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敗れてなお道遠し J3第8節 鹿児島U対藤枝MYFC

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
とこの戦術分析ブログは始まるのですが、さすがに今回は少し凹でいる仙太郎です。
試合直後に書き始めようとしたのですが、そうすると愚痴ばっかり書きそうだったので、数日寝かしてから書くようにしました。

0-3のスコアはいいと思います。大敗なんですけど1点差でも3点差でも負けは負けなので。それよりも内容的に前回からの進歩があまり見られなかったので、そちらの方が心配です。

まずキックオフ前から雨が降り、しかも試合中には豪雨になり、前半開始直後に雷が鳴り2時間近く試合が中断。前半終了間際も雷で30分ほど試合が中断になる難しいコンディションでした。ピッチの一部ではボールのスピードが落ちる場所もありました。ただボールが止まるような場所はなかったですね。そこはグランドの水はけは抜群だったと思います。この状況はショートパスを多用する鹿児島としては、パススピードが上がるという利点がありますが、その逆でボールを止めるのが難しい場面もでてきます。有利な点を利用できるかどうかがこの試合のポイントとなりそうです。

■驚きの新スタメン 三人と雷での中断
試合前のスタメン発表では、驚きがありました。今までゴールを守っていた大西選手に替わり白坂選手が先発します。GKの先発が怪我以外の理由で変わることは珍しいので、これは注目でした。またCBのウェズレー選手が先発に戻ってきました。欠場1試合でウェズレー選手が戻ってきたのはポジティブでしたね。攻撃的なサッカーを目指す鹿児島にとってCBの役割は攻守共に大きいですからね。さらにCFにはグスタヴォ選手が右のウィングには三宅選手が入りました。三人の新先発メンバーがどうなるかが試合前の注目ポイントでした。

今回も右のSBはフォゲッチ選手でした。彼は完全に先発メンバーの一員になりましたね。しかしながら、この試合もピッチ中央にポジショニングすることが多く、ビルドアップ時に右サイドで幅を取る選手がいません。そうすると当然、ビルドアップは左サイドが中心になってくるのですが、左サイドにボールを集中させると当然相手はそのサイドに多くの選手が配置されているわけですから、なかなか良い形でボールを前に進めることが難しくなります。

鹿児島の攻撃陣の中でもっともクオリティの高い選手は左ウィングの米澤選手なんです。だから彼が左サイドのスペースで相手SBと1対1になるような場面を作らないといけないんです。ところがビルドアップが左サイドからばかりだと、米澤選手の周りには相手選手が一杯いてスペースがない。しかも米澤選手が後ろを向いてボールを受ける場面が多く、彼の優れた部分が全く活かされていないんです。この試合もカウンターでは優れたプレーを見せていましたが、散発的でした。ポジショナルプレーを目指すのであれば、この部分をもう少し整理してプレーさせる必要があると思います。

左サイドのスペースがなくなった米澤選手が何回か中央にポジションを移していた場面がありましたが、中央は相手CBもいてスペースもありません。また米澤選手は体格がいいわけでもありません。スピードとドリブル、そしてシュートへの決断が優れている選手です。ですから米澤選手は相手の大きなCBとの接触プレーには不利です。それよりもサイドのスペースで前を向いて仕掛けた方が彼のいい部分が活かせると思います。また右サイドからボールを前進させて、相手ゴール前で左サイドから中央に入ってきた米澤選手がボールを受けてフィニッシュする形が一番得点の可能性があります。

このようにビルドアップ時のサイドが固定されると鹿児島はスペースがなく、相手選手は思いきって前にプレスを掛けられるので、鹿児島がボールを失いカウンターを仕掛けられる場面が多くなります。3失点のうち二つは自陣でのボールロストからの失点でした。実は攻撃的なサッカーを目指すなら、ボール保持時のポジショニングに注意しなければなりません。ボールの保持率が高いと当然味方選手は高いポジションを取ることになります。そこでボールロストすると一気にカウンター攻撃を受けるので、ボールロストした瞬間にプレスが掛けられるようなポジションを取る必要があります。ただ今の鹿児島はそこまで整備されていないので、そこからのカウンターを受けるとかなり厳しい状況です。ウェズレー選手も田辺選手もスピードがあるタイプではないので、カウンターされると厳しいです。ただJ3だと相手の攻撃選手にそれほど速い選手がいないので、今のところ助かっています。

■新先発選手の評価
先ほど述べたように相手が前からプレスを掛けてくれば、当然相手のDFラインの裏には広大なスペースができます。だからFWの選手はそこに裏抜けして相手のDFラインを下げて、味方の中盤がプレーできるスペースを作る必要があるのですが、今回先発したグスタボ選手にはあまりそのようなプレーが見られませんでした。ただテレビ画面だとFWのポジションは画面から切れていることも多く断言はできませんが。

