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勝たなければならない試合を落とした鹿児島 第22節 福島対鹿児島

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは、仙太郎です。

上野監督は先発メンバーを先週と二人代えてきました。CFWに山本選手に変わり萱沼選手を、右のウィングのポジションに三宅選手を起用しました。萱沼選手は先週交代で入ってから好プレーを見せましたし、三宅選手はテクニックがあり局面をひとりで打開できる選手です。つまり中盤より後ろ(プラス米澤選手)は変更なしということで、現時点ではこのメンバーが上野監督にとっては優先度が高いということがわかリます。

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現時点ではCFWは萱沼選手が第一のチョイスだと思います。それはこの後でも述べますが、彼は味方のためにスペースを作る動きもできますし、下がってきてビルドアップに絡むこともできれば、最後のスルーパスを出すこともできます(当然得点をすることもできます)。

また一度決めたプレーをキャンセルできるのも素晴らしいと思います。プレーのキャンセルとは聞き慣れない言葉かもしれませんが、サッカー選手はボールを受けて周りを見て、どこにスペースがあるのか、味方がいるのかを見て、どこにどういうプレーをしたらいいのかを一瞬で判断して決断し、プレーします。プレーのキャンセルとはこの一度決めたプレーを止めて、違うプレーを選択することになります。これ口で言うのは簡単ですが、実際選手は相手もいて時間も限られるなかでプレーしているわけですから、かなり難易度の高い技術になります。これができるところが萱沼選手の一番のストロングポイントだと思います。

となるとあとは右のウィングになります。最近は山谷選手が選ばれていましたが、今回は三宅選手が選ばれました。彼の突破力に期待したのだと思います。

試合開始から先週の横浜に引き続き前からプレスを掛けに来る福島ですが、今週の審判はきちんとファウルを取ってくれたので、決定的な場面を作られることはありませんでした。

ビルドアップの局面でパススピードが遅かったりして、ボールロストし、ショートカウンターを受ける場面はありました。ショートパスをつないで攻撃する鹿児島にとって、このショートカウンターをゼロにすることは難しいと思いますが、もう少し数を減らさないと失点の確率は高くなります。今の所相手選手のクオリティに助けられているだけです。

ボールを持つ鹿児島に対して、カウンターを仕掛ける福島という状況が続く中、前半26分に中原選手の先制ゴールが決まります。八反田選手からの素晴らしいスルーパスが米澤選手に通り、一瞬で相手のMFのラインを突破して、PA近くで3対4の状況を作れたこのパスが先制点のキープレーとなりました。

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中には萱沼選手と三宅選手がいて、萱沼選手が裏のスペースへ抜けよう(赤の矢印)として相手のCBのポジションが下がります。その空いたスペース(青の円)に後ろから中原選手が入ってきてシュート。少し浮いていたのと左足だったので簡単なシュートではなかったですが、見事なシュートでした。

前半は鹿児島のポゼッション率が55%と上回りましたが、シュートは鹿児島の5本(枠内 3本)に対して福島は4本(枠内3本)と鹿児島がいつものようにボールを持つ時間は長いですが、それが(リードはしていましたが)結果にまでつながっていない状況でした。

福島は良くも悪くもトカチ選手次第ということで、組み立てにもフィニッシュにも絡む大黒柱でした。彼をどうマークするかが鹿児島の後半の課題です。

そのまま後半に突入すると今度は徐々に福島が主導権を握り始めます。特に鹿児島の左サイドを使われることが多く、押し込まれる時間帯も増えてきます。ボールを保持しながら攻撃する鹿児島の場合、両SBが高い位置を取ることになるので、ボールをロストすると、SBの裏のスペースが空いて使われることが多くなります。

ただ福島が主導権を持って押し込み始めると同時に福島の裏のスペースが空くので鹿児島のカウンターの場面も出てくるのですが、決められません。逆に鹿児島は守るためにウィングの選手も下がってきてしまうので、カウンターのときも数が足りなくなってしまいます。

そうした中で、後半78分 トカチ選手に同点弾を決められます。この失点の起点は相手陣内から始まりました。田辺選手がPA近くでスルーパスを狙いますが、それをボールカットされボールロストしたところからのカウンターです。その後すぐにボールを奪い返そうと田辺選手と五領選手がプレスをかけようとしますが、かわされてボールをPA近くの鹿児島の左サイドに運ばれて、中に折り返したボールをトカチ選手がダイレクトでシュートしてゴール。同点に追いつかれました。

