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【金沢で蟹ではなくて、これいかに】

金沢と言えば、おでん、洋食、寿司と、基本的には認識しており、その体験を記す。
ああ、SST全国経験交流ワークショップが、また対面で開催されて欲しいと願う。SST(social skills training=生活技能訓練)とは、認知行動療法のひとつで、苦労している場面、例えば上司からの飲み会を断る、長電話を切り上げる、雑談に加わる、意見や感想を述べる、遊びに誘うなど、コミュニケーションの場面をロールプレイして、練習するアプローチだ。認知行動療法とはマインドフルネスから暴露療法まで幅広いツールのパッケージで、外的環境からインプットされた情報に対し、私の認知(考え、頭)がどんな風に動き、感情(気持ち、気分、心)がどのように反応をし、身体反応や状態がどうあって、行動をいかにアウトプットしたかを、丁寧にモニタリングする技法だ。感情と身体反応は自然現象だが、認知と行動は、個人の人為的なパターンや偏りや歪みや希求のメカニズムがある。我が与野党の対立をこそ、いつか対話に至って欲しい(ヤジリあいや罵りあいや揚げ足取りの合戦ではなく)。ま、難しいことは置いといて、食べちぎったぜ、金沢。我が頭さんと心さんと体さんが、大層奮起したのであった。


2016年10月某日
【胃腸快調会長の多忙な野望】
デイケア学会in金沢に先週は参加してきた。木、金曜日開催なので、水曜日の夜遅くに金沢入りして、日曜日まで滞在してきた。以下ひたすら備忘録、金沢おでんを7軒食べ比べてみた。

「おでん居酒屋 三幸」2回足を運び、肉団子、がんもどき、海老天、車麩、豆腐、大根、春菊、れんこん団子、梅貝をいただく。出汁がほんのり甘くて優しくて深みがある。
一品料理も色々あって、海鮮とろろ焼き(チーズのせ洋風と鰹節掛け和風のハーフandハーフ)、茹でアスパラガス、ポテトサラダを食べた。デイリーに使いたくなる良店。
「赤玉 金劇パシオン店」ふかし(はんぺんとさつま揚げの中間)、大根、がんもどきと食べて、こちらはキリッとシャープでしゅっとした出汁だった。
「えびす」肉団子、大根、牛すじを頼み、金時草酢のものも。名物女将のブルーアイシャドウに目が釘付けになるが、ここが一番好きかも。味わいに深みがあって、肉団子が特に絶品で、ふるふるとした表面ともっちりした味わいがたまらない。もっと色々頼みたかったが寿司でお腹が一杯だったので、ちょっとしか入らなくて悔しかった。
「いっぷくや」蟹面(蟹擂り身の下には、内子外子蟹味噌が)、大根を。簡易テーブルに座って食べたが、想定外に良い。のどくろ面や海老面が無かったけど、次回はぜひ試してみたい。
「市場飯 あまつぼ」蟹面、大根、がんもどき、豆腐を、それと金時草酢も。丁寧に作られていて、上品な味わい。蟹面は丸ごとの香箱蟹がうっすらおでん出汁を吸い込んで、これは素敵だ。
「黒百合」駅直結で、おでんの大根、おあとは、どて焼き、焼き油揚げを。気軽でお腹に空きがあれば、もっとと思う。
「竹千代」おでんをコースに組み込んだ柿木畠町の小料理屋さんで、鶏団子、松茸、こんにゃくの面白いのや、松茸と秋刀魚炊き込みご飯を堪能した。まるでお寿司やさんや天ぷらやさんみたいな佇まいで、職人気質な食材の扱いへの変態性が素晴らしい。

