見出し画像

新大久保にある海城学園という①

 新大久保にある海城学園という厳格極まりない、そして女っ気もまったくない男子校に入学した。
 在校当時は入試競争率が38倍という名門受験校ということだったのだが、中学からエレベーターで行ってるオレにはまったく関係のないことであった。
 確か中学の時だったと思うが、学校のイヴェントとして、映画観賞というのがあって、コンクリートの校庭に集合し、列を組んで新宿のミラノ座まで歩いて行った記憶がある。そこで観たものは、あのチャールトン・ヘストン主演の映画史上に燦然と輝く「ベン・ハー」であった。
 これは衝撃的だった。ジュダ・ベン・ハーとイエス・キリストの数奇な運命を描いた思いきりキリスト礼賛の映画であったのだが、ミラノ座の大画面で観る大スペクタクル映画は途中休憩を挟んでの四時間弱という長さながら、まばたきさえもどかしく感じられたくらいに素晴らしい体験であった。
 それまで子供の頃から映画はいっぱい観ていたのだが、ほとんど初体験と言っていいハリウッド映画との出会いをセットしてくれた海城には、感謝の気持ちでいっぱいだ。
 そんなこんなで、オレの遊び場はほとんどが新宿。
 男子校でもあり、路上ナンパは日常の風景として、もっぱら三丁目というか三光町のあたりにたむろしていた。
 いまで言えばクラブということになるんだろうけど、当時、新宿には「The Other」とか「Apple」とかに代表される有名なディスコがいっぱいあって、日が暮れるとあちこちからハンパじゃない数の若者達(笑)が集まってくるのだった。

※このテキストは、かつて第一興商の音楽ファンサイト「ROOTS MUSIC」に連載されていた文章に、大幅に加筆修正したものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?