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第18節 鹿児島対盛岡 改善なき敗戦

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
最初は18時キックオフ予定だったのですが、雷雨のため19時キックオフに変更になりました。18時にパソコンの前に座ってDAZN見ようとしたらやってなくて、途方に暮れていた仙太郎です。時間間違えてかと思いましたww。


先発メンバーを見るとFWにグスタヴォ選手が入った以外は先週と同じラインアップとなりました。なぜグスタヴォ選手を先発させたのかは、よくわかりません。以前、グスタヴォ選手が先発したときも、あまり鹿児島の戦術とはマッチしていなかったので、先発メンバーを見たときは少し不安でしたね。萱沼選手がベンチ外なのも心配です。怪我でしょうか?前回、グスタヴォ選手は、ポストプレーも出来ていなかったですし、裏を狙う動きもあまり見られませんでした(ただこの部分はテレビでは映っていなかっただけかもです)。なのでちょっと疑問に思いましたが、今回は裏に抜けて何回かチャンスを作っていました。

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盛岡のフォーマーションは5-4-1で、がっちり守って、すばやく速攻です。盛岡は前からプレスを掛けるのではなく、鹿児島の最終ラインから中盤に縦パスが入ってくると素早くプレスを掛けてきて、そこでボールを奪取して、速攻というのが彼らの戦術でした。

盛岡が他とは違ったのは、ボールを奪った後に単純に縦にパスを入れるのではなく、きっちりとした状況判断をして攻撃してきたことでした。このため鹿児島の対応はかなり難しくなりました。単純に裏を狙うだけなら対応は簡単なのですが、鹿児島のDFラインが下がれば、できたDFライン手前のスペースを使いますし(一失点目のシーン)、鹿児島のDFラインが高ければ裏のスペースを狙います(2点目の失点シーン)しかも、このキーパスの精度が高く、ただの守備だけのチームだけではありませんでした。

まずは失点シーンから振り返って見ましょう。最初の失点は開始早々前半9分の失点です。
相手陣内で右SBのフォゲッチ選手がスペースをドリブルで持ち上がり、五領選手にパスをします。そこに盛岡の脇本選手が素早くプレスを掛けて、ファールなしでボールを奪います。本来ならここで鹿児島がプレスを掛けて、ボールを奪いたいのですが、この時本来中盤の真ん中にいるべき酒本選手がラインの裏を狙って飛び出していました。しかもパスしたフォゲッチ選手もワンツーで裏抜けしようとしていて、同じスペースを二人が使うような状況でした。

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五領選手がボールを失った直後のシーン。ペナルティエリアの前に広大なスペースがあるのがわかる 。ここは酒本選手が埋めるスペースだが、DFラインの裏に抜けようとしている。

ボールを奪った脇本選手はそのままピッチの中央にドリブルをしますが、そこにはスペースがあります。そこでボランチの中原選手がアプローチし、後ろからはボールを奪われた五領選手が追いかけますが、そこで脇本選手は右サイドの有永選手のパスをします。この時中原選手がつり出されてパスされたことが後々大きな意味を持ちます。鹿児島はスペースのある右サイドにボールを持って行かれて、カウンターに見舞われます。

PAの近くまで行った時点で、脇本選手は中にいた加々美選手にパスをします。このパスが少し後ろに行ったのですが、加々美選手が巧みにターンして、後ろから走り込んできた増田選手にパスをします。この時、CBのウェズレー選手が増田選手にプレスを掛けたかったのですが、増田選手がトラップをせずにそのままボールをながして、ダイレクトでシュートしたことで寄せるのが遅くなってしまって、シュートを決められてしまいました。トラップしていればウェズレー選手も寄せられたと思うのですが、これは相手が一枚上でしたね。

この時、鹿児島はいくつかのミスをしています。まずピッチ中央にいるべき酒本選手がいなかったこと。右サイドの裏を狙うのはフォゲッチ選手の役割なので、酒本選手がピッチ中央にいれば、中原選手がボールアプローチする必要はなく、カウンターをされても戻れていたと思います(酒本選手の名誉のために言うと、彼はカウンターの時きちんと全力でPAまで戻ろうとしていました)。