まずスルーパスを狙った田辺選手の判断ですが、相手も下がって中を絞っていた状態だったので一度ターンしてボールをキープしても良かったと思います(ターンとは進行方向を変えることを意味します。この場合は、前に進んでいたので一度方向を180度変えて後ろを向くことになります)。1点リードしていて残り15分をきっていたので、リスクを負ってパスをする場面ではなかったと思います。ボールを失わなければ失点することはありません。

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このあとすぐに田辺選手や五領選手がプレスを掛けに行くのですが、パスをされて掴みきれません。そこに中原選手がボールを取りに行ってかわされます。このときは田辺選手も前にいて、中原選手がボールを奪いに行ってかわされるともう後ろにMFは誰もいない状況(写真の赤丸部分)でしたから、この場面ではステイして相手の攻撃を遅らせて鹿児島の選手が戻れる時間を作ったほうが良かったと思います。しかも相手選手はボールをコントロールして前を向いていましたから、ここに飛び込むのはかなり無理があったと思います。飛び込むのならファールするくらいの気持ちで行く必要がありました。それくらいこのプレーはこの失点シーンで決定的な役割を果たしたと思います。

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こうして鹿児島のDFはMFがいない状態で守る必要が出てきました。ただSBの砂森選手が攻撃を遅らせたことで五領選手と田辺選手は戻ってこられたのですが、この時二人共ボールに近づいてしまったので、重要なバイタルエリア(赤丸)に誰もない状況になりました。本来、田辺選手はこのスペースに戻ってきてほしかったところでした。

残念ながらこのスペースにトカチ選手が入ってきてダイレクトシュートを決められました。ただスペースを与えてしまったのは事実ですが、このシュートのクオリティは高くJ1レベルと言っても過言ではないと思います。敵ながらお見事としか言いようがありません。さすがの大西選手もこれを防ぐことができませんでした。

あと気になったのは、リードしている場面の後半22分に三回目の交代をします。これで鹿児島は交代枠を使い切ります。ただリードしている場面でしたので、最後の交代枠はもう少しあとまで残した方が良かったと思います。もしGKの大西選手が怪我とかしたら、交代することができなくなるからです。

また八反田選手は前半後半通じて相手の攻撃を防いでいたので、もう少し長くプレーさせても良かったかなと思います。実際、この最後の交代の直後にフォゲッチ選手が脳震盪になり、一時的にプレーができない状況もあり、もう少し最後の交代を後ろにしたかったところでした。

上野監督は試合後のインタビューで、先発選手が疲れていたので早めに手を打ったと言われていました。確かに前半早々に藤原選手が怪我でウェズレー選手に交代して、交代枠をひとつ使ってしまうというアクシデントはありました。

ただこの後半に鹿児島が疲れてしまい失点が多い問題は、シーズン開始直後からありました。これは前半に不用意なボールロストからカウンターを受けて、全力で戻ることで体力を必要以上に消耗していることがひとつの要因としてあげられます。この日もそうでしたよね。前半は体力があるので、戻りきれるのですが、後半は疲れて戻るのが遅れることが多くなり、失点が多い原因となっています。

ですので不用意なボールロストはできるだけ避けるようにしなければいけないのですが、上野監督がどう対策を打ってくるのかは注目したいと思います。本来、ボールを持って攻撃するチームは運動量が少なく出来るので、体力的には有利なはずです。ボールは動いても疲れないですし、より多く動くのは相手チームとなり、後半疲れるのは相手チームのはずです。この部分の改善は急を要します。

後半の78分までリードしていたわけですから、この試合は勝たなければならない試合でした。それだけにアウェイで引き分けで勝ち点1と取ったと喜ぶ気持ちにはなれません。この引き分けは最終順位を考えるとかなり痛い引き分けです。2位まで勝ち点が11点差(1試合鹿児島が少ないですが、今のチーム状況を考えると勝ち点3を計算することはできません)もあります。これは相手が4連敗して鹿児島が4連勝して初めて逆転できる勝ち点差です。だがそんな状況はまず起こりえないでしょう。

この二試合鹿児島が足踏みしている間に一気に差を広げられました。とはいえ一試合一試合を戦っていくしかありません。そして来週は2位の宮崎とのアウェイゲームで、この試合は絶対に負けられない試合となりました。

それではまた来週お会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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