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#27 一分間だけ|原田 マハ

仕事が大好きな藍
対象に、ゆっくりと日々を送っている浩介、そして友里
藍はどこかそういう人たちを見下しているようだった
仕事に追われ、だんだん浩介や愛犬リラへの感謝も忘れていく
浩介は離れていったが、それでもリラだけは、藍のそばにずっと、いた
純粋に自分を信頼して頼ってくれる存在
傷つけても手をあげても、毎日しっぽをふって100の力で心を全開にして、身を預けてくれる
藍に共感できたのは、プライドの高さ
自分が障壁になるくらいなら、あえてそう仕向ける
そういうことも時間の無駄、と考えていた
時間とか効率とか、そういうことを重視していた
リラの病気があって、浩介は、藍が「もっと大きな人間」になったと言った
藍を大きな人間にしたのは、リラが病気になって、自分にとって大事なものが何かということを認識したこと
もう取り戻せないものもあるけど、周りとの人間関係も変化し、不思議と藍は満たされているようだった
自分にとって大事なものを認識して、それに意識を注ぐこと
自分の内側を変えることで、環境や周りの人間が自然と変わっていくのだと感じた
リラのように、こうにも純粋な存在は、ほんとに愛おしくて、あたたかな気持ちにしてくれる
そういう存在にそばにいてほしいし、そのためには、自分から自分の内側を整えて、自分の気持ちに耳を向け、正直に、素直になることが大事なのかもしれない

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