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【記事和訳】前線概況:最近の進展 アウジーウカ、クプヤンシク、アンドリーウカ - 29.11.2023(FRONTELLIGENCE INSGHT)

上記リンクは、ウクライナ人予備役将校が立ち上げた戦争・紛争分析プロジェクト“FRONTELLIGENCE INSGHT”によるウクライナ戦況解説記事です。

そして、本記事は、この英文記事の日本語訳になります。なお、使用した画像はすべて原文からの転載になります。


日本語訳

私たちのチームは各種の技術的、非技術的情報源を用いて、前線を細やかにモニターし続けている。前線の全般的情勢は極めて活発な状態であり、凍結した戦線もしくは安定した戦線という見解は、私たちから見ると不正確である。現状、私たちが確信しているのは、ザポリージャにおけるウクライナ軍攻勢作戦の主要段階の終結を受け、ロシア軍が戦略的主導権を獲得しようとする方向に動いているということである。

戦線全体で攻撃が続いているものの、ロシア軍の攻撃が極めて活発に動いている地域を、私たちは3箇所、特定した。

  • クプヤンシク地域

  • バフムート南方

  • アウジーウカ

アウジーウカは依然として主注力点になっている。ここで攻撃が始まったときから、私たちはその重要性を正確に認識しており、ロシア軍はこの作戦にかなりのリソースを注ぎ込むことになると正しく評価分析をしていた。公開情報と現地からの情報の双方によって、アウジーウカ北方に展開するロシア軍は現在、ステポヴェよりもずっと西方へと進む能力をもっていないことが分かる。私たちは以前の分析で、そうなる理由を説明している。そして、11月28日からの画像がはっきりと示しているのは、以下画像で強調したエリアに大量の砲撃がなされているということだ。

ウクライナ、ドネツィク州アウジーウカ地区
48.19660, 37.69139 | 2023-11-28

ロシア軍はAKHZ[アウジーウカ・コークス工場]に足場となる拠点を築き、石炭屑集積場(ボタ山)付近の廃棄水処理施設での戦力展開を拡張しようとする努力を頑固に続けている。それに加えて、ロシア軍は鉄道線に沿ってステポヴェよりも北方へと伸長しようと試みている。その一方、今のところ、鉄道線を越えたところで足場となる確固たる拠点を築くには至っていない。

ウクライナ、ドネツィク州アウジーウカ地区
48.11776, 37.79288 | 2023-11-28

アウジーウカの南部地区、特に工業地区において、ロシア軍は一部分を制圧下に置くことができてはいるものの、それには相当な損失が伴った。ここの情勢は流動的であるため、工業地区全体への堅固な支配を確立できるかどうかに関して、はっきりとした結論を示すことは難しい。ただし、工業地区内でのウクライナ軍の形勢は悪くなっており、それはさらに悪化するかもしれないということはできる。

ウクライナ、ハルキウ州シンキウカ
49.76462, 37.70265 | 2023-11-22

ハルキウ州、特にクプヤンシク地域において、ロシア軍は自軍の戦術的状況の改善を図っているところで、シンキウカ付近での攻撃の試みをずっと続けようとしている。この取り組みは、何カ月も続けて行っているにも関わらず、ごく最低限の成果しか生んでいない。現時点での全般情勢は、比較的安定している模様だ。上記の画像で強調した樹木線を見ると、砲撃によるダメージが視覚的に理解できる。そして、これはシンキウカのこの箇所で戦闘が続いていることを示している。

ウクライナ、ドネツィク州アンドリーウカ
48.50164, 37.36905 | 2023-11-28

戦線全体で最も活発な地域の一つがバフムート南方だ。この作戦軸の状況は厄介なもので、強襲攻撃の頻度増と通常よりも投入兵員数が多くなっているという特徴がある。これは、クリシチーウカ〜アンドリーウカ〜クルディウミウカ軸線上で特にいえることだ。ウクライナ軍はかなりに損失を敵側に与えているが、ロシア軍がとりわけこのエリアで圧力を徐々に増していることを考えると、ウクライナ軍が今後、すべての攻撃を成功裏に撃退できると今の時点でいうことはできない。


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