治療院での施術中に許可なくブラジャーのホックを外されたこと・続き


その後の話です。

端的に言うと、納得のいく結果は得られませんでした。いいご報告ができないことを残念に思います。

2月に知人の紹介で弁護士(以下K氏とします)が見つかりました。これからどういう書類を先方に送るかなど事務的な手続きをしている間に、先方から弁護士(以下Y氏とします)「加害者であるA先生の4月からの異動が決まった。和解金○○円を支払うので和解してほしい」といった旨を伝えられました。
この院はグループ店であり、私はY氏に「できるだけ遠くに異動してほしい。例えば〇店(自宅から2駅しか離れていない)などでは納得しない」といった内容を伝えていたのにもかかわらず、異動先は先方の都合によりその〇店でした。どこまでも悔しい思いをK氏に伝え、Y氏に慰謝料請求を求める内容も含め、3月から現在に至るまで書面上でのやりとりを続けています。
さらに言うならば、先方からの返事にいつも2週間以上かかっていることにも、誠意のなさを感じざるを得ません。

2019年12月に先方の代表と最後に話をした際に、代表から「Aには今現在手厚いカウンセリングを行っているので、二度とこのようなことは起こらないと思います」という発言があり、思わず笑ってしまって。
「私は日本にシステムとして被害者をないがしろにするところがあるのが常々疑問です。加害者にはカウンセリングをするのに、被害者には自己都合で連絡してくるんですね」と言ってしまったのを覚えています。私は日本にシステムとして被害者をないがしろにするところがあるのを常々疑問に思っています。過失があったのを認めるとするのであれば、被害者に対する真摯なケアが全ての前提にあるのではないかと考えます。

5月にK氏が加害者のA先生とコンタクトを取り、色々な事がわかりました。A先生は〇店で勤務はしているものの、週に1度しかシフトは入れられておらず、理由も明確に説明されていなかったとのことでした。事実上の左遷です。また驚くべきことに、そもそもA先生は入社の際に何も研修を受けておらず、いきなり施術をする立場だったのです。
私は異動は希望しましたが、左遷を希望したわけではありません。まさか実際にはカウンセリングなど行われておらず、上司からは「弁護士を雇って対応するから何もするな」くらいのことを言われていたのではないか・・・・・という印象を抱きました。私がY氏を通じ院側とやり取りをした回数は3回に及びます。Y氏の勧めにより、被害者の今の気持ちとして今回の事件関係者全員宛てに手紙を書いたこともありました。でもどれもが加害者であるA先生には伝わっていなかったのではないかという悲しみすら覚えました。

A先生にも何らかの形で罪を自覚して欲しいという思いがあった私は「微額でもいいので金銭を支払うことを要求して欲しい。院側が何も対策をしていないことが分かった。グループ店全体でなんらかの再発防止策をとってほしい」とK氏を通じて伝えました。するとA先生からは「自分がやってはいけないことをしたのは分かっている」と、金銭の支払いには応じるとの答えが返ってきました。でもそれをY氏から院側に伝えると、Y氏からは院側が非常に感情的になっているとの答えが返ってきました。

「こちらは異動もした。ここまでやっているのにこれ以上やれというのか」

という内容を言っている、ということでした。そもそも向こうは罪を認め謝罪をする立場であるはずです。先方の口からは12月に「傷ついたお気持ちをなんとかしたい」という言葉も出ました。そもそもこちらが要求しているのは
・再発防止策の社内での共有
が主であり、決して過分な要求をしているわけではないと捉えています。

もはや再発防止策さえ取ってくれるのならばお金は要らないとさえ考えるようになりました。しかしY氏と院との間でそこまで話が及んでいない以上、きっとそれは不可能なのでしょう。和解金を払い”なかったこと”にして終わらせようという考えが痛いほど伝わってくるのです。経営者として、再発防止策を講じるコストや時間を無視することはあってはならないと思います。しかしそもそも日本には、たとえ裁判をしても”民事訴訟”である限り加害者側に再発防止策を掲示することを命令する法律がないそうです。非常に納得がいかず、絶望すら覚えました。


前回のnoteをポストしてから、鍼灸師を名乗る方から直接的、間接的なリプライで様々な反応がありました。ストレートに「めんどくせえ」と言う人もいれば「意識の高い方は女性専用の院に行ってください」「当たり屋」「加害者の未来を考えてください」というツイートもありました。女性専用車両に関して頭ごなしに否定的なコメントをする人たちを思い出してしまいました。そもそも鍼灸師の男女比率(いくつかの専門学校のサイトによると男性6:女性4と表示されています。どちらにせよ男性のほうが資格保持者が多いです。)を知っているのかなと思いますし、よしんば”当たり屋”だったとして1年もそこに通う必要なんてないですよね。私は自分の持病のために通院していましたし、不当に高い水準のリテラシーを求めていたわけでもありません。

その方たちには、私が被害に遭ってからどのように生活していたか分かってほしいのです。
自宅に帰れていません。家賃だけを払っている状態です。鍼灸院の近くには薬局もスーパーもありましたが、近づくだけでフラッシュバックのような症状が起き、呼吸ができないという錯覚に陥りました。鬱の診断も出ました。
私は映画が大好きなのですが、暗闇で隣に誰かがいるという状況が怖くなり、映画館に行くこともままならなくなりました。警察に相談したということがおおごとに聞こえたのでしょうが、私は鍼灸院側に事実を確認し、先方が”あってはいけないこと””普通はない”と表現したのです。ここまで手順を踏んだ上で、警察に相談しない理由があるでしょうか?私は他に被害者がいるかもしれない、あるいは今後さらに被害者が出るかもしれない・・・・・ということを考えると、行動せずにはいられませんでした。

「たかがブラのホックぐらいで」と考える人も多いと思います。そもそも私は初診の際に「どこまで(キャミソールなど)脱げばいいですか」と確認しており、下着に関しては何も言われていません。
鍼灸師に背中の施術を許可した覚えはありますが、ブラのホックを同意なくいきなり外すことを許可した覚えはありません。施術が行われるのは個室で、本来ならば信頼できる立場の人間と2人きりです。男性施術者と女性患者という無意識化の上下関係のもとにあります。昨今では病院においても、男性が施術者(医師)の場合、女性患者は自分で下着を脱ぐ、もしくはそれを補助する女性が同席しているのが普通です。
このような時代になってもなお「たかがブラのホックくらいで」と考えてしまう方がいることには悲しみを感じます。

私にとって、鍼灸院とは”安心できる場所”でした。自分が安心できる場所が奪われ、脅かされるということがどういうことなのか想像してみてください。これは性被害です。私の認識は変わりません。このことは今後もずっと訴えていくつもりです。


最後に、もしかしたら同じような被害にあわれたことがある方はかなり多いのではないかと思います。この話を友人に打ち明けると「友達の話」として、整体中に勝手に体を触られたなどの話を何度か耳にしたからです。ただそれを公に言えず、近しい人に相談するしかできなかっただけなのではないかと。
なんらかの形で自己消化できればいいのですが、もしそれが膿のように溜まり、安全で健康な生活さえ脅かしてしまうのならば、そうなる前に信頼できる人に話せるといいなと思います。法律が味方してくれないのが悲しいですが、それは”怒って”いいことだったんです。

読んでくれた方、ありがとうございました。

この件で署名を集めています。賛同してくださる方こちらのリンクから署名をお願いします。

http://chng.it/2hL6yYbV



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