勝利より誇るべきもの 第11節 鹿児島対沼津
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは、仙太郎です。
それでは沼津戦を早速、分析します!
https://youtu.be/MbFjk_8Qp-I
先発は周半ばの天皇杯でターンオーバーしたので、リーグ戦は前節と同じメンバー構成です。
全般的にいうと先週の課題が少し解決されていました。ほんと大嶽監督の手腕は見事だと思います。そのあたりはこれからの分析の中で見ていきたいと思います。
前半14分に鹿児島が最初の決定的なチャンスを作ります。最近の鹿児島の攻撃ではたびたび見られるシーンです。いわゆるサッカー業界用語?で3人目の動きと言われるものになります。
この3人目の動きは、相手がマークしにくいので鹿児島の武器になっています。この時は、五領選手がセンタリングしたボールを中で、有田選手がダイレクトシュートしますが、相手GKの脚に当たり得点にはなりませんでしたが、完全に崩したプレーでした。
▽得点シーン
次は得点シーンを振り返ります。先制点は鹿児島で前半17分。先週と同じように左サイドから米澤選手がダイレクトで前線の有田選手めがけて浮き球のパスをします。一度は相手選手にボールを奪われますが有田選手がファールなしで、ボールを奪い返します。
この時、後ろからロメロ・フランク選手が走ってきて、スイッチするように見せかけてそのままボールをまたいで縦に抜けていきます。そのため相手CBは一瞬ロメロ・フランク選手に気が取られてそちらへ体重を動かします。そこを見た有田選手はすかさず中に切り返して、空いたスペースからそのままシュート。先週に引き続き有田選手の高い個人能力と決定力で奪った得点となりました。
鹿児島は前半の途中までは、試合をコントロールできていました。次と同様のシーンも試合中に何度も出てきました。
このシーンではCBの広瀬選手がドリブルでボールを持ち上がと沼津の中盤の選手が広瀬選手の前進を止めようと、全力で前に出てきます。それを簡単にかわすとこが、広瀬選手のまたすごいところですが(ほんとCBとは思えない)。沼津の中盤の選手が出てきた所には広大なスペース(赤点線丸)があり、広瀬選手がドリブルで運ぶので、それを阻止しようと沼津のCBが前に出てこようとします。
するとそれを認知した有田選手が裏のスペースに抜ける動きを開始し、広瀬選手が裏にスルーパスを出しました(しかも相手FWがプレスを掛けているのにです)。これは惜しくもオフサイドになりましたが、広瀬選手の素晴らしい判断力とプレービジョンを見せつけてくれました。有田選手もきちんと裏にスペースがあると認知して、裏でパスを受けようとしているの動きもまた見事です。
このシーンでも見られたように沼津は、どこからプレスを掛け始めるのかの共通理解が乏しく、一人ひとりは頑張っているのですが、チームとしては攻撃も守備も機能していないように見えました。なので鹿児島のピンチは不用意な形でボールロストしたときだけでした。そして前半の終盤にそのシーンが訪れます。
この時は岡本選手が木村選手にパスを出そうとしますが、ミスパスして相手にインターセプトをされます。それをそのままシュートされ(黄色矢印)ますが、二人のCBが体を張ってブロック。しかし不運なことにこぼれ球が沼津選手の元に転がります(黄色矢印)。この時は木村選手がなんとか対応(赤点線矢印)して事なきを得ました。同様のピンチは何回かありましたが、そのほとんどはゴールの枠を外していました。
ただこれは単純にシュートが下手とかという話ではなくて、白坂選手がいいポジショニングをして、ほとんどシュートコースがない状態にしているので、結果として相手選手はギリギリを狙わざるを得ず、枠を外しているのだと思います。
さらに沼津の左SBは五領選手が下がってボールを受けに来ると、マンツーマンでついてきたので、そこにできた大きなスペースを渡邊選手や有田選手を利用して、一気にボールを前進することもできていました。
さて前半にリードして前半終了間際のピンチも凌ぎきり、迎える後半です。前回もお伝えしたように、ここは勇気を持ってボールをポゼッションして、相手の前プレスを回避するプレーをして欲しいと思っていました。そしてそれはある程度はできていたと思います。
実は後半開始すぐのゴールキックでは、白坂選手がロングボールを蹴ったのですが、その後監督の指示があったのか、選手同士で話し合ったのかはわかりませんが、ゴールキックをGKからショートパスでつないで前進するプレーが多く見られました。これには感銘を受けましたね。
この日は雨が強く、豪雨といってもいいくらいのコンディションでした。後半の半ば以降は芝に水が浮きボールの勢いが止まるような場所もありました。このようなコンディションの中で相手がプレスを掛ける中、ショートパスをつないでビルドアップするのは、リスクがありますし、かなり勇気がいります。
