写生なデザイン
「サカタのタネ」ガーデンセンターのあるあたりは「桐畑(きりばたけ)」といいう地名(横浜市神奈川区)。そこに今でも1本だけ桐の木がある。今はオフシーズンだけど、開花期(4月末から5月の上旬ぐらい)には桐らしい花をつける。
桐花といえば、家紋のデザインで最もポピュラーなもののひとつ。皇室が臣下に対して下賜する家紋だったために、勲章のデザインにも用いられていまるし、その「やんごとなきイメージ」にあやかりたいと思う人(例えば太閤秀吉とか)にも使用され、その太閤秀吉の影響か、やんごとない一方で巷に汎用されている家紋でもある。
実物の桐花を見てみると、写実的で、素直に意匠化されたものだと、改めて思う。近代的な自我を持つ僕らは、どうしても自分なりの解釈をくっつけたくなるものだけど、このデザインは、そういうことをできるだけ排して、素直に実物がイメージできるようにという意図が、とても大事にされているように思う。
上は「桐枝丸」という名前の桐家紋。桐家紋の場合、例えば、花弁の数の組み合わせだけでも、いくつかの種類がある多様な家紋だけど「桐枝丸」は、創作性が高いものとされている。でも、ちょっと引いて、実物の枝ぶを眺めてみると、これも、案外、写実性の高いものなのかなと思ったりする。
いや、ホントにそう。
いずれにせよ、昔のデザイナーの方々は、私的な解釈をぐっと押さえて、自然の持つ「天然の美」を掘り起こそうとする姿勢を、ことさらに意識することもなく、お持ちになっているように思う。
「私」っていう気負いがなくてね。見習うべきだなぁって。