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快勝の裏にある課題 2022年 第3節 松本山雅対鹿児島

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さんこんにちは、仙太郎です。

先週の「鹿児島に岡本將成あり」がTwitterでプチバズりました。

なんと本人の岡本選手にもいいねしてもらい、恥ずかしいやらなんやら。とはいえ今週の岡本選手のPKには触れなければなりません。

このブログは選手個人のミスを攻撃するのではなく、間違いは指摘しつつも、同時に改善点も指摘して成長する手助けをするのと、サッカー未経験の鹿児サポのみなさんにサッカーの奥深さを理解いただくことを目的にしています。ですので選手個人のミスを指摘しても、それは選手個人への攻撃ではないことをご理解いただければと思います。

それでは今週の山雅戦を振り返って見ましょう。

先発メンバーはSBの星選手以外は変更なしです。このメンバー構成については、のちほど詳しく書かせていただきますので、今日は早速試合内容を見ていきたいと思います。

星選手以外は変更のないスタメン

▽全体的な鹿児島の戦術

この試合も先週と同じく鹿児島のビルドアップはロングボールとショートパスを組み合わせていました。この日もCBからロングボールを蹴り込むのが最初のプレーだったので、これもチーム戦術として監督からの指示だったと思います。

ロングボールを蹴ることで、相手の前からのプレスを避けて、相手のDFラインを押し下げて、中盤にスペースを作るのが目的になります。

実際、この日も鹿児島のピンチのほとんどは、ビルドアップ時にボールを失って発生していました。これはショートパスをつないでビルドアップをする鹿児島に取っては避けては通れないことなのですが、ロングボールを織り交ぜることにより、相手は前からプレスを掛けるのが難しくなります。

ただひとつ問題がありまして、GKの白坂選手からのゴールキックやビルドアップからボールを奪われて、ピンチになることが多々ありました。

というのは、それ以外ではほとんどピンチを作られていなかったからです。ピンチの多くはGKからのビルドアップからでした。開幕戦の失点もGKからボールを奪われてからでした。

このGKからのビルドアップの問題は早急に対策をする必要があると思います。

これにはGKをピッチ中央ではなく、サイドに蹴ることがひとつの方法になります。ピッチ中央で相手ボールになると、広く攻撃されることになります(開幕戦の失点)。

さらにGKの場面でもDFラインを高く上げないことも、もう一つのやり方になります。現在はGKの際にDFラインが高く、失った際に裏を取られやすくなっています(この試合の失点)。

白坂選手は非常にキャッチングうまくて、安定しています。この試合でも何回も失点を防いできました。それだけにこのGKからのビルドアップの問題は早急に対策をする必要があると思います。

ただそれにしても開幕から3戦で3失点のうち2点がGK絡みで、1点がセットプレーのゾーンデフェンス時のポジショニングの問題だと言うことは、流れの中から崩されての失点がゼロということですから、これは悪くないですよね。

▽今シーズン初の先制点

開幕から2戦連続で早い時間帯で失点していましたが、今回は鹿児島が前半28分に先制します。その場面を振り返って見ましょう。

五領選手の体の向きを利用したフェイントと星選手との大きなワンツーパスで崩した先制点の場面

攻撃の最初のフェーズは右のウィングの五領選手が(星選手からのパスで)ボールを持つところから始まります。山雅のSBが守備のため、五領選手に近寄ります。これによりSBの裏にスペースができました(写真の赤丸)。この時、五領選手の体の向きに注目して下さい。五領選手は体をピッチ中央を向いています。そのため山雅のSBは本来裏のスペースを守らなければならないのに、横へのパスをカットできるポジションを取ります。その結果、裏へのパスコースが空きます。

この時、サポートするためにロメロ・フランク選手が近づいて来ます(赤の点線)。彼に山雅の選手がマンツーマンでついてきます(赤の点線)。これによりSBがいなくなった裏のスペースをケアする選手がいなくなりました。そこに鹿児島のSB 星選手が五領選手にパスをした後、走り込みます。星選手は手で前にパスを出せと要求しています。本来、星選手を追いかけるべき山雅の選手は遅れており、完全に裏を取られています。

星選手は裏に抜け出し、低く早いセンタリング。それにFWの有田選手が飛び込みます。有田選手は触れませんでしたが、有田選手に合わせて飛び込んだ山雅の選手にボールが当たり、そのままネットに突き刺さりオウンゴールとなりました。

オウンゴールとはなりましたが、鹿児島が完全に崩した得点だったので、素晴らしい連係プレーだったと思います。

▽同点のPKの裏側

このPKの始まりは白坂選手のキックからでした。これはゴールキックからではありませんが、白坂選手からのキックからプレーが始まります。

ヘディングで4人の鹿児島の選手を置き去りにした松本山雅

そのボールが山雅の選手に行き、それを直接ヘディングして山雅の選手にパスになります。この時、鹿児島の選手四人が置き去りになり岡本選手が1対1を強いられて、PA内で倒してPKを献上します。

ただこの時、岡本選手は判断を誤ったと思います。この時、山雅の横山選手は角度の少ない場所にいました。だから無理にボールにチャレンジする必要はありませんでした。写真を見ればわかるように、白坂選手は正しいポジションにセットしているので、シュートされても対応できたと思います。

ゴール前で6対3の数的優位な状況が作れていた鹿児島

またこの時、鹿児島のゴール前には鹿児島の選手が戻ってきており、山雅の選手3人に対し6人いました。つまりシュートを打たれても防げたし、横山選手が後ろにボールを戻せば鹿児島は組織的な守備ができたと思います。

