つめたいよるのうた

 不健康とはほど遠く、でも健康とは言えない半端な毎日を送ってきました。あなたのことを思って、今日も風邪を引いて、隣人に叱られて、わたしはスキップをしながら帰ります。犬は嫌いだけど、猫と子供はもっと苦手。誰かの歌を信じられるようになったのは、とても最近のことでした。ボールを蹴ろうとすると、初めて酔っ払いのようになれます。髪を乾かすのに30分もかかるのは、煩悩に侵されているからです。他人に言われるのはむかつくから自分で言うけれど、わたしは最低です。そして、あなたも最低。そう言って笑い合ったことを、一生忘れないでしょう。それでもわたしは、あなたを許すよ。ノンアルコールで乾杯しましょう。深いひとに、なりたいね。そう言ってお店を出たら、ほろ酔いのふりをしてエスカレーターをくだります。お別れの改札はすぐそこ。今世であなたとキスはできません。抱きしめ合ってお別れしたら、明日は土曜日です。あの人の一人称がわたしとは違うことに、時々とてもびっくりする。そして、わたしとは違う人間であることに安心する。そうやって恋をして、わたしはまた、風邪を引きます。それでも絶対に、あなたのために書きたくない。そう言ったら、拍子抜けされてしまいました。おかしなことを、言っただろうか。わたしが、書かなければ心を手放せないことを、わたしよりもよく知っていたからだろうか。でもあなたに書けと言われたら、書いてしまうかもしれない。そういう人がこの世界にふたりだけいます。気付いたら隣人がまたひとり、わたしから離れていきました。いつかまた、会ってくれますかと聞いてみたけれど、返事はもらえなかった。これ以上諦め方を覚えていくのは嫌なのに、どうしようもない。悪いのは、どちらでしたか。傷付けたいだなんて、いちばん醜い愛だね。ずっと昔の人たちが辿ってきた道を、わたしも同じように歩いているだけです。そうやって、わたしはどんどんつまらない人間になっていきます。そんなことないよと言ってくれるけれど、わたしがそう思うから正しい。わからなくてもいいよ、わたしは怒っているのです。だからここで眠ります。悲しいけれど、不幸せなわけじゃなかったの。そうしてあなたの涙に、わたしの命は宿りません。


#日記 #詩

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