CBやGKがボールを奪われて失点すれば、愚か者扱いになりますからね。それでも勇気を持ったポゼッションからのビルドアップを見せてくれたこの日の鹿児島は、勝利以上に誇らしかったですね。
そして実際、そこから多くのカウンター攻撃が見られました。この図のプレーが典型でしたが、自陣で5対3の数的有利な状況を作りながら、少ないタッチ数でボールを回し、縦のパスコースを作り出し、ボールを前進させる。そうして一気に相手ゴール前にボールを進めます。正直言うと沼津の前プレスがそれほど厳しくなかったのも助かりました。
そういう意味では、この日の鹿児島は後半も勇気を持ってプレーができていたと思います。もちろん全てのプレーでボールが前進したわけでなく、ボールロストからピンチを迎えることも多々ありました。
特に前半の30分前後から鹿児島のカウンターが急ぎすぎて、ボールロストすることも多く、かなりオープンや展開になりました。これは後半にも見られましたが、確かに追加点を取れれば二点差にできますが、急ぎすぎて攻撃してボールロストするのは、正直リードしている鹿児島に取っては理想的な展開ではありません。そこは残念でしたね。
ただ追加点が取れれば、ここまで苦しむ必要もないですし、ドキドキしながら試合を見ることもないので、なんとか追加点をお願いしたいところですww。
なので来週に向けてはこのカウンター攻撃の部分を改善していく必要があります。少なくとも数的同数か有利な状況なら、得点にならないにしても最後はシュートで終わりたいですよね。ボールホルダーはピッチ中央をドリブルし、相手が前に出てくれば裏にスペースにパスすればいいですし、来ないでズルズル下がるなら、PA近くまでボールを運んで、幅を取っている味方にパスしてシュートまでいきたいです。
ただ日本の育成年代で、カウンター攻撃の練習しているところもあまり知らないので、ここは今後の課題と修正点ですよね。
ロメロ・フランク選手が前半途中で交代して出場した圓道選手は、この日も素晴らしいプレーを見せていました。本来なら攻撃的選手なので、交代出場したら得点に絡んでアピールしたいはずなのに、ボールを落ち着かせたいときは意図的にゆっくりプレーし、カウンターの時はドリブルで持ち上がります。さらにはサイドでドリブル突破を試みるなど、単なるパサーだけでない可能性を見せてくれました。
圓道選手は大学の新卒ルーキーなんでしょ?そんな年齢を感じさせない熟練の判断が光りました。ポジショニングも良かったので、沼津は圓道選手を捕まえにくかったと思います。残念ながらカウンターからの攻撃で追加点が奪えなかったところは、残念でしたが、この日も素晴らしいプレーを見せてくれました。これで得点が取れるようになれば、先発をいけると思います。そこがロメロ・フランク選手との違いになります。
有田選手も前半で交代してしまったので、怪我がなければいいかと思います。前半も体を張ってプレーして、数回倒れて痛んでいました。大嶽監督は疲労も考えて交代させたみたいなことをコメントしていたので、それであればいいのですが、今の鹿児島で有田選手は欠かすことのでできない選手なので少し心配ですね。
後半攻撃を連続されているときに沼津の10番邉りょう選手がたびたびファールをしてくれたのはかなり助かりました。もちろん激しいプレーは必要なのですが、鹿児島がボールの出し所がなくて困っているときにファールしれくれるのは正直助かりました。これは邉りょう選手が危険なプレーをしていると非難したいわけではなく、厳しいディフェンスをするにも、するべき時としないときをキッチリ判断してプレーしなければいけないということです。
薩川選手はマッチアップすることが多く、何回も倒されて痛い目に遭っていましたが、ほんとこの薩川選手のファールをもらうプレーはこの日のベストプレーと言ってもいいくらい素晴らしいプレーだったと思います。記憶の限りでは4〜5回ファールあったかと思うのですが、合計で5分以上時間を消費できていて、勝利に大きく貢献したくれました。薩川選手、かなり痛かったかと思いますが、ありがとうございました。
大嶽監督がこのブログを見ているとは思えませんが、チームの問題点を翌週すぐに改善してくるのは、見事としかいいようがありません。これはもはや名監督かもしれません。鹿児島は来年移籍されないように、早く来年からの複数年契約のオファーを出した方がいいかもしれません。
4連勝で首位をキープです。それにしてもこんだけ勝っているのに、2位との勝ち点差がたったの2とはなかなかJ2昇格への道は長く険しいですね。まだ半分までもリーグ戦の消化は終わっていません。
それでは次の試合でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」
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