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大吉は凶に還る

2019年の6月に書いた記事です。

「これまで」の時代の成功のかたち…例えば、財閥系な企業に勤めて、それなりにエスタブリッシュな地位を得て、タワーな社屋に通い、ご家族で都心のタワーなマンションに暮らす。お子さんもお受験な名門の学校に通っているのかな…でも、これからの「時代の断崖」では、こういう方たちの落ち幅が最も大きくなるのかもしれません。明治になってから「オレは旗本だったんだぞ」っていってるような感じに。
意地悪でもなんでもなく、時代の流れが管理職な役職を過去のものにし、タワーマンションがステイタスの象徴だった時代を過去のものにする。組織の一員になれなければ稼ぎにならない人よりも、小さなcafeでも自分のお客さんを持ってる人。24時間、会社の仕事に追われている人よりも、自分の自由になる時間をたくさん持っている人の方が「羨望の眼差し」で見られるようになるのでしょう。同じ都会暮らしでも、タワーマンションより、低層な街並みが続く、商店街の一角や旧来の住宅街…そんなところに暮らしている方がおしゃれになるのかな。

世界の上位5%以内のお金持ちに入れるならいざ知らず、多少のお金持ちは貧乏との誤差みたいなもの。食べていけているのなら、自由になる時間をたくさん持っている「時間持ち」が「お金持ち」に勝る評価を得るようになるのだと思います。「大卒/バリバリ働く企業戦士な正社員」な時代の終わりですね。あのとき「軍人」の時代が終わったのと同様に…

庶民には公的な支援も薄く、子育てや介護の金銭的な負担も増え、給料は上がらないし残業は増加…次の時代への準備もできない。でも、ゼロ金利で銀行にはお金があるから、彼らはもっと住宅を建てろといい、レジャーや娯楽といった消費に誘う。それでも足りないから、体力のない会社にお金を貸し付けて無理に大型施設、社屋の新築を促す。挙句に政府まもが税金で株を買って人工的な好景気を創り出そうとする。もうしばらくすると、これが、あの時の「敗戦」にも似た「時代の断崖」を生み出すわけです。あの時、空襲で焦土になったと同じように再開発の失敗と住宅ローン破産の多発で、都市部は焦土化からのやり直し。地方だって、あのとき男手が復員せずに交配していった農村ともちろん、あの時と同様に、次の時代はハイパー・インフレからのスタートです。
そこに「戦前/戦後」みたいな大きな「時代の断崖」が現れるのでしょう。
すでに長期金利は上がり始めています。日本国債の評価も下がりはじめています。日銀もステルスで国債購入からは距離を置き始めているといわれています(すでに三菱UFJは国債購入を止めると宣言しています)。近く消費税も上がります。年金支給開始は後ろに倒れるのでしょう。もうすぐ高齢者は2千万人です。
あと数年かな。オリンピックが終わって経済が鈍化しなかったのは、直後に「IT」という別のバブルが始まり始めたロサンゼルスだけですからね。

うちのオヤジは25歳までに「死ぬ」という人生設計で、どこで死んだら華々しいかを考えるのが夢だったので、生きて迎えてしまった戦後は、どこかでずっと空虚だったそうです。

「時代の断崖」とは、個人にそういう苦労を強いるのでしょう。

…大吉は凶に還る
高度成長期~バブルは「吉」に過ぎましたし、その後の時代も、その時代のおつりでやって来ちゃいましたからね。経験者は「凶に還る」というわけです。できるだけ、今のうちから「次の時代」をイメージし、アジャストしておくことだし、「これまで」にしか通用しないことに遮二無二ならないことだと思います。若いみなさんにはひたすら恐縮に存じます。ホントに。