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海外展示会へ出展する際のポイント ~ ドイツAmbienteを例に

海外進出において、 現地でのPRに勝るものはありません。

2月7日から5日間、ドイツ・フランクフルトで開催された世界最大級のコンシューマーグッズ見本市「Ambiente」。今年は国内外約90カ国から約4600社が出展、うち日本からは約90社が出展していました。コロナウィルスと開催期間中に襲った暴風雨が来場者数を引き下げたものの、延べ約11万人が来場したそうです。

念入りに準備してきた企業にとっては飛躍のチャンスになりますが、一方で、戦略不足だったりすると、多額の投資にも関わらず、結果が今一つ…といったことにもなりかねません。

そこで今回は、海外での展示会を最大限生かすためのポイントをいくつか紹介したいと思います。

1.ブースの場所にはこだわりをもって

事前に調べられるものなら、どこにどういったメーカーが場所取りをしているのかを調べてみてください。展示会場は広大ですから、人通りの悪い場所だったり、あまり自社製品との共通点が薄い商品を扱う出展者が近くに多かったりすると、それだけでデメリットになってしまいます。

展示会によっては、「こういうメーカーの近くにしてほしい」など、展示会の申し込み時に希望を聞いてもらえることもあります。ポジションは慎重に吟味しましょう!

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2.ブースに人を呼び込む工夫を

Ambienteなどは4600社ものブースが出展していますので、訪問者も忙しいです。ブースの前でじっとしていても、なかなかお客さんは立ち寄ってくれません。

よくある手は、お土産や飲み物を配布したり、ブース内にカフェを用意したりするというもの。食べ物系は万人に通用します。それに、賑やかなブースはそれだけでも「売れてる感」が出るので訪問者の興味を引きます。

誰も来ないからといって、しかめっ面をしたり、緊張感を醸し出したりしていると、お客さんは余計に逃げてしまいます。予算に余裕があればパンフレットやお土産などを用意して、前を通る訪問者に笑顔で配布するとよいですし、商品によってはパフォーマンスも有効です。

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3.通訳に一任しない

英語ができるスタッフが社内にいない場合、通訳や展示会用スタッフを雇うケースが多いと思いますが、通訳はあくまで通訳として利用し、商品説明は日本語でもよいので、ぜひ自社の従業員が熱意をもってすることをお勧めします。

従業員が自社の製品に誇りをもっているかどうかを、お客さんも見ています。それは雰囲気で伝わるものですから、積極的なアピールが大事です。英語で話せるだけが異文化コミュニケーションではないので、どんどん熱意を見せてバイヤーに商品の良さを実感してもらいましょう。


4.ブランドイメージを明確に

見本市だからと言ってあれこれ商品を並べてしまうと、ブランドイメージが曖昧になります。どういったイメージを市場に植え付けたいかをよく吟味し、商品ラインナップの統一感を考えて商品選びをすることが大切です。

できれば事前にターゲット市場の商品をリサーチし、価格帯を調べるとともに、どの商品なら差別化を図れるかを考えてみて下さい。これは展示会参加前にできる作業ですから、ここをしっかりやっておくだけで、展示会の成功率を高められると思います。

日本製品はどうしても輸送費等が原因で高価格になってしまいがちですので、市場に類似品があると価格競争で負けてしまいます。どういった商品なら勝負できるか、コスト面も含めて吟味してみてください。


5.トレンドをアピール

今のヨーロッパのトレンドは、「リサイクルプラスチック」「安心・安全の原材料」「エコ・ビオ」「 同一モデルの多色展開」などです。こうしたトレンドに当てはまる場合は、それを前面にぜひ押し出してください。短くてもよいので、ターゲット国の言語で目に付きやすい場所に宣伝文句を掲げておくと関心をもってもらいやすいです。

安全な原材料を使用しているかどうかは、規制の厳しいヨーロッパでは非常に重要です。食品に触れる商品だけでなく、子供用商品を取り扱う場合にもアピールポイントになります。
また、「Made in Japan」への信頼も厚いですから、日本産であればこちらもぜひアピールしましょう。

ちなみに、よくある勘違いに「ドイツ人は英語ができる」というものがありますが、英語よりドイツ語でアピールした方が、当然のことながら、断然効果があります。ターゲット国の訪問者に「お、我々へのメッセージだな」と思ってもらうような配慮を、ぜひしてみてください。

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6.マーケティング材料は最低でも英語版を

ウェブサイトやカタログは最低でも英語版が必要です。ヨーロッパの企業はこうした部分に非常に費用をかけています。このあたりの認識が薄いメーカーがまだ日本では比較的多いような印象をうけますが、ブランディングに欠かせない材料ですので、ヨーロッパ市場に参入するならある程度腰を据えて投資していかれることをお勧めします。

なにより商品を購入したバイヤーがすぐに利用できる多言語材料があった方が親切です。バイヤーは展示会で無数の商品を見ていますので、後から思い出してもらえなくなる可能性もありますし、販売の際に使える材料がなければ、それだけで「もういいや」と思われてしまいかねません。事前に取り除ける障害はすべて取り除き、後は「買っていただくだけ」という状態にしておくのがベストです。

7.伝統と現代を織り交ぜる

伝統産業の場合は、ヨーロッパのトレンドを取り入れてみたり、現代風のデザインにしたりすると、受け入れられやすくなる傾向があるようです。ヨーロッパでも日本文化に関心のある方は多いのですが、伝統色の強いものへ理解を示してくれるのは、コアな日本文化愛好者が多いようです。やはり市場の規模を考えると、多くの方が馴染みやすい、伝統×現代といった商品があるとよいと思います。


…いかがでしたでしょうか?

海外展示会への参加は、大きな投資ですから、最大限次へ生かしていきたいものですよね。Ambienteのようなヨーロッパでの展示会となると、地元の有力企業や老舗メーカーがわんさかきますので、その中にあって少しでも目に留めてもらえるよう、展示会へご参加予定のメーカーさんは、入念な準備をして臨んで頂ければと思います。



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