鹿児島が目指すポジショナルプレーの場合、グスタボ選手のようにポストプレーが得意なCFタイプではなく、動きながら味方にスペースを作りつつ、ビルドアップに絡みながら、ゴール前でフィニッシュするタイプの選手が必要になります。レアルマドリーのベンゼマ選手のようなタイプですね。ただグスタボ選手は古典的なポストプレータイプに見えたので、今の鹿児島の目指すサッカーにはあっていないように見えました。それよりも下がってきてビルドアップにも絡めるし、ポストプレーもできるし、裏のスペースも狙える菅沼選手の方がFWとしてはあっていると思います。その菅沼選手は今回、MFとしてプレーしていましたね。

先発した右ウィングの三宅選手も、まだ鹿児島の目指すポジショナルプレーを理解してプレーしているようには見えませんでした。ただビルドアップが左サイドが多いので右サイドで孤立することが多かったの事実です。

GKの白坂選手はとてもいいプレーを見せていたと思います。さすが大西選手から先発を奪うだけのことはあります。3点の失点はどれもGKだけの責任ではないと思います。またバックパスを受けるときの体の向きやボールを止める位置も的確で可能性を感じます。ゴール前のポジショニングも的確でしたし、1対1の絶対的ピンチも前に出て防ぐ場面もあり、守備面でも不安はありません。

先ほども述べましたが、攻撃的なサッカーを目指すと守備がとても重要になってきます。そしてビルドアップに関してはCBとGKの技術と戦術理解度がとても重要になります。そういう意味では白坂選手のプレーには可能性を感じました。大西選手もこれまでいいプレーを見せてくれていましたから、これからは二人で切磋琢磨して欲しいと思います。ポジショナルプレーの鍵はGKにありますから。

後半途中からフォゲッチ選手に替わって衛藤選手が入って来たのですが、幅を取るという意味では彼の方が良いと思いました。ただフォゲッチ選手も幅が取れればボールを前進させることができますし、ボール扱いも上手いので難しいんですよね。

最初の失点場面では、鹿児島がカウンターの場面で自陣でボールを奪われて失点でした。この場面ではSBの砂森選手のポジショニングが中過ぎて、ファーサイドに誰もいなくなってしまいました。そのスペースに相手選手が流れてきてヘディングシュートされました。コースも良かったのでGKの白坂選手は触るのが精一杯で、こぼれ球が相手選手の前にこぼれて、押し込まれてしまいました。理想をいえば白坂選手にはボールを外に出して欲しかったところですが、体が伸びきった状態でしたから、そこまでも求めるのは難しいかと思いました。

■4人の選手交代の是非
ただ最初の失点が選手交代した後だったですし、最初の失点の後4人を同時に交代させ、その後2失点をしています。試合途中ではいる選手は試合のプレー強度の慣れるのに時間がかかります。フィールドプレーヤー10人中の4人(この少し前に酒本選手が入っているので5人)が一度に変わると選手間のポジショニングや守備の判断の部分がずれることが多くなります。半分の選手を一度に替えるのはかなりリスクがある行為だと言うことは知っておいていいと思います。

これで連敗した鹿児島は9位まで順位を落としてしまいました。開幕時から言っていますが、ポジショナルプレーはとても難易度の高いプレーです。一朝一夕で完成するものではありません。長いシーズンなので、選手を入替ながらやらないと怪我の心配が多くなるのも理解できます。

ただ一定の期間は、ある程度メンバーを固定してプレーさせないと、短期的にはポジショナルプレーを形にしていくのは難しいかと思います。誰がどのポジション取るとか、ボール失ったときにどうプレーするかとかの共通認識が出来てこないと、全体のプレーがバラバラになってチームとして上手くプレーが出来なくなります。そうしてある程度固まった状態で、他の選手を入れていかないと、いつまでたってもボールは持って主導権はあるけど、カウンターで失点するということ繰り返します。

J3から降格することはないので、そこは心配しませんが、もう少しやり方を変えないと負けが続くことになります。試合に負けてもいいとは思うんです。プレーが進歩していれば。ただこの試合はシーズン初めて、プレーも進歩が感じられなかったので少し辛口になったかもしれません。

それでは今回は完全に空元気ですが、いつものようにこの言葉でこのブログを締めたいと思います。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

追伸:先日の天皇杯鹿児島県代表決定戦で牛之濱選手が怪我をしました。鹿児島市内の病院で右ヒザ前十字じん帯損傷と診断され、全治8カ月の見込みです。いやこれは痛いですね。今シーズン、リーグ戦では出番の少なかった牛之濱選手ですが、まだまだシーズンは長いですし、彼の力が必要になるときが必ず来ると信じていました。ただ全治8ヶ月だと今シーズンは絶望です。今は治療に専念して回復し、来シーズンにはまた笑顔で会えるようになりたいですね。

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