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【要約】伸びる会社は「これ」をやらない!

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真のリーダーは未来にコミットする

リーダーは、その組織のおいて一番高いところに位置しています。社長であれば会社の一番高いところに、部長であれば部の一番高いところに位置しています。ということは、リーダーがいちばん遠い距離まで見ることができるのです。ここでいう距離とは、「時間」のことです。すなわち、リーダーは、どのメンバーよりも遠い未来を見る必要があるのです。
リーダーはいちばん高い位置にいるという責任をもって、判断し、意思決定することが求められます。今はどれだけ無意味に思えるような事であっても、一時的にメンバーの負担が多くかかることであっても、それがチームの未来にとって最善の選択であると判断したのであれば、責任を持って決断していかなければなりません。

社長と社員、立場によってみている景色が違う

社長は誰よりも高い位置から、誰よりも遠くを見ています。というより、見なければなりません。それだけ責任のある立場だからです。
ところが、部下を持たない新入社員は、会社で誰よりも低い位置から、誰よりも手前を見ています。個人の成績という、会社組織における最小の責任範囲しか担っていないからです。遠くを見る必要が無い立場なのです。

リーダーは、「君は目の前の一つ一つの作業を終わらせることに集中してくれ。君の力が完成に最も貢献できるよう指示することに、私は責任を持つ」と伝え、メンバーが判断すべきでないところを判断するような状態を作ってはいけません。
会社経営も同じで、社長は、「一人一人に与えられた目標を確実に達成してくれ。今の立場では、それが本当に理念の実現に貢献できているのか理解できないかもしれない。でも、君たちが一つ一つの目標を達成してくれれば、私が責任をもって理念の実現に近づける」という姿勢でいなければいけません。

数字・事実で判断できない評価基準はやめる

評価を進めるうえで最も大切なのは、「上司が部下に対して何を求めているのかを明確に伝えること」です。評価とは「求めている事柄に対する達成度を評価する」ものなので、「何を求めているか」が伝わっていない状況では、評価を始めることができません。
では、「何を求めているかが明確に伝わっている」とは、どのような状況を指すのでしょうか。それは「上司と部下で、100点満点の状態に対する認識が一致している」という状態です。
これができていないと、部下は求められていることを誤解し、間違った方向に行動する可能性が高くなります。部会無駄働きをさせてしまう可能性があることを認識して、必ず明確に「何を求めているか」を伝えなければいけません。

正しい成長と正しくない成長

成長するには新たなチャレンジが必要です。しかし、新たなことにチャレンジするだけでは正しい方向への成長ができません。「正しい成長」とは、生産性が高まる方向での成長のことです。生産性が高いかどうかは、社員であれば上司が判断し、社長であれば市場が判断します。一方、「正しくない成長」とは、生産性が低くなる方向での成長です。例えば、「言い訳がうまくなる」とか「頑張っている姿の見せ方がうまくなる」などの成長です。

成長とは、「できないことができるようになる」ことです。そして、成長するためには、「できないことが何かを認識する」こと、認識した「できないことができるようになる」ことが必要になります。できないことを認識させるのも評価の重要な機能ですし、できたことを確認するのも評価が持つ重要な機能です。つまり、評価というのは、部下の成長を管理する機能そのものなのです。

できないことを認識させるうえで重要なのは、「上司と部下で、100点満点の状態に対する認識が一致している」ことと、「感覚や感情ではなく、結果という事実で評価する」ことです。これができていれば、結果が出た際に何ができないか、何が不足しているかが明確になります。そうなれば、不足を認識したうえで、次の結果を設定して進みだすことができます。

できないこと(=不足)が明確になれば、次はその認識した「できないこと」ができるようになるために行動しなければなりません。この時重要なことは、上司が「正しい評価を繰り返すこと」に尽きます。正しい評価を実行し、部下に不足を認識させ、その不足を埋めるべく新たに求める結果を設定する。これを繰り返すことによって、できないことが減少していきます。そして、同じく「できたこと」を上司はしっかりと評価として伝えます。この過程を経る事によってのみ成長が実現します。

正しい成長には、正しい評価が必要です。正しい評価がないままで、どれだけ多くのことにチャレンジさせたとしても、正しく成長するとは限りません。社長や管理者が部下を成長させるということは、「部下を正しく評価し続ける」と同義であるといえます。

基本ルールの違反は許さない

「個人の職務能力が高い人間には、組織で決まっている誰でもできるような当たり前のルールについては、あまり細かく管理をしない、そこでストレスを与えないようにして、本業でしっかりと力を発揮してくれればそれでよし」これは、組織を運営していくうえで最もやってはいけないことです。なぜなら、弊害があまりにも大きすぎるからです。

まず、組織を運営していくなかでの「当たり前のこと」を著者は「姿勢のルール」と呼んでいますが、それは「できる・できないが存在しない、やろうと思えば誰にでもできるルール」のことです。「姿勢のルール」が守れない人は、評価対象にすらしてはいけません。「姿勢のルール」とは例えば、勤怠のタイムカードを必ず押す、業務日報を毎日必ず出す、来客者とすれ違った時には相手に聞こえるように挨拶をする、などのルールです。「できる・できないが存在しない、やろうと思えば誰でもできるルール」は、組織のメンバーである以上必ず守らなければならないことであり、国でいうところの法律と同じ扱いです。姿勢のルールを守らない人は、その組織のメンバーとして失格です。また、メンバーに姿勢のルールを守らせることができないマネージャーもマネージャー失格です。姿勢のルールには、スキルも経験も全く関係ありません。何があっても、絶対に守らせなくてはならないのです。

