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【SNS投稿和訳】ウクライナ情勢:過度な楽観論を戒める(Tatarigami氏)

はじめに

ウクライナ軍予備役将校のTatarigami氏が、以下のX投稿で現在のウクライナ戦況を過度に楽観視する見解を戒めています。このような見方は不正確であるばかりか、有害になる可能性があると指摘しています。

以下は、Tatarigami氏のX投稿(日本時間2023年10月7日04:51投稿)の日本語訳になります。


日本語訳:

私は最近、全般情勢に関してネガティヴなコメントを控えるように努めてきた。だが、過去2カ月間、私からみると不正確であるばかりか、有害にもなりうるコメントが継続して流れている状況に、私は常に出くわしている。

私がみるところ、直近の傾向の一つに、ロシア軍には予備戦力がなく、兵員が欠乏しつつあるという主張がある。この情報は不正確であるのみならず、ロシア軍予備戦力の位置とその投入可能性に関する具体的なデータも欠いている。

第76師団[*注:ロシア空挺軍第76親衛空挺師団]が南部への移動を開始したときのことだが、過去に私も同じようなコメントをしていた。

だが、不幸なことだが、戦線上の様々な地区から、さらに追加の部隊と予備戦力が投入されている様子を、私はその後も引き続き目撃している。これら戦力が攻勢能力をもつ可能性があるとは考えにくいけれども、これらの戦力は、ウクライナ軍が防衛網を切り裂こうとしている可能性のある地区に投入されている模様だ。その目的は、ウクライナ軍部隊を遅滞させながら、ウクライナ軍が突破した際に同軍がそこにつけ込んでいく能力を厳しく制約していくことにあるように思われる。

結局のところ、ロシア軍には現時点で自ら進撃する必要はなく、ウクライナ軍が反転攻勢によって得られるものを最小化することを、目的としている。ロシア軍は今でもかなりの対戦車能力をもち、地雷遠隔散布能力、徘徊型ドローン展開能力ももっており、砲撃力と対砲兵戦闘能力を維持している。一群の人々が、ロシア軍は崩壊間際にあるとか、予備戦力を消耗してしまっているとかいった言説を広めるとき、その言説は、非現実的な期待感を育むことになり、長期的な計画とヴィジョンの必要性に注意が向かないようにしてしまう。この種の言説は、短期的な楽観論を過度に強調する結果を招きかねず、誤りを認めること、変革の必要性もしくは支援増の必要性を認めることを、阻害することにもなりかなねない。

戦争を見ている者には、進撃は止まることなく続きうるものにみえるのかもしれない。だが、現下の情勢が明らかにしている事実は、無限に供給される弾薬をウクライナはもっていないという事実だ。そして弾薬の多くは、米国経由で韓国から提供されたものだ。さらにいえば、ウクライナは既に前線展開している各旅団のための無尽蔵な兵員源をもっているわけでもない。

健全な楽観主義を維持することは、我が軍[*注:ウクライナ軍]がさらに進撃するなか、絶対に必要なことだ。ロシア軍が深刻なほどに戦力低下しており、ウクライナ軍の対砲兵射撃によって、ロシア軍砲撃力が低下しているということは事実だ。ロシア軍捕虜は、ロシア軍内の規律の欠如や戦闘意欲の喪失について証言している。そうであっても、楽観主義を、思い違いに基づいた多幸感に変えてしまってはいけない。

今年の春の初め、私は非現実的な希望的観測を抱くことへの注意喚起をし、ロシア軍防衛網は数週間か数日間で崩壊し、クリミア解放を祝うことになるだろうという考えに対しても注意喚起をした。私が強調したことは、反転攻勢のみで戦争に勝利することはできないだろうし、我々には長期的なプランが必要だということだった。今、この私のメッセージが、もっと強力に響き渡ることを願っている。

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