なきもの

かなしさをのこしておきたくて はじめました

なきもの

かなしさをのこしておきたくて はじめました

最近の記事

かなしみ症候群

名前をつけないといけないですか 言葉はかんたんに 形を定めてしまうから ちがう形かもしれない それを否定してしまうから ペットロス症候群 液晶が発する光が伝えた言葉 そうだね だれかに 言葉にしてもらったらラクだ これはこういうカタチだよ あなたはこういうひとだよ 決めてもらいたくて ほかのひとの言葉を求める 占い 診断 カテゴライズ そうして得られた安心は ほんとうの感情のまえでは役立たずだ 家族をなくしたかなしみを  症候群と安易にしてしまったかなしみ ただか

    • 身代わりのこうふく のーさんきゅー

      かなしみとこうふくは ちょうどになるように  人生はなっている そうだれかが いいました だから 今はかなしくても だいじょうぶだよと でも ちがうんです 今かなしい分 いつかしあわせがくるんじゃない 今まで もらったしあわせの分 今かなしいのです さきばらいされたしあわせが おおきければ おおきいほど この 喪失とかなしみは おおきい だから あの子がくれた こうふくが どれほどだったか 知るために わたしはこのかなしみを たいせつにしたい ずっと抱えていたいの

      • かなしいうた

        かなしい曲しかききたくない だれかわたしのかわりに あの子を悼む旋律をうたって 健全な精神なんてものは ほんとうは存在しないって 本棚にある 数少ない詩集にあった だから 今日もだましだまし いきてるよ あたまのなかは 鎮魂歌と わたしをなぐさめる歌が ずっと なりひびく でも話しかけられれば微笑んで いつものように 世間話 ほんとうは わたしはこんなにかなしいって 叫びたい だれかにしってほしい わたしのこと 知られたくないけど  かなしいってこと 知ってほしい か

        • 空洞

          中身は空洞なのに そうではない顔をして生きていける人間は 果たして欠陥なのでしょうか  生物として供えられた優れた機能なのでしょうか あの子がいない 日常が はじまりました もういないから 日常ではないのに 時間が日常をおしつけてくるから わたしは みなの日常に従ってみせる 電車に乗って いつもとおなじ顔をしてると からっぽが からっぽだよと主張する あの子が埋めてくれてたんだね わたしの いちぶ わたしは かなしい でも かなしいのは わたしだけじゃない なぐさめに 

        かなしみ症候群

          わすれたくない喪失

          あの子がいなくなって一週間 雨が降っていました 雨が悲しんでいてくれるから わたしは悲しまなくていいな 雨は良い ラクになるな 今日の逃避は雨が相方 本当はうそ だってあの子は雷の鳴る大雨に連れてかれた あの子は雷がだいきらいなのに 最低だ 悲しみと向き合いたくないと 空に肩代わりさせようとした あの子をなくしてどう生きていけばいいのか想像できない そういってから一週間 生きていましたよ 吐いても食事をしました 眠りました 仕事だってしました ずっと喪失に向き

          わすれたくない喪失

          寿命の心拍数

          けんこうしんだんで まいとし 不整脈といわれます からだの持ち主はきそく正しいせいかつをしているのに 反抗的 あの子がいなくなって どうしてこんなに寿命がちがうのだろうと 嘆きました たとえやりなおせたって いつかおいていかれてしまう おいていくよりずっといい それでもかなしい 寿命のながい いきもの 検索 脊椎どうぶつのなかで いちばんながいきなのは  カメなんですって なんでも 心拍数が少ないから 鼓動でいのちの残量がへるなら 恋おおきひとは 生きいそいでるのか

          寿命の心拍数

          はれの日

          ねこのおなかは おひさまの においだって そう聞いて ひなたぼっこしてるあの子の おなか  顔を埋めたことがありました クンクン あんしんのにおい この子のにおい おひさまのにおいは嗅いだことがないのでわかりませんでした だって おふとん干したあとのにおいは  ちいさいちいさい 命たちが  焼かれて死んだにおいだもの あれは火葬のにおい そう なにかで読んだ だから わたしは おひさまのにおいを しりません でもなんとなく あの子はしってたんだろうな だって 窓辺

          はれの日

          くうはくのめざめ

          あの子がしんだ かわいいあの子 ちいさくて あたたかで きもちいいけなみ やさしく あいとやすらぎをくれた まだよちよち歩きのころに わたしのところにあいにきた 小さな事故で うしろあしを引きずった きみ それもぜんぶ いとおしくて だいすきだった 安心したすがたで眠るきみが いつもしあわせをおしえてくれた うでにのるおもみ くっついて眠るじかん 永遠であればいいのに といつも願っていたのに 白い窓に 時間の戻し方 と入れて 胡乱な記事を眺める 戻れると信じて いつ 

          くうはくのめざめ