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「パンティー」の恥ずかしさ

このところお仕事で文章を書く機会が少しずつ増えてきた私。好き勝手にブログを書いていた頃よりも格段に、言葉の扱い方や、一つ一つの意味の理解に慎重になっている。

そんな中、久しぶりに直面したこの言葉。「パンティー」

おいでなすった。私がこの人生を歩む中、ずっと避けてきた言葉だ。

下ネタ的な記事ではなく、ごくまっとうな、女性の下着や体に関する記事でのご登場であるから、そこに卑猥な含みは当然ない。普通に女性の下着を意味する「パンティー」なのだが、どうも私はこの単語じたいに卑猥さを感じてしまって、昔から苦手なのである。

どれだけ真面目な書面であっても、例えば、行政の人間ドックの書類であっても、「当日のパンティーは…」などと書かれていたら、「わーーー!!」と言って破り捨てたくなる。

パンツやTバック、ボクサー、ブリーフ、ブラジャーなんかは平気だし、パンティーライナーだとか、パンティーストッキングなど、後ろに何かがつくパターンのパンティーも平気だ。

言葉を調べると「パンティー」とは女性の下着を指す呼び方らしい。「パンツ」は、性別の関係のない下着の呼び方であり、下着以外のズボンなども含む。ちなみにTバックの「T」は、形がTだからであって、パンティーのティーではない。パンティーのティーは「panties」(足の出口が2つなので複数形)と書く。

「女性の…」と性別指定されている言葉だから暗に卑猥さを感じてしまうのか?と思いきや、それでは女性の下着であるブラジャーや、逆に男性の下着であるブリーフが平気なのは何故だろうか?

なぜ「パンティー」だけが苦手なのか。子どもの頃からずっと苦手なのだが、特にトラウマになるような事件にも遭遇していないし、こう感じてしまう理由がわからないのだ。

「パン…」まではいいのに、「…ティー」がでた途端、いやらしい、汚い、口にしたくない、下品、なイメージが湧く。「ティー」という響きが嫌なのかもしれない。

おじさんが「パンティー」と言う場面なんて最悪だ。OL時代の支店長に1人「パンティ」呼びをする方がいて、それはそれは卑猥だった。

支店長自身は上品で知性溢れる、どちらかといえば好印象な中年男性だったのだが、他愛もない雑談中、家族と洗濯物をわけられているという話になり、その流れで「俺のトランクスと娘のパンティと……」と、とうとう「パンティー」が彼の口からご登場するハメになったのだ。

いくら会社の上司とはいえ、中年男性のニヤニヤした顔とセットで、その口、その声で「パンティー」なんて聞かされた日にゃ、仕事中だろうとなんだろうと席を立ち上がって「わーーーー!!!!」である。

申し訳ないけれど、あの方はその後、私の中ではパンティー支店長である。

ちなみに、その会社のエリア統括部長は完全にただのセクハラおやじで、彼の「パンティー」は、ただの「パンティー」ではなく「おパンティー」だった。

みなさまもご存知の「お」。日本のだいたいの言葉を丁寧にできるはずの、「お」。尊敬、丁寧、美化、謙譲といった、日本の素晴らしい文化であるはずの「お」。

これが「パンティー」についた時の卑猥パワーといったらもう、あなたっ!バカッ! 一体どういうことなんですかっ? ただの「パンティー」の100倍は恥ずかしいじゃないですかっ!

「おパンティー」

なんたることかっ! 文字にするだけでもぞわぞわする! はれんちきわまりないっ! 私の中の眼鏡っこシスターが飛び出てくる。立ち上がって「わー!!」どころか、そのままどこまでも走り出してしまいそうである。

当時はまだ平成中期で、セクハラが今よりかなり許容されていたこともあり、エリア統括部長には比較的頻繁に「おパンティー」を繰り出されていたので、彼が臨店する日には朝から「卑猥ブロック」スイッチを頭の中で入れるくらいのことしかできなかった。

彼のことを思い出す時もたまにはあるけれど、あの魔の言葉を思い浮かべたくもないので、シンプルに、くそエロだぬきじじぃと呼んでいる。

外来語に「お」は付けない、というのが「お」の活用ルールなので、あのくそエロだぬきじじいは、ずっと日本語を間違えていたんだ、はっはっは!ばーか!という、今さらなんのダメージも与えられない仕返しを、頭の中で地味にしている。

**

そんな私も、「パンティー苦手」の謎を解けないまま、「パンティー」と仕事で書く時がやってきてしまった。

こんな気持ちのまま、パンティーと書いてもいいのだろうか? もっとパンティーと向き合って、苦手な理由を解明し、克服し、受け入れられないと、いいクリエイティブができないのではないだろうか?

そう思いながら検索していると、なんと自分のパソコンの中で「パンティー」のフォルダを発見した。

「saitonami_パンティー」フォルダー…

は?

なんだこれは…? まさか、やはり私は過去になんらかのパンティーの事件に遭っていて、防御反応として無意識下に置いていたのか!?
これはその時のファイル…??

これを、これを見たら記憶が取り戻せ、苦手な理由が解明するのでは…!?

ドキドキしながら、フォルダをクリックした。

「紙くずかな?パンティかな?どっちかな?」缶バッチ

「PAN-CHA」

パンティーのイラストのデータだった。

思い出した。2,3年前に、オンラインサロン「前田デザイン室」で作った、パンティの缶バッチだ。

私、めちゃめちゃ「パンティー」作ってるやん…

「紙くずかな?パンティかな?どっちかな?」って、めちゃくちゃおちゃらけてるやん…

しかも色展開もしてるやん…


あの頃はパンティーが私の周りを飛び交っていた。あのパンティーはどうだ、このパンティーはどうだ、斉藤さんのパンティーはどうだ。あのときわたしが提出したパンティーも、しっかり缶バッチになっているのだった。

もしかしたら私の「パンティー」も、どなたかの手に渡っているかもしれない。

**

なんだ。私「パンティー」平気じゃないか…

ふざけてないで、早く原稿かこ…


ーおしまいー


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