本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月22日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
アウジーウカ方面情勢
報告原文抜粋(英文)
日本語訳
11月22日、ロシア軍はアウジーウカ周辺で攻勢作戦を激化させた。また、同軍はアウジーウカの南東側外周部で前進した模様だ。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ロシア軍は22回を超える強襲攻撃を行ったが、不成功に終わったとのことだ。ウクライナ軍参謀本部が報告したロシア軍の攻撃箇所は、ノヴォバフムティウカ(アウジーウカから北西に12km)の東方、ラストチキネ(アウジーウカから西に5km)の北方、アウジーウカ付近、シェヴェルネ(アウジーウカから西に6km)付近、ペルヴォマイシケ(アウジーウカから南西に11km)付近である。ウクライナ軍タヴリーシク部隊集団報道官オレクサンドル・シュトゥプン大佐は、ロシア軍がアウジーウカ付近での強襲攻撃作戦をかなり激化させたことに触れたうえで、前日のロシア軍の強襲攻撃数が25〜30%増だったと、この地域のウクライナ軍が指摘していることにも触れた。。シュトゥプン発表によると、ロシア軍はアウジーウカ方面において10数両の装甲車両を用いた機械化戦力による強襲攻撃を遂行したとのことで、ウクライナ軍は戦車2両と装甲戦闘車両7両を撃破し、この強襲を撃退したとのことだ。複数のロシア軍事ブロガーは、ロシア軍が奇襲攻撃に成功し、アウジーウカ南東側外周部の工業地区で建築物5箇所をすばやく占領したと主張した。あるロシア軍事ブロガーは、ロシア軍が工業地区から南西に位置するウクライナ軍強化防御陣地群も占領したと主張した。ロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がステポヴェ(アウジーウカから北に3km)付近で何らかの戦果をあげ、この集落は現状、両軍が相争う「グレーゾーン」のままであると主張した。シュトゥプンは、アウジーウカ周辺でのロシア側航空作戦も増加していることに言及しており、ロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がアウジーウカの南北側面での砲爆撃を増大させたと主張した。シュトゥプンによると、気象条件は現状、アウジーウカ方面での戦闘のテンポに影響を及ぼしていないとのことだ。また、冬の気候によってこの地区の枝葉が少なくなったことで、ロシア軍の歩兵突撃がウクライナ軍から見えやすくなっていることを、シュトゥプンは指摘している。ウクライナ人軍事評論家のコンスタンティン・マショヴェツによると、ロシア軍統帥部は、アウジーウカ方面での戦闘に第255自動車化狙撃連隊(南部軍管区第8諸兵科連合軍第20自動車化狙撃師団)に所属する部隊を投入したとのことだ。
ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ウクライナ軍が11月22日にアウジーウカ北方のステポヴェ付近で反撃したと主張したが、どのような結果だったのかは具体的に示さなかった。