本記事は、戦争研究所(ISW)の2024年1月13日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
[*記事サムネイル画像:https://russianmilitaryanalysis.wordpress.com/2020/10/01/kavkaz-2020-september-25-day-5/ より]
ロシア軍、地上軍内にヘリボーン部隊を編成か
報告書原文からの引用(英文)
日本語訳
現在進行中の大規模な軍改編の一環として、ロシア軍が地上軍[陸軍]の諸兵科連合部隊内に空中強襲旅団を編成している可能性がある。1月11日、ロシアの軍事ブロガーは、ロシア諸兵科連合軍が空中強襲旅団の編成に着手していると主張した。なお、この空中強襲旅団は、ウクライナ側前線の背後への着陸と偵察が遂行可能な特殊専門的な部隊として活動することになるとのことだ。これはロシア軍にとって新しい考えではないと、ロシア側情報筋は指摘し、アフガニスタンにおけるソヴィエトの作戦を類似例として引き合いに出した。あるロシア側情報筋の指摘によると、地上軍部隊内に空中強襲旅団が存在することで、パラシュート降下を行わずに、ウクライナ側前線のすぐ後方への部隊展開が可能になるとのことで、その手段としては、ヘリコプターを用いて前線のすぐ後方に兵員を迅速に展開させるというものになるだろうとのことだ。そして、このような例として、2022年2月24日にキーウ近郊のホストメリ空港で起こった戦争初期の戦いをあげた。この種の空中強襲旅団である第49独立空中強襲旅団は、第58諸兵科連合軍(南部軍管区)の一部として、すでにザポリージャ方面で活動中であると、ロシア側情報筋は主張している。空中強襲旅団は現在のロシア軍のなかで、ロシア空挺軍(VDV)に属する部隊として存在している。そのため、ロシア「地上軍」がこの種の部隊を導入しようとしている可能性があるという推察は、注目に値する。ISWは以前から、諸兵科連合部隊内での偵察・強襲旅団編制の事例を確認しており、このような特殊目的部隊の創設は、ロシア軍がこれまでウクライナにおいて直面してきた特定の戦術的課題に対する同軍の対応を意味するものと分析してきた。とはいえ、より大きなVDV部隊組織とは別に強襲旅団を展開させることは、短期的には、ウクライナ軍強化防御陣地に対する歩兵主体の消耗戦的正面突撃攻撃の新たなもう一つの手段として、上述の空中強襲旅団を用いていくことを意味することになる可能性が高い。