中国でも人民解放軍などから時として、強硬論が噴き出すことがある。

20年にはコロナ感染の広がりによって、太平洋に展開する米空母が長期の寄港を余儀なくされた。これを好機と見なす声があった。このときは軍内から軽挙を戒める声が上がった。共著『超限戦』で知られる喬良・退役空軍少将は、米国との総合的な国力の差は、コロナ禍程度で埋まらないと指摘。
「有事には台湾から外資は、すべて引き揚げてしまう。失業した2000万人の台湾住民を、どう統治するつもりか」と強硬派をたしなめた。台湾での、日本の大使館に当たる、日本台湾交流協会台北事務所で、安全保障担当主任(駐在武官に相当)を務めた渡辺氏は、「例えば沖ノ鳥島に弾道ミサイルで戦術核を撃ち込み、介入しないよう日米に警告を与えるシナリオが考えうる」という。
日本の最南端である沖ノ鳥島は、沖縄本島と米領グアムの中間にある軍事的要衝だ。中国は島ではなく、岩礁だと主張しており、核攻撃への国際社会の反発は限られるとの計算も働こう。(東洋経済 2022年7月16日号)より

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