またカウンターを受けたときも、ゴール前では数的同数を維持できていました。ただこの時、ボランチの田辺選手が空いていたSBのスペースを埋めようとして下がってしまったことが痛かったです。確かにSBのスペースは危険ではあるのですが、ボールからは遠いサイドなので、危険性はそこまで高くはありませんでした。それよりもDFラインの前のスペースの方が危険なので、まずはそこのスペースを埋めて欲しかった。中原選手が前にプレスに行って戻るのが遅れている状況だったので。そうすれば中の加々美選手ににパスが来たときにプレスを掛けることが出来たと思います。もちろん鹿児島の右SBのスペースは危険なのですが、そこで上手く寄せることが出来れば、そこへのパスは制限することが出来たと思います。

中原選手が全力で戻ってきたのですが、彼はボールを持っていた加々美選手に寄せてしまいます。寄せたことによって得点した増田選手へのマークを離してしまいます。この時、ボールにはヘンリー選手が寄せていたので、二人寄せる必要はなく、そのまま増田選手ついてけば失点は防げていたと思います。ウェズレー選手が先ほど述べた理由により、増田選手へ寄せるのが遅れてしまい、詰めることが出来なかったのも痛かったですね。ただそれは増田選手のうまさを褒めるしかないですかね。

後半頭から酒本選手に代わり、秋山選手を投入します。前の試合でも秋山選手が投入されてから鹿児島の攻撃が活性化したので、期待が大きかった。この試合は先発でもおかしくないと思っていました。実際、彼が入ったことにより鹿児島のボールが動き出します。

秋山選手のいいポイントは、シンプルにプレーすることです。これ文字にすると簡単なんですが、プレーするのは難しいんです。フリーの味方がいれば、フリーの選手を使いながら前進します。だからリスクが少なく、ボールロストが少なくなります。また狭いスペースでもプレーできますが、簡単に逆サイドの展開することもできます。これは今までの鹿児島には少なかったので、攻撃が改善されていました。また自分がボールロストしない自信があるので、落ち着いてみていられます。ドリブルも出来ますしね。若いので運動量も多いですし、最終ラインに入ってビルドアップもできますし、ボランチの位置から縦パスを入れて攻撃のスイッチを入れることも出来ます。

一方、酒本選手は難しいプレーを簡単に見えるようにする選手なんですね。だから見ていて楽しいのですが、難しいプレーを選択することも多いので、ボールロストすることも多くなります。もちろんそのプレーが決まれば、決定的なチャンスにつながることも多いので、良い悪いではなく、プレーヤーのタイプが違うと言うことです。また頻繁にポジションチェンジをするので、マークには付きにくいのですが、攻撃から守備への切り替えのネガティブトランジション時に相手にスペースを与えてしまうこともあります。

2点目の失点も盛岡からの速攻からでした。この時は鹿児島の左サイドで狭いスペースで秋山選手、中原選手、砂森選手がパス交換をしていました。そこに盛岡が素早く寄せてきて、狭いスペースで3対3の状態になります。当然、守備側が有利です。そこでボールを取られますが、ここでもすぐにプレスがかからずに、ボールを前に運ばれてしまいます。この時は秋山選手がボールに近づいて来たのが痛かったですね。ボールサイドには砂森選手がいたので、ボールから離れてサポートした方が良かったと思います。

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左サイドの狭いスペースで3対3になりボールロストした瞬間。ピッチ中央に広大なスペースがあるのがわかる。本来、秋山選手か中原選手がいるべきスペース。二人共いなければ田辺選手が埋める必要がある。