VTRを見る限りだと横山選手はボールをさらしておいて、岡本選手がボールにアタックするのを待っていて、ボールに脚が来る瞬間に体を入れて倒されたように見えます。そう考えると横山選手のクレバーなプレーだったと思います。

ただ岡本選手はまだ若いですから、これをひとつの経験にして次の試合に向けて成長いただければと思います。

▽決勝点への道

決勝点は後半19分に生まれます。この時、鹿児島は一度ボールを失ったのですが、すばやく回収して攻撃を続けました。この日の鹿児島はボールを失っても、素早くプレスを掛けて何回も取り返していました。これがこの日の安定した試合運びになっていたと思います。

有田選手がニアに、米澤選手がファーに動き、山雅DFを混乱させる鹿児島

鹿児島がボールを回収した時点で、山雅の選手が4人ボールの近くにいました。そのため山雅のゴール前には山雅のDFが二人、鹿児島が二人いて数的同数の状態でした。ここで一度ロメロ・フランク選手がセンタリングを試みますが、それはブロックされます。このロメロ・フランク選手が千雅リングをする際に、有田選手がニアに走り(赤の点線)、山雅のDFをニアに引っ張ります(赤の点線)。これでゴール前は米澤選手と相手DFの1対1の状態になります。

そのこぼれ球を鹿児島が拾って、浮いたボールでセンタリングをしてファーの米澤選手にパスをします。山雅のSBの前選手は、最初米澤選手をマークできる位置にいたのですが、五領選手がニアに走ってくるのを見て、そちらに寄ります。

五領選手のフリーランニングに釣られて中によるSBの前選手

その瞬間に浮き球がファーポストに行ったので、慌てて戻ったのですが間に合わず、米澤選手がヘディングで2試合連続ゴールで決勝点となりました。

有田選手と五領選手のフリーランニングから生まれた、コンビネーションプレーでしたね。

全般的に見て鹿児島の方が主導権を握ったプレーができていたと思います。後半直後に山雅が選手交代してシステム変更してきた時間帯に押し込まれて失点しましたが、数回自陣でのボールロストからピンチがありましたが、山雅がキッチリと組み立てて崩される場面はほとんどありませんでした。

そういうことでは、とてもいい試合だったと思います。

▽先発メンバー固定の利点と弊害

先発メンバーはSBの星選手が戻った以外は変更なしです。先週も書きましたが、これが監督の考える現在のベストメンバーなんだと思います。

昨年も書かせていただきましたが、選手を固定して起用すると、戦術の浸透や個人同士の連携やコミュニケーションが深まるという意味ではいいことであると思います。特に今年のように11人中7人が移籍してきた選手で構成されている場合は、有効な方法だと思います。

ただ一方、この起用方法の場合、誰かが怪我で出られなくなった場合、代わりの選手がうまくフィットするのが難しくなります。また控えと先発が明確に別れてしまうと、控えメンバーのモチベーションを保つのが難しくなります。

プロなんやから、試合に出られても出られなくてもモチベーションあげろやという話なんですが、選手だって人間ですからね。常にモチベーションを保つのは難しいのも事実です。

練習で頑張った選手、成長した選手が出られるなら問題ないのですが、どんなに練習で頑張ったとしても常に決まったメンバーが出場するのは、チームマネージメントの面ではよくありません。

そしてそういうチームは、必ず調子を落とした際に、取り戻すことができません。一時期落ち込んだとしても、立ち直れるチームというのは、先発メンバーも控えメンバーも常に高いモチベーションを保ちながら練習に取り込めているチームで、そのチームは年間を通じて結果を残せます。

選手のモチベーションは、もちろん選手の問題でもあるのですが、やありそれを維持していくのは監督の仕事だと私は思います。それは監督のチームマネージメントの中では、大きな比率を占めると思います。

そういう意味で言うと昨年出場機会が限られていた白坂選手がベンチでいい声かけや雰囲気を作ってくれていたのは、チームを助けていたと思います。GKは一人しか出られないポジションなので、控えのGKのモチベーション落ちても仕方ないのですが、得点したときに真っ先に飛び出してくる白坂選手を見たのは一度や二度だけではないですよね。

ただ気になるのは、大嶽監督が3戦で許されている5人全員交代させていないのも気になります。もちろん戦術的に交代させる必要がないのに交代させることはありません。ただこれが続くと控えメンバーのモチベーションを保つのが難しくなります。個人的には選手の交代は試合の状況や戦術的要件から、試合ごとに適切に変更していくことが望ましいと思います。

正直、大嶽監督の練習を見ていないので、今の時点でいいとも悪いとも言えないのですが、これからの鹿児島の状況は注意深く見ていきたいですよね。

まだ第3節ですが2勝1分けで3位になりました。ただこれまでも前半快進撃を続けていたクラブが後半失速するのを何回も見てきました。まだまだ安心はできません。それにはさきほども述べたチームマネージメントを含めて、戦術的な改善を続けていかなければいけません。

木村選手や五領選手のことにも触れたかったのですが文章が長編になったので、次の機会に取っておきますWW。

それではまた来週お会いしましょう。

「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

PS:来週、我がホームタウンに鈴鹿ポイントゲッターズがやってきます。俺たちの三宅海斗選手(とカズ)を見に行く予定です。

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