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勝ちは嬉しいけど、まだ登る山の頂は遠い 第20節 鹿児島対山形

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは仙太郎です。

前節、アウェイで上位岡山との対戦を引き分けた鹿児島ユナイテッドFC。
天皇杯の大分戦を挟んで迎えた、シーズン後半開幕戦の山形戦を振り返ります。

前節からのスタメン変更は2人。戸根、田中選手が外れ、広瀬、圓道選手が入りました。田中選手は山形からのレンタル移籍による出場制限があるためです。

前半10分 山形のチャンスの場面。鹿児島がプレスを掛けに行くが、素早く逆サイドに展開される。広瀬選手が中央の選手へ寄せるが、パスはそこを超えて逆サイドの選手に渡る
広瀬選手が前に出たため、後に残っているのは岡本選手だけで2対1の数的不利な状況。逆サイドを外山選手が全力で戻っている。
そのままボール運ばれるが、この時外山選手が山形の選手にショルダーチャージして倒すも、審判はアドバンテージを取り流しのか、反則ではないと判断したのか
その結果、1対1からシュートをされるが岡本、外山両選手の脚の間を通り抜けたシュートはポストにあたり、跳ね返ったボールを泉森選手がキャッチして、鹿児島は難を逃れた

前半、鹿児島は相手を前におびき出してGKへバックパス。そこから泉森選手のロングボールで相手DFライン裏を狙うというのがひとつの戦術だったと思います。

ただそこは山形もきっちり対応してきます。素早くDFラインが下がってヘディングでクリアされたり、それより奥のスペースに蹴ると高い位置をとる相手GKにキャッチされてあまり効果的ではありませんでした。これは最近、完全に相手に読まれているので、山形のDFラインが下がってできた間のスペースで鈴木選手や福田選手がボールを受けた方が良かったと思いますし、それができたときはボールを前進させることができていました。

13分 山形のチャンスの場面。ワンタッチで浮き球のパスを出し、それをヘディングで後にそらして大きなスペースをドリブルで進まれる。この時も広瀬選手が前の選手へ寄せていて、その裏のスペースを使われている。できれば逆サイドの野嶽選手は赤点線丸の中央へ絞っておきたかった
そのため野嶽選手も岡本選手も間に合わず、シュートを打たれるが枠を外してまたも難を逃れる鹿児島

鹿児島は前プレス掛けるも、山形のGKも含めたビルドアップが素晴らしく、なかなかプレッシャーが掛かりません。なので大きく開いたスペース間を使われて、前進されてフィニッシュまで持ち込まれます。

この場合、完全に3枚でプレスに行きプレッシャー掛けて、パスコースを限定するか、それができないならミドルプレスにしないと厳しいと思いますし、実際ミドルプレスの時はきちんと守れていたと思います。

もちろんすべてプレスが掛かっていないわけではなく、プレスが掛かっているときは、山形の前進を阻止できていました。

26分 山形の先制点の場面。PA内に侵入され鹿児島の選手が5人寄せたことで、ゴール前に大きなスペースができ、そこに後から走り込んで来た小西選手に抑えたミドルシュートを打たれて先制点を許す

山形の上手いところは、中途半端にボールロストする回数は少ないですし、ボールロスト後にすぐにプレス掛けてくるので、鹿児島のショートカウンターは防げていました

さすがに山形も後半の20分過ぎたあたりから守備の強度が弱まり、鹿児島がボールを前進できるようになります。

そしてその流れから80分に外山選手がフリーでセンタリングし有田選手がゴールして、同点。アディショナルタイムに千布選手のフリーキックから井林選手がヘディングで決めて逆転勝利。9試合ぶりの勝利となりました。

51分 山形のカウンターの場面。深さを取る選手、幅を取る選手、スペースの中央で受ける選手、後から押し上げサポートする選手とバランスのいいポジショニングが美しい。
そこからスルーパスを出されてシュートまで持ち込まれるが、ここでも泉森選手のセーブで難を逃れる。確かに中央を守るのは大事なのだが、野嶽選手のポジションが少し中央に寄りすぎており、ボールを受けた選手への寄せが遅れた

鹿児島の気になるところは、またSBが高い位置を取るようになっていることです。山形がポゼッション型のチームで、ボールを奪取して直後にロングボール蹴ってこないのでカウンターの回数自体は少なかったのですが、前半には決定的なチャンス作られています。これ相手が強力な外国人選手がいるチームだとかなり危険な状況です。

