対して後半途中まで0−0なら、焦るのは相手チームです。

もちろんこれをしたからと言って、勝てる保証はありません。J2のアタッカー陣は強力ですからね。実際、長崎の外国人選手は上手くて速いだけでなく戦術理解度も高い選手でした。さらに交代でSBのモヨ選手、FWファンマ選手が入ってくるのですから、予算の違いを見せつけられます。ただ対策すれば、今のように失点が多くて大敗することはないでしょうし、接戦にすることは可能になると思います。

そして上位陣から勝てないまでも勝ち点1を奪い取ることが残留に向けては重要ですし、それなしには残留することはできないでしょう。

72分 鹿児島の攻撃の場面。藤村選手がマテウス選手のプレスをかわし、前を向く。この時も長崎は左右はコンパクトなのだが、藤村選手がフリーなので、DFラインを上げられない。そのできたスペースで鈴木選手が縦パスを受ける。
鈴木選手がパスを受けターンして藤本選手にパスを出し、決定的なチャンスになるが、トラップが少し大きくなった瞬間にGK原田選手に詰められてシュートできず。理想的には藤本選手は赤い点線丸にいれば、もう少し容易にシュートに持ち込めた

今の鹿児島の問題点は、選手ががんばっていないとかではなくて、構造的問題なのがおわかりいただけたと思います。構造的問題は構造を変えないと解決できません。そしてそれができるのは監督だけです。

こちらが私が考えた鹿児島ユナイテッドFCの課題と解決策になります。
これ以外に解決策はあるかもしれませんし、これ以上の創造的な解決策を見せてくれることを期待したいです。

次節の藤枝戦は順位も近いので負けられない試合になります。

私も現地に応援に行く予定です。
現地で一緒に熱い応援をしましょう。

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「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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