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市川森一さん

僕らはテレビで育ってきたようなところがあるから、市川森一さん、山田太一さん、倉本聰さんには、とりわけ、大きな影響を受けてきたんだろうと思う。多分、自覚している以上だ。そして、お三方は、お三方ともに「当時の繁栄」に懐疑的だったし、具体的に、その「懐疑」の部分を 判りやすくTVドラマに描いて僕らに提示してくれもした。

でも、僕は、その「判りやすさ」にも関わらず「当時の繁栄」に目がくらみ、申し訳ないことに、お三方が鳴らしてくださった「警鐘」を、同時代に、正確に受け取ることはなかったんだろうと思っている。

でも、後にぐさっときた…

自分が繁栄を謳歌した後だけに、よけいに響くし、己の醜さも思わざるを得ない。

そんな感じだったと思う。

しかも視点がやさしい…

市川さんの映画作品「異人たちとの夏」「長崎ぶらぶら節」、TVドラマの代表作のひとつ「淋しいのはお前だけじゃない」。人間のずるさを「しょうがねーな」と、やさしい視座からかばってくださるような…

「傷だらけの天使」「黄金の日日」 僕は「私が愛したウルトラセブン」も好きだ。

ああ、そうか、もう市川森一さんはいらっしゃらないのか。

ときどき、ふっと、そんなことを思う。