本記事は、戦争研究所(ISW)の2023年11月30日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
(記事サムネイル画像:ウクライナ軍参謀本部Facebook投稿より)
ロシア軍の動向:クレミンナ方面
報告書原文の引用(英文)
日本語訳
ロシア軍は11月30日にクレミンナ付近での局地的な攻勢作戦を一時的に活発化させた。だが、同軍の戦果は確認されていない。ウクライナ軍参謀本部の報告のよると、ウクライナ軍はヤマポリウカ(クレミンナから西に16km)付近、トルシケ(クレミンナから西に15km)付近、テルニー(クレミンナから南に10km)付近でロシア軍の攻撃を撃退したとのことだ。11月30日、ウクライナ軍参謀本部はその日初めの情勢報告において、ウクライナ軍がリマン方面で24回の攻撃を撃退したと発表したが、その日の後半に報告されたロシア軍攻撃の撃退回数はたったの4回だった。ウクライナ人軍事評論家コンスタンティン・マショヴェツは、ロシア軍第20諸兵科連合軍(西部軍管区)所属部隊と新編の第25諸兵科連合軍所属部隊が、ジェレベツ川(ドネツ川の支流で、北からドネツ川に向かって流れ込む川)左岸からウクライナ軍を一掃することを目的に、リマン方面での攻勢を再開したという見解を述べた。だが、ISWはジェレベツ川に向かう連携のとれたロシア軍攻勢企図を示す証拠情報を確認していない。
ロシア軍の動向:バフムート方面
報告書原文の引用(英文)
日本語訳
11月30日、ロシア軍がバフムート周辺において、複数の地点で前進したという情報が伝えられている。複数のロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍はベルヒウカ貯水池(バフムートから北西に3km)の南方とボフダニウカ(バフムートから北西に5km)付近で前進したとのことだ。軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍がまた、フロモヴェ(バフムートの西側に隣接)付近で、バフムート〜チャシウ・ヤール高速道路の一区画を占領したと主張した。ロシア軍が、そのなかでも第11独立空挺(VDV)旅団が、フロモヴェを占領し、この集落の北方と北西方向にある森林地帯で前進したという主張を、複数のロシア軍事ブロガーが繰り返しているけれども、ISWはこのような主張を裏付ける映像を確認していない。ウクライナ人軍事評論家のコンスタンティン・マショヴェツは、クリシチーウカ(バフムートから南西に7km)付近、フロモヴェの北方、ボフダニウカに向かう方面で、ロシア軍がウクライナ側陣地を複数箇所、占領したという見解を示した。ウクライナ軍参謀本部は、ウクライナ軍がボフダニウカ付近、イヴァニウシケ(バフムートから西に6km)付近、アンドリーウカ(バフムートから南西に10km)付近、クリシチーウカ付近でロシア軍の攻撃を撃退したと報告した。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは11月29日動画を投稿したが、そこに映っているのは、ロシア軍第98VDV師団所属部隊がバフムート周辺で行動している様子である。