本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年12月11日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
(記事サムネイル画像:ウクライナ軍参謀本部投稿写真より)
アウジーウカ方面
報告書原文の引用(英文)
日本語訳
12月11日もロシア軍はアウジーウカ周辺で攻勢作戦を続けた。また、ロシア軍はここ最近、わずかだが前進できている。撮影地点特定済みの12月9日投稿の動画に、ロシア軍がステポヴェ(アウジーウカから北西に3km)の東方で前進している様子が映っている。12月11日、複数のロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がステポヴェ付近の鉄道線エリアとステポヴェ内北部において戦術レベルで前進したと主張した。ある軍事ブロガー・アカウントは、ロシア軍がアウジーウカ市の行政境界線へと進入したと主張したが、ISWはこれらの上述の主張を裏付ける映像資料を確認できていない。また、ウクライナ軍参謀本部報告によるロシア軍攻撃撃退地点は、アウジーウカ周辺、ノヴォバフムティウカ(アウジーウカから北西に9km)の東方、シェヴェルネ(アウジーウカから西に6km)とトネンケ(アウジーウカから西に5km)の各南方、ペルヴォマイシケ(アウジーウカから南西に10km)付近、ネヴェルシケ(アウジーウカから南西に14km)付近である。
最近、アウジーウカ周辺においてロシア軍が、機械化部隊による攻勢作戦を増大させているということを、ウクライナ軍当局者が示唆している。ウクライナ軍タヴリーシク部隊集団報道官オレクサンドル・シュトゥプン大佐は、12月10日にアウジーウカ付近とマリインカ(ドネツィク市の西に隣接)付近で、ロシア軍が装甲車両に支援された相当大規模な攻勢作戦を開始したと述べたうえで、ウクライナ軍がロシア軍戦車11両と装甲戦闘車両15両を撃破したことを発表した。ウクライナ軍参謀本部は、ウクライナ軍が12月11日にアウジーウカ付近で少なくとも49回のロシア軍の攻撃を撃退したと報告しているが、これは過去数週間と比較すると、かなりの回数増である。そうであるとはいえ、このような攻撃の結果としてロシア軍がアウジーウカ周辺でかなり大きな戦果をあげたことを、ISWは現状、確認していない。
ザポリージャ州西部
報告書原文の引用(英文)
日本語訳
12月11日もウクライナ軍はザポリージャ州西部で攻勢作戦を続けたが、前進できていない。複数のロシア側情報筋は、ロシア軍がヴェルボヴェ(ロボティネから東に9km)付近でウクライナ軍の攻撃を撃退したと主張した。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つの主張によると、ウクライナ軍はこの地域で攻勢作戦をまったく実施しなかったとのことだ。また、複数のロシア軍事ブロガーが不満を表明しているが、その不満とは、ロシア軍はウクライナ側ドローンに対抗するための電子戦(EW)システム装備をザポリージャ州戦線に十分な数、送っていないというものだ。ある軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍統帥部は現在、戦線の他地区より少ない数のEW部隊と砲兵部隊しかザポリージャ州西部に投じていないとのことだ。
ロシア軍は12月11日もザポリージャ州西部で反撃を続けた。また、ロシア軍の前進が報告されている。複数のロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がノヴォプロコピウカ(ロボティネから南に2km)付近の陣地とザポリージャ州西部のどこかの森林エリアを奪還したと主張した。だが、このような主張を裏付ける映像資料をISWは確認していない。ウクライナ軍参謀本部は、ロボティネ付近とノヴォポクロウカ(ロボティネから北東に12km)付近でロシア軍の攻撃を撃退したと報じた。