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#41 赤い月の香り|千早 茜

前作もそうだったが、この本を読んでいると、なんとなくひんやり、と冷たくてほの暗い場所にいるような感覚になる
人間の感覚器の中で、嗅覚はいちばん不思議なものだと感じさせられる物語
匂いや香りの感覚は鋭くて、しつこく記憶に残り続ける
確かに思い出す記憶は、匂いや香りと結びついているものが多い気が
匂いを感じることで、当時の場所や人の表情などがありありと再生される
しっかりと記憶に結びつくその分、心がとらわれてしまうこともある
香りによって呼び出される記憶の奥底にいる、自分でもわからない、深い記憶
正しい執着とは、赦し、と
朔は一香を赦したのかな
離れてはいるけど、より心の距離感が近づいていたような
赤は強いエネルギーの色
衝動、怒り、興奮、血、臭い、生々しさ
情熱、活発、生きる力
赤のもつ強い力に圧倒されてきた満だけど、今後は生きる力に変えて、人生を良い方向に進んでいけそうな結末
今後もの続編に期待したい


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