ボールを奪われた鹿児島ですが、本来中央にいるべき秋山選手と中原選手がサイドに寄ってきていたので、中央には大きなスペースが出来ていました。この時、田辺選手が中央のスペースを消すポジショニングをしていれば、このカウンターも防げたかもしれませんが、中央のスペースが空いた状況で盛岡ボールになり、すかさず前の和田選手に縦パスが入ります。この時の和田選手のパスが素晴らしかったですね。ウェズレー選手のポジショニングが少しだけ離れていたので、鹿児島CBの間に最高のスルーパスを出します。ただウェズレー選手は追いついたのですが、右に切り替えされてシュートを決められてしまいました。この時、ウェズレー選手が縦ではなく、中のスペースを切るようにして、西田選手を縦に誘導していれば、シュートを決められる可能性を低くすることは出来たと思いますが、ウェズレー選手自身はあまりスピードがあるタイプではないので、縦を抜かれるを心配したのかもしれません。ただシュートを決めた西田選手のシュートはすごかったですね。大西選手も防ぐことが出来ませんでした。

対する鹿児島の反撃は70分に山谷選手がサイドライン一杯に開いたところから、斜めに相手DFラインの裏を狙います。そこへ中原選手から絶妙な浮き球のパスが飛び出し、シュートしますがバーに阻まれます。

そして鹿児島が1点返すシーンは、相手GKの野澤選手がパントキックをミスして、秋山選手にパスをしてしまいます。これをぴたっと止めた秋山選手がそのままシュート。前に飛び出していた野澤選手の頭の上を越いた見事なシュートでした。これ簡単そうに見えるプレーですが、かなり難易度の高いプレーです。この時秋山選手は自陣に戻りながら、予想もしなかった相手からのパスを一発でコントロールし、その後すぐにシュートを打つ判断と、それをゴールの枠内に決められる技術。すごいシュートだったと思います。

その後も鹿児島もチャンスも作れ出すのですが、とにかく盛岡の守備が固い。フリーキックの時などは、10人のフィールドプレーヤー(すなわち全員)がPAの中に戻るくらい徹底していました。盛岡は自陣からのカウンターとかは考えていなくて、カウンターは相手のビルドアップのボールを奪ってショートカウンターというのが、徹底されていました。テレビ画面ではよくわからなかったのですが、恐らくピンチの時はFWも戻ってい守備をしていたと思います。だから鹿児島が裏を取ってチャンスを作っても、切り返してマークを振り切っても誰かがシュートコースにいてブロックするし、GKが飛び出してなくてもゴールの前に誰かが戻っているというこれまで見たこともない守備意識の高さでした。

前半終了前に、グスタヴォ選手が田辺選手の浮き球から裏に抜けて相手DFを振り切ってシュートしたときは、その振り切られたDFの選手がゴール前に戻りシュートをブロックしました。こんなプレーなかなか見られないですよね。ちなみのその後ろにももう一人ゴール前で待ち構えていた選手がいました。とにかく盛岡の守備意識の高さは半端なかったですよね。

また鹿児島が最終ラインから縦パスを入れると、素早く寄せてきます。試合終盤になれば疲れてきて、サボる選手とかもいるはず(特に攻撃的な選手によく見られる)なんですが、盛岡はとにかく誰もサボらずにプレスを掛けてくるので、なかなか前を向けません。それでサイドラインを見ると、なんと監督はあの秋田豊監督ではないですか。守備の強さの理由の一端がわかる気がしました。

こうして1-2で敗戦したのですが、前回指摘したポイント(すなわちボールを失った後の守備)が改善されていませんでした。そこが残念です。負けても課題が改善していればまだいいのですが、それがなくて負けるとつらいです。

選手を責める意図はまったくなくて、上記の問題は監督が解決するべき問題だと思います。誰がどのような役割を果たして、どこにポジショニングするかは、監督が決めなければいけません。これを選手任せにしていると、この問題はシーズン終了まで解決されないでしょう。相手の攻撃のクオリティが低ければ失点することもないですが、この日の盛岡のように良い攻撃をされたときには負けてしまい、勝ったり負けたりしながら中団の位置から抜け出せないと思います。

それではまた来週の岐阜戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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