その他ランチタイムには、
「金沢製麺所」冷やし鶏天カレーうどん、うどんは腰がきっちりな太麺で、クリーミースパイシーなスープを絡める。
「あげは」海鮮饅頭(真子をチョイス)、フレッシュな揚げたてさつま揚げ、刺身(鮪トロ、カジキマグロ、鰯など)、小鉢、鯛味噌汁の付いた定食で、マスターの人柄もあいまって楽しい。
「中村屋」コキール巻き(豚肉でホワイトソースを巻いてある)、みたらし団子のタレような中華あんかけand苦いカレーの合いがけカツ丼を注文するも、ひたすらどれもこれも甘い。独特すぎて評価しづらいが、確実に文化の一角を担っておろう。
「自然派ラーメン 神楽」神楽ラーメン味噌味、餃子(さっくりあっさり)で、どちらも無化調無添加だ。二種類のチャーシュー(真空調理と本物の焼豚)にワンタン、味玉がonされ、麺はプルプル、コクのあるスープがどこまでも柔らかで端整で、その温泉にいつまでも浸っていたい。
「麺屋大河」赤味噌ラーメン辛め葱トッピング、強い日差しの下、列に並び、待ちに待った。スープは小海老、山椒の風味が効いて、ツルポキした固めの麺をすすりこむ手が止まらない。敷き布団のような柔らかさのチャーシューも肉らしい舌触りで、ガツンと来る。普段はラーメンリピート願望は薄めだが、上2軒はアリだ。

さらにナイトライフでは、
「鮨木場谷」あ〜、ざっくりと速球で旨い。エンターテイメント性と味がずれてこない。ぶれのない技術が、応対のフレンドリーさを、軽々と越えてゆく。
「鮨 志の助」こちらはもはや、外すところなし、しかもリーズナブルで、とにかく北陸ネタづくしの良い完成形だ。
「笑宿」は居酒屋以上料亭未満な使い勝手の良いお店で、きっちりした治部煮、パリパリののどぐろ焼きをいただく。道場六三郎さんのお弟子らしい。
「bar漱流」で加賀野菜や果物を使ったカクテル各種を何杯も飲み干した。

4泊5日で合計16軒を巡り、行きたいと目論んでピックアップしたお店をコンプリートした。内訳は夜1、昼1夜4、昼2夜2、昼1夜2、昼3夜1という胃袋も肝臓も休む間もなく酷使され、脳味噌も学会発表を聞いてフル作動だ。
しばらくおとなしく静養しよう・・・と思えども、近江町市場でハツタケ、ウラベニホテイシメジ、サクラシメジ、シモコシ、五郎島金時を購入したので、炊き込みご飯やキノコの塩漬けやさつま芋入り豚汁作りに忙しいのだった。

2017年7月某日
【金沢で飲みちぎったぜ、その1(さすがに長くなりすぎたから2つに分けた)】
先週木曜日は三重県津市にお越しいただいた伊藤絵美先生(ひゃー、格好いい!)に、イメージや五感を用いたマインドフルネスについてご講演していただいた。わかりやすくて、平易な言葉でありながら、臨床の深淵にさらりと引き込まれ、それよりも何よりも、生の声を聴けて、お会いできて嬉しかった。ついテンションがあがり、遅くまで飲む。

翌日金曜日は朝一番で電車に乗り込み、いざ金沢へ。手前の名古屋駅4番ホームで、ついうっかり、冷やしきしめん・揚げたてかき揚げ載せを腹に納めた。だがしかし、向かうべくは、SST全国経験交流ワークショップへ参加するのだ。でも、おやおや、昼御飯は(地元の年輩な方から若手までがわちゃわちゃ集う)金沢カレー「てきさす」にて、 ヤサタマ・鯖カレー・ピラフ(野菜とトロッとオムレツ風玉子の載った、鯖水煮ゴロゴロ具なカレールーのかかった、ピラフ)にチーズロール(豚肉・青紫蘇・チーズ巻きフライ)トッピング、10辛で、あたかも手慣れたジョジョのスタンド使いのごとく(ここは実はカスタマイズが仕放題だ)。
サラダと浅利の味噌汁と共に、マヨネーズをビームしながら、がふがふ食べて、爽やかな甘さの紫蘇ジュースを飲んでごちそうさま。で、炎天下をえっちらおっちら歩いて会場に向かう。

後藤雅博先生の「心理教育と家族支援・SSTの応用」に参加し、家族の応援の仕方を学ぶ。もちろん、手をびしばし挙げて、ロールプレイに出場した。夜は学会に一緒に参加した仲間と「くろ屋」で、のどぐろ炙り、ビーフシチュー、〆鯖、梅貝、金時草酢の物、五郎島金時カリカリ芋天、魚モツ煮、いしる烏賊バター焼き、納豆岩海苔グラタン、あら汁などを食べた。そのあと有志で「bar spoon」でカクテルを飲みまくり、「志な野」にてお茶漬けヤッホーで締めた。ヤッホー、半ヤッホー、ヤホ。お客は我々だけだったが、ヤッホーの噂は伊達じゃ無かった(詳しくはwebで)。

