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私たちはプリン


これはcheerleaderの話。私たちの存在価値の話。立ち位置の話。

例えば、プロサッカーのホーム試合をハンバーガーセットに例えたとして、当然ハンバーガーは選手・監督・コーチ陣であり、サッカーそのもの。そしてドリンクはクラブチームの社員さんをはじめ運営や演出にかかわるスタッフさん達。これがなければ試合はできません。サイドメニューはもちろんサポーターの皆さん。サイドメニューがなければ、それはもう単品です。ポテトがみんな好きです…って、何の話?

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で、私たちはそこにきて、「プリン」なんです。もともとセットではないのです。無料なんでどうぞと、サービスでついてくる「プリン」。

「いや、いらんよ。」まず、おそらく一言目には、それが正解で、そもそもハンバーガーを食べに来たお客様にただだからと差し出すプリンは異物でしかなく、違和感でしかない。ただでもいらない人が大半な「プリン」。そう、サッカーシーンにはそもそもcheerleader文化はなく、そのサービスを気嫌う人がほとんどだったはず。当の私も、サッカーにcheerleaderは無理だと思っていました。「肉食べに来とんじゃワレ~」なんです。

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《プリンを、いかに受けとっていただくか。》

それだけを考えてやってきたといっても過言ではありません。「うちのセットにはプリンがついてるんだ!」と、ほかのチームに誇ってもらえるようなプリンになること。自らの存在価値を上げること。ハンバーガー、ドリンク、ポテトと喧嘩せず、引き立てる存在でなければならないし、セットを売るための広告塔でなければならない。ただなら何でもいいなんて、そんなことは一つもなくて、だからこそこだわらなくてはいけないことが沢山あるのです。愛情込めて時間をかけてみんなに愛される味を探してハンバーガーを邪魔しない…こんなプリンがただなんて嘘だろ?と、そう言われたい。何ならプリンが欲しくてセットを頼んだと言われる日を夢見て、長年活動をしてきています。

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でも、やっぱりプリンはプリンなので、何をやってもどうあがいてもいらない人にはいらないのだということも理解していなければいけません。むしろ、それを前提にしていないと私たちの方向はブレてしまうから。そして、ほかのチームもゼリーやフルーツやら何ならドリンクをもう一杯とか、いろいろサービスを付けるようになってきて、プリン付きのセットもそう珍しい部類ではなくなっています。そうなれば、比べられることも増えるし、私たちの味が口に合わない方もいらっしゃるでしょう。「ワシはクリームとかフルーツとかが乗った高級プリンが好きなんじゃ~」とか?「プリン付きだって、だっせ」とか…。

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いらないと思う人が大多数いるのだという前提で、それでもプリンをセットにつけさせていただくために、私たちができる事をこれからもやっていくまでです。なぜなら、私たちはハンバーガーが好きだし、ハンバーガーはセットで頼みたいし、プリンも大好きだから。我らがハンバーガーに合うのは、コテコテ飾らず、まっすぐにシンプルで老若男女に長く愛されるプリンだと思っています。そう正にプッチンプリンのような。スポーティーでかっこ良く、地元とチーム愛にあふれ、いつもキラキラ目を輝かせている、そんなcheerleaderでなければ我がチームのセットにつける価値はない。

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私たちはプリン。セットを売るための、セットをよりよく見せるための、ハンバーガーをより美味しくする、ドリンクやポテトと相性の良い、誰からも愛されるブランドと地元を大事にした素朴なプリン。「やっぱりなんだかんだうちのプリンが正統派だよね。」「セットにプリンがないと淋しいでしょ。」と、言っていただけるように。

そして、私たちに愛情を注いでくれる方たちが増えたとしても、決して驕ることなくプリンであり続ける事。私たちはドリンクでも、ポテトでもなく、何ならサラダでもない。ましてやハンバーガーではないのです。それは、諦めとかではなく、役割であり、立ち位置。こんな私たちをみて、プリンになりたいと目を輝かせてくれる子どもたちがいる以上、私たちは私たちが大事にしてきた味を守りつつ、今求められている形に柔軟に対応しながら、進化し続けなければなりません。

始めた当初に比べたら「いらん」と突き返されることもなく、黙って受け取ってくれる方は増えました。当然のようについてくるプリンを、違和感なく受け取ってくださるけれど、だからこそ、そこに感動や驚きがなくてはダメで、現状維持では衰退です。ハンバーガーの味がうまく出せない時、ドリンクやポテトが冷めてしまった時、プリンがあってよかった、元気が出たと思ってもらわなくてはだめで、ハンバーガーが最高でドリンクが熱々でポテトが揚げたての時にも、うわぁ~プリンきたぁってならなくちゃだめで、そうなるためには、やっぱり「愛」が大事。高級感とか、素材の良さとか、ラッピングとかじゃなくて、うちのハンバーガーとドリンクとポテトへの「愛」が全て。それはすぐに育つものじゃないし、美味しければいいというものではないから難しいけれど、我がチームだからこそセットにつける「意味のあるプリン」を目指して、日々努力し続けるのです。

cheerleaderってそういうこと…でしょ?

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