アップルパイと私の変化

こないだ通ったレストランの話を書いたときに池袋のレストランを思い出した。池袋にちょうど用事があった際に、再訪してみた。道もかなり広く綺麗になっていたし、なんか昔より鬱蒼としていない道を歩きつつ思い出の場所を見に行ったのは新鮮だった。

レストランの話はこちら

同じ場所違うこと

レストランの入っている建物も趣も何も変わっていない中、入り口に大きな植物の垣根があり、だいぶ入りにくかった。勇気を振り絞り中に入ると間取りは当時のままだった。でも、バーカウンターの後ろの席がソファになっていたのと中の照明が暗かった。あと夜のバーで流れていそうなジャズミュージック。懐かしさと違和感が混じるそんな気持ちがした。

変わらない私と

当時の気分でメニューを広げると当時と同じメニューはアップルパイだけ。ダメ元で頼んだ私はあの当時のまま成長していない。頑固で意地っ張り、きっとだから再訪もしたのかも。

「もしかしたら。もしかすると作っている人は変わらないかも。」そんな思いでアップルパイの登場を待った。すぐの登場だったのに、店員さんの動きはスローモーションに見え、出てくるまでの体感時間は長かった。

アップルパイの定義

昔ここで食べたアップルパイは一つ一つがパイになっていて中のリンゴとカスタードフィリング、パイ生地のサクサク感が絶妙なバランスだった。
お皿もかわいいお皿でちょっとずつサクサク崩しながら味わいを楽しんでいた。

そんな予想を覆し、目の前に堂々と出てきたアップルパイは大きいパイホールをカットした一切れだった。美味しいしりんごは大きめカット。ギラギラの照りも上のパイ模様も素敵ではある。

ただ、
あのとき儚いと思うくらいほろほろこぼれたパイ生地は切れにくいほどしっかりとした生地になっていたし、パイの形は四角から三角に変わった。そして中のリンゴはサイコロ型のとろとろフィリングからリンゴ本来の形を維持したままのものとなっていた。クリームも消えていた。

お店も明るくて風通しが良く和気藹々と常連客で溢れていた時とは違った。

そして想像と違うアップルパイを頬張りながら気づいた
「ああこれが変わったということなのね」と。

あの時は大きくて座るのが大変だったカウンター席も今はなんなく座れる。
「ああ私も変わったということなのだ」と。

またあのアップルパイに会いたい

アップルパイは自分の中では好きではあるけど特別ではない存在だった。でも、今回自分の中の「アップルパイ」を見つけて特別扱いをしていたのだと気づいた。あぁここまで自分のアップルパイの正解が明確ならば、自分で再現すればいいのかしらね。あ、でもわたし食べるの専門だった。

いつかどこかでまたあのアップルパイに会えたら、私はきっと泣いてしまうだろう。奇跡だしそんなの。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?