札幌に出る熊のこと

札幌。世界的に有名な観光地であり、福岡市の154万人を超える、195万人の人口を有する政令指定都市である。中心部には、高層ビルが何本も立ち並ぶ日本屈指の都会であり、北海道という地域の事実上の首都であり、北海道各地で高校を出た若者たちが上京する先でもある。

しかし、この”都会"は、熊が出没することでも有名である。

毎年のように、札幌市のxx区に熊が出没、といったニュースが頻繁に報道されるのだ。

それも、ここは北海道。出没する熊の種類は、本州に生息する、小柄な「ツキノワグマ」ではない。体長が2mを超えることも多い、「ヒグマ」である。本州では、熊に襲われた男性が、戦って熊を撃退した、なんてニュースがたまにあるが、ヒグマはとても戦えたものではない。

先日の熊騒動では、自衛隊の駐屯地に熊が現れ、屈強な自衛隊員が吹っ飛ばされ負傷していたほどだ。(命が助かったことを幸運と見なければならない)

私は札幌市の中央区という、まさに札幌の中心の中心に暮らしている。

家を出れば、札幌の大通公園のテレビ塔がすぐ見えるような場所で、自転車で札幌駅までいくことも可能である。

たまに、熊が出たというニュースが流れるが、このような中心部に暮らしている自分には、なにも関係がない話だと感じていた。熊が出たニュースの映像を見ると、とても田舎な感じの風景なので、住所だけ札幌とついてはいるが、全然遠方の話だと認識していた。

しかし、ふと、地図で熊が出た場所を調べてみると、恐ろしいことに、我が家から直線距離で3kmの場所なのである。しばらくして、また別の区で熊が出たが、ここも、我が家から直線距離で3km程度なのだ。

昔、私は横浜で暮らしていたが、その感覚でいうと3kmというのは、子どもでも、歩いていけるほどの距離である。札幌の機能が集中している中心部から、わずか3kmの地点でヒグマが暴れて、人が負傷している。これが日常である札幌に、改めて驚愕したのはいうまでもない。

そういえば、先日、夜にベビーカーを押していたら、真横を、キタキツネが悠然とすれ違っていった。

ここはまさに北海道なのである。




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