本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年12月2日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
クレミンナ方面のウクライナ軍局地的反撃
報告書原文からの引用(英文)
日本語訳
ウクライナ軍は12月2日にクレミンナ付近で前進できた。また、同軍は最近、クプヤンシク方面とリマン方面で局地的な反撃を続けている。撮影地点特定済みの12月2日投稿動画によって、ウクライナ軍がディブロヴァ(クレミンナから西に6km)の西方で前進したことが分かる。ロシア国防省は、詳細不明のロシア軍西部部隊集団所属部隊がクプヤンシク方面でウクライナ軍の攻撃を18回撃退し、11月25日から12月2日の間にリマン方面でウクライナ軍の攻撃を13回撃退したと主張した。ハルキウ州軍政当局長官オレフ・シネフボウによると、ウクライナ軍はハルキウ州全土、特にクプヤンシクとボロヴァ(スヴァトヴェから西に35km)の両方面で防御陣地の拡張を進めているとのことだ。シネフボウは、ウクライナ軍がいくつかの地点でロシア側陣地から数km離れたところに防御陣地を構築していると述べた。
バフムート方面でのロシア軍攻勢
報告書原文からの引用(英文)
日本語訳
ロシア軍は12月2日もバフムート周辺での攻勢作戦を続けた。また、同軍の前進が報告されている。ロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍はバフムート北方のボフダニウカ(バフムートから北西に5km)付近とバフムート南方のクリシチーウカ(バフムートから南西に7km)付近で攻勢作戦を続けたとのことだ。ある軍事ブロガーは、具体的な位置は不明だが、ウクライナ軍がボフダニウカ付近の陣地から撤退したと主張した。別の軍事ブロガーは、ロシア軍がボフダニウカ東方に位置する開闊地へと進んだと主張している。ウクライナ側情報筋の一つは、ロシア軍がアンドリーウカ(バフムートから南西に10km)でウクライナ側陣地を数箇所、占領したと主張したうえで、最近主張されたロシア軍の成果は新鮮な旅団が複数個、到着したことにあると指摘した。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、フリホリウカ(バフムートから北西に6km)付近、ボフダニウカ付近、イヴァニウシケ付近、クリシチーウカ付近、アンドリーウカ付近で、ウクライナ軍はロシア軍の攻撃を撃退したとのことだ。
アウジーウカ方面でのウクライナ・ロシア両軍の動き
報告書原文からの引用(英文)
日本語訳
ロシア軍は12月2日もアウジーウカ方面で攻勢作戦を続けた。また、同軍の前進が確認されている。撮影地点特定済みの12月2日公開動画に、ロシア軍がステポヴェ(アウジーウカから北西に3km)の南方でわずかに前進した様子が映し出されている。12月1日と2日にロシア軍事ブロガーは、ステポヴェ付近、ノヴォカリノヴェ(アウジーウカから北に7km)の南東方向、シェヴェルネ(アウジーウカから西に6km)の西方と東方で、ロシア軍が前進したと主張した。それに加えて、12月1日と2日にロシア軍事ブロガーは、アウジーウカの南東に位置する工業地区内で、ロシア軍が陣地を固めたとも主張した。ウクライナ人軍事評論家のコンスタンティン・マショヴェツの12月2日付報告によると、ここ数日間、ロシア軍はアウジーウカの北方、北東方向、南方、南西方向、南東方向で複数軸からの攻撃を仕掛けたが、それらは成功しなかったとのことだ。ウクライナ軍参謀本部はウクライナ軍によるロシア軍攻撃の撃退地点を、次の場所であると報告した。それらは、ノヴォカリノヴェの南方、ノヴォバフムティウカ(アウジーウカから北西に9km)の東方、ステポヴェ付近、アウジーウカ付近、シェヴェルネ付近、ペルヴォマイシケ(アウジーウカから南西に10km)付近である。ウクライナ軍タヴリーシク部隊集団報道官オレクサンドル・シュトゥプン大佐は、ロシア軍が11月30日以降、アウジーウカ周辺での攻撃の規模をこれまでの3分の2にまで落としていると述べ、その理由としてロシア側人的損失の甚大さをあげた。また、ロシア軍がこの地域で攻撃と再編成を続けていることをシュトゥプンは指摘した。
ウクライナ軍がアウジーウカ周辺で反撃を行うなか、ここ最近、ウクライナ側の何らかの前進があったことが12月2日時点で伝えれている。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは12月1日に、ウクライナ軍が最近、ステポヴェ外周部の陣地を制圧したものの、その後にロシア軍が陣地を奪還したと主張した。12月2日にマショヴェツは、ウクライナ軍がステポヴェ南方とノヴォカリノヴェ南方の陣地を制圧したと述べた。