土曜日は午前中に「当事者との協働〜SSTに求められるもの・公開ミーティング〜」で肥田クリニックさんのアグレッシブ&心地よくあたたかなワークショップに出席し、昼間に昭和地下街な洋食屋「カプリ島」にて、シーフードスパゲティグラタン、ビーフシチューピラフ、野菜サラダをシェアして食べた。ここも細かくカスタマイズが可能そうで、金沢市の洋食文化の懐の深さに飛び込む。
午後は真打ち、前田ケイ先生の「アクション技法をSSTに取り入れて活用する」で、サイコドラマの紹介も含め、イメージの面白味に陥る。大好き、前田ケイ先生、とガッと来ると、ひたすらに、かのようでありたいと、願望が膨らみ、だけど私は、もっとひねくれていてピュアではなくハートウォーミングでもなく、たいがい社会から外れていて、悔しいなあ。
悔しいと思えると言うことは、誇らしくもあるが。なぜなら、到達できないブラックホールの謎に接近するホーキング博士ではなく、ただ私は、自分の職業で、滑落するのだもの。ああ、やっぱり好きです、前田ケイ先生のことが、まぁフーリガンのごたる。

【金沢で飲みちぎったぜ、その2(さすがに長くなりすぎたから2つに分けた、しかもこのあとは、ただ食べちぎりな備忘録、前段投稿が比較的まとも)】
土曜日夜は独り(こっからは単独祭りよ)で「鮨 八や」(野々市の「太平寿司」出身)へ乗り込む。ずらりと書かれた本日の魚のネタ(鯨、アカニシ貝、ノドグロ、アラ、ガンドなど)が、手をかえ、品をかえ、摘まみや握りで登場する。とても柔らかな物腰の大将で、ほっこりするのだ。
で河岸(かし)を移り、「京祇園ねぎ焼き 粉」(京都の「かな」で修業した)で、明太子だし巻き玉子(ひらひらと作り方が絶妙)と、ねぎ焼きミックスを頼み完食しながら、やはり「bar spoon」で3時までガツガツ飲んで投宿した。

日曜日は、火照った胃袋をさらに燃え上がらせようと、「さくらチョップ」で豆乳バター海老ベースの、チキン野菜スープカレーを10辛で。具材が想像よりも、あっさりしている。
その後、タイ古式マッサージにゆき、「満天の湯」でひたすらお湯に浸かり、戦意を喪失しぬまま、鮨屋「飛(とび)」へ出向く。ここは「太平寿司」のノドグロの蒸し寿司というスペシャリテがいただける。他にもアホほど旨いもの(うざく、毛蟹、前述の能登あれこれ、たぶん今回トータルでこちらが一番)が繰り出され、気がつけば、外は土砂降り。本当はラーメンにも行きたかったが、大人しく宿に戻る。

三連休の月曜日は、近江町市場にゆき、「金沢おでん いっぷくや」で、海老面おでんと牛筋をちょいとつまみ、金沢カレーパン甘エビバージョンと蟹コロッケを購入して、東茶屋街「みつ川」で、握りで10数貫程(星付きでさすがに悪くはないが、オペレーションが引っ掛かっておこう)、そのあと器を物色して、ぎりぎり「麺屋大河」に行き、辛味噌つけ麺をできる限り辛くでオーダーした。塩分が半端ないが、スープ割りを頼み、最後まで飲み干す。あとを引く旨さだ。

もう、苦しいよね、腹パンパンだよね、と私自身と対話した挙げ句、本来なら金沢駅で「黒百合」か「山ちゃん」でおでんを突っ込むところだが、後追いせずに、帰宅した。
むぅ、数日後まで響く浮腫(むくみ)だよ。でも、今日は医局の鰻祭り(年に一回開催される前倒しな丑の日)で、鰻弁当を昼からがっつきながら息もつかず食べて、もはや目を閉じ腹をさすり眠るしかない。お休みなさい。


・・・オンラインはオンラインの良さはあるが、リアリティーを愛す。アイスの冷たさと透き通る甘さもね。


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