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塔2024年1月号若葉集より(好きだなと思った歌10首)

塔の会誌を読みながら、ああいいなと思った歌に印をつけています。印をつけただけだと忘れてしまうので書き写すようにしました。こちらではそのうち10首を紹介します。

心電図みたいに秋を上下して風に透けゐる蜻蛉のいのち/浅野馨

嫌なら出て行けと言われて本当に出ていった日の風の匂い/潮未咲

下町のひだに触れたり真夜中に小路に踏み入りしばし歩めば/臼井裕之

割れもせず分厚きメガネ滑り行くころびしあるじ置き去りにして/川崎雅昭

ライ麦のチーズとろけるトーストにかたち良きわが食ひつきがある/小守くるみ

教室の隅に白い根伸ばしゆくヒヤシンスには児童のなまへ