本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月27日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
要点(Takeaways)
報告書原文の一部引用(英文)
日本語訳
黒海及びウクライナ南部でのサイクロンによって、ロシア南部の沿岸地域と同国占領下ウクライナ領の多くの地域において、インフラ施設への被害が発生した。また、サイクロンはウクライナ戦線の軍事行動のテンポに大きな影響を及ぼしている。だが、サイクロンによって、軍事活動全体がはっきりと休止しているわけではない。
ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相と複数のロシア軍事ブロガーは、ウクライナにおいてロシアは積極的な作戦行動を維持しなければならないと述べた。また、ウクライナへのさらなる西側軍事支援の見込みに関する不安感も表明した。
さらに軍事ブロガーの一部は、ロシアに明確な戦争目的がないと受け取られていることへの不満が増しているという見解を示し、休戦もしくは戦争終結について話し合う前に、ロシアは戦争目的をはっきりさせる必要があると指摘した。
ウクライナ国家安全保障国防会議のオレクシー・ダニーロウ書記は、クレムリンがウクライナ社会の不安定化を企図して、ウクライナ国内の休眠工作員ネットワークを活性化させていると指摘した。
ロシア・フィンランド国境で人為的に難民危機をつくり出そうとしたロシアの試みは、フィンランド当局の迅速な対応の結果、失敗しつつある模様だ。
クレムリンは今後ありうる緊縮財政措置の責任を、ロシア占領当局の長と、選別された4つのロシア連邦内共和国の長に押しつけようとしている模様だ。
ロシア軍は、クプヤンシク〜スヴァトヴェ〜クレミンナ線沿い、バフムート周辺、アウジーウカ周辺、ドネツィク・ザポリージャ州境地域、ザポリージャ州西部において、攻勢作戦を実施したが、同軍の前進は確認されていない。
11月27日、ロシア海軍副司令官ヴィクトール・アスタポフ中将は、海軍歩兵部隊の戦闘能力増強のために、ロシア海軍が海軍歩兵旅団を師団へと再編成していることを認めた。
ロシア占領下ウクライナ領の至るところで、ウクライナ側パルチザンである可能性の高い実行者は、ロシア占領部隊を攻撃目標にし続けている。