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なぜJリーグにはワンボランチがいないのか?

先日、ラボのセミナーで参加者の方からタイトルの質問があり、自分なりに考えることがあったので書き残してみました。

ただJリーグのすべてのクラブを知っているわけではないので、いないのかではなくて、少ないのかの方が正確かもしれないですね。

それと今回は4-3-3システムの場合のワンボランチとして話を進めます。

では本題のJリーグにはワンボランチのチームが少ないのかですが、私はワンボランチでプレーできる選手がいないからだと思っています。

さてここで頭の中が???となってるかもしれませんね。そんなの当たり前でしょと思われるので説明しますね。

ワンボランチとツーボランチの違いは当たり前ですが、前者はボランチがひとりで、後者はボランチが二人います。これまた当たり前の話で申し訳ないですが、ここからが本題です。

ツーボランチの場合、広いピッチの横幅を二人で守れます。ところがワンボランチだとひとりで広い横幅を守らなければなりません。ここでポジショニングが問題になります。

相手がピッチ中央でボール保持しているときはワンボランチでもツーボランチでも、バイタルエリアを守る面では変わりはないのですが、相手がサイドにボール持ってきた場合、ツーボランチだと1人がボールサイドに行き、残る1人は中央をカバーできます。

でもボランチがひとりだと、サイドに行ってしまうと、中央に誰もいなくなってしまうんですね。すると、どうなるかというとボランチ1人がサイドに寄せてボール取れればいいのですが、そこで取りきれずボールを中央に回された場合、いきなりバイタルエリアに誰もいないという状況に陥ります。

それは避けたいですよね。だからワンボランチの場合はサイドにボール行った時に、過度にサイドに寄り過ぎない方がバランスが良くなります。もちろんその場合はサイドで相手へのプレスは弱くなりますが、ボールに寄せにいって、中にパスされて入れ替わってしまうよりは、はるかにいいです。

それにサイドでボールを持たれても、最後ボールは必ずゴールのある真ん中に戻ってくるので、サイドよりも中央スペースを守るという原理原則に合っていると私は考えます。

つまりワンボランチの場合はボランチの選手のポジショニングがとても重要になります。寄せる時寄せない時の判断も難しいです。一般的にいって日本の選手はボールに寄る傾向があるので、ワンボランチの運用はとても難しくなります。

これはサイドハーフやサイドバックの関係性もありますし、チーム戦術もあるので、わかりやすくするために簡略化しています。

主体的にボールを保持して攻撃する4-3-3スタイルのチームであれば、カウンターに備えたワンボランチのポジショニングも重要になります。攻撃の時も味方がサイドでボール保持している時にサイドに寄りすぎると、ボールロストしたときに、中央バイタルエリアに誰もいないというカオスが待っています。

これは誰もが避けたいですよね。だからJリーグにはワンボランチのチームが少ないのだと思います。その理由はワンボランチをこなせる選手がいないからです。

じゃなんて日本選手にワンボランチでできる選手がいないかと言うと、それは育成年代で教えてないからですね。育成年代ではボールに激しく寄せて、取り切れというトレーニングはしますが、ボールに寄りすぎるなという指導は私の経験上あまりやってないと思います。理由はそういうプレーができる選手をプロでもあまり見ることがないからです。

普通、ほっとけば誰でもボール寄っていってしまいますよね。それを防ぐためにはトレーニングで攻撃や守備時のポジショニングの原則を教えなければ、できるようになりません。

それには指導者がそれを理解したうえで、トレーニングに落とし込み、オーガナイズする必要があります。ただそれができる指導者は限られているのが現状ですね。


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