「協力」という言葉が言い訳の多い組織を作る

「皆が会社のこと、仲間のことを考えて協力し合えば、組織は有機的に動き、大きな力を発揮する。それぞれが連携しあって、その中でお互いの問題を指摘しあい、アイデアは共有しあって組織は成長していく」これが実現できれば、実に素晴らしい組織です。しかし残念ながら、このような組織運営をしていくことは不可能に近いのです。

組織の中で発生する言い訳の大半は、責任が重複している部分で発生します。一つの事柄に対する責任が複数の人間、あるいは複数の部署に課されたときに発生するのです。その理由は簡単で、何か不具合が発生した時に誰の責任かが明確にならないので、それぞれが自分の身を守るために自分以外の誰かに責任があると認識することが可能な状況にあるからです。組織を運営していくうえで、この状況は避けなければいけません。責任が重複する部分では、言い訳が発生します。言い訳が発生すると、その部分で業務が停滞しやすくなります。お互いに相手の責任だと認識しているから、期限管理などが甘くなるのです。

組織で目標を達成しようとしたとき、協力や連携は必要不可欠です。しかし、ただ協力したり連携したりするだけではうまくいきません。二人以上で協力したり連携したりする際には、必ず明確な責任者を設定しなければいけないのです。責任者になった人間は、その事柄に対して、結果に責任を負う代わりにルールを決定する権限を持ちます。協力する人は、責任者の指示に従わなければなりません。しかし、責任者の指示をしっかりと実行した上で悪い結果になったとしても、協力した人は責任を負うことはありません。協力した人に発生する責任は、責任者の指示を実行するという責任のみだからです。

部下の仕事に細かく口を出すのをやめる

どれだけ長い距離を一緒に走ったことがあったとしても、部下は少しも一人で走れるようにはなりません。短い距離だったとしても、一人で走らせることで走れるようになるのです。プロセスに口を出しすぎる上司の下にいる部下は、言い訳の思考を強く持つようになります。どんな言い訳かというと、「上司の言うとおりにやっているのだから、うまくいかなくても僕の責任じゃないですよね」という言い訳です。こうなってしまうと、「結果」を追い求める思考は停止し、「上司に言われたとおりにする」もしくは「上司に言われたとおりにやっているように見せる」ことに集中しだします。これではよい結果につながるはずがありません。

では、どのように管理していけばいいのでしょうか。管理すべきは「経過」ではなく「結果」でなければいけません。求める結果を明確にし、期日を迎えたときに結果を報告させます。そして、不足が発生しているようであれば、その不足を埋めるべく何を改善するのかを同時に報告させ、次の結果を設定します。これを繰り返していくのです。求める結果が部下の今のレベルからすると遠すぎると判断したら、間にもう一つ手前の結果を設定し、それも管理しましょう。

ここで最も重要なポイントは、やはり「プロセスに付き合わない」ということです。まだ経験やスキルに不安があれば、管理する機関を短くすればいいのです。一日ごとに求める結果を設定してもいいでしょう。しかし絶対に、プロセスには付き合わないようにする事が重要です。

求めた結果に対して不足があるときは、必ず何を改善するのかをセットで報告させるようにします。ここで重要なポイントは、改善する内容も結果で報告させることです。期限を迎えたときの「できた・できない」が明確になるようにします。その結果が未達成だったならば、対策が間違っていたことになります。それにより次にやるべきことがフォーカスされていきます。

「次、どうするのか」を正しく報告できている部下は、すでに過去の反省を完了させています。過去のプロセス報告の質を求めるのではなく、「次、どうするのか」という未来の結果をしっかりと見据えることができているのか、その精度を部下には求めるようにしましょう。管理をすべきなのは「結果」です。プロセスの質を上げるのは部下の仕事です。プロセスに上司が口を出しすぎると、部下の仕事であるプロセスの質を上げる事に対しての思考が停止します。そして、いつまでたっても上司からプロセスを指示してもらわないと動けない人間が出来上がってしまうのです。

時間を短縮することは、万国共通の必須テーマ

多くの人は、月給や時給という形で、時間に対して給料をもらっているために、時間をかけて仕事をした方が給料が増えます。そのため、時間に対する感覚が鈍くなり、時間当たりの仕事の質が落ちる要因となっています。

国や会社によって、働く人に求められるスキルや結果は異なりますが、時間を短縮できるスキルはどこに行っても価値があります。時間を短縮できれば、できる仕事の量が増えます。そして、会社は少ない人件費で高い結果を残すことができます。会社を成長させるうえで、時間に対する感覚を鋭く持つことは、最も重要なことの一つです。


時間を短縮できる組織は、生産性が高まります。そして、もう一つ重要な要素は、早ければ、遅い組織と比較して圧倒的に多く修正ができると言うことです。実行と修正を重ねることでしか、確実に目標に近づく方法はないのです。

組織の時間に対する感覚はリーダー以上に鋭くなることはありません。リーダーが時間に厳しくなれば、組織運営の速度も上がります。速度が上がれば、修正できる回数が増え、競合他社より確実に、より早く目標達成に近づくことが可能になります。

会社を成長させる社長は、常に孤独な立場です。その孤独を乗り越えた所に本当の会社の成長があると信じて、これからも事業に邁進していきましょう。

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