百歩譲ってSB上げるなら、アバウトなセンタリングは止めるべきだと思います。それをクリアされて、相手ボールになったら、カウンターされてピンチになる可能性があります。もともと鹿児島はサイドにボールがあると、サイドに選手が寄って崩そうとする傾向があるので、中央でカウンターのフィルターが掛からず一気にカウンターされる危険性があります。

69分 山形のチャンスの場面。鹿児島がボールホルダーに寄せるが、寄せてできた大きなスペースへ浮き球のパスを出される。
山形の2選手が裏への走り出すので、CBはそれについて行かざるを得ず、スペースを小さくすることができていない。この時はシュートが外れたが、左サイドからの走り込んでいる選手へのパスも選択肢もあった

この試合、泉森選手のスーパーセーブ連発が、この勝利に大きく貢献したことは間違いありません。最初こそ失点してしまいましたが、そこからは決定的なシュートを止め続けてくれました。GKが活躍すると勝てるという、典型的な試合だったと思います。

浅野監督が3秒でボールを奪うと言われているようですが、それならロングボールを使うビルドアップはやめた方がいいと思います。山形みたいにじっくりとショートパスをつないでボールを前進させると選手間の距離が近く、ボールロストしたときに、すぐにプレスに行けますが、ロングホールだとどうしても前後が間延びして、ボールロストしたときに、味方がいなくてプレスを掛けられません。気合いだけでボールは奪えません。奪える仕組みが必要です。

80分 鹿児島の同点の場面。外山選手がボールを持った瞬間、CB間のスペースへ走り出す有田選手。この動きをされるとCBはマークするのが難しい。ボールから逃げながらヘディングするのは、かなり難しく、有田選手の高い技術がうかがい知れる

山形のビルドアップは良かったですね。教科書みたいなビルドアップでした。ショートパスあり、ロングパスあり、サイドチェンジありで、前進手段もバラエティに富んでいて、対応が難しかったです。ビルドアップ時にワンタッチパスでプレスを外すのも、上手かったですね。

あとは最後のフィニッシュだけですねが、枠内シュートがないわけでないので、この日は泉森選手の出来が良かったのだと思います。

高いDFラインの裏をGK後藤選手が高いポジショニングでカバーしているもも優れたポイントです。だから相手DFライン裏にボールがでても、GKが難なく処理する場面も多くありました。いつもバタバタする鹿児島とは対照的ですね。

山形は守備の強度もスライドの強度も高く、途中まで鹿児島の攻撃は散発的でした。ただ南国鹿児島特有の湿度の高い環境で、後半の20分過ぎたあたりからからプレスやスライドの強度が弱くなり鹿児島がボールを前進できるようになりますが、最後のフィニッシュのところの守備強度は高く得点の匂いはあまりしませんでした。

93分 鹿児島の勝ち越し点の場面。千布選手独特の真上から落ちてくるようなフリーキックに、井林選手がゾーンディフェンスの間に走り込んで決める。この時、井林選手がヘディングしたスペースを守っていた選手が、有田選手のマークへ動いたので、井林選手がヘディングできるスペースが空いた。ちなみにこのFK得たのは野嶽選手のドリブルでした。

だから鹿児島は80分まで勝てる気がしなかったのですが、サッカーは内容はともかく、得点がすべての流れを変えることもあり、この日の鹿児島はまさにそれでした。

総 評
結果として勝ちはしましたが、内容的にはかなり難しい試合だったと思います。だから勝ったからといって、すべてOKというわけでもありません。

逆に守備面では山形のビルドアップに翻弄されていました。
泉森選手のスーパーセーブがあったから勝てましたけどね。

80分まで鹿児島は為す術なしで、振り返るとよく勝てたなと思える試合でした。とはいえ今の鹿児島に選り好みしている余裕もないので、この勝ち点3は貴重な勝ち点です。

浅野監督就任後、守備の部分では改善が見えてきました。
ただ守備を改善するのは比較的簡単ですが、攻撃を改善するには時間が必要です。ゴール期待値がこの日も低く、山形の約半分。
ということはチャンスの質が低いということです。

浅野監督が攻撃の部分をどう変化させてくるかが、今後の注目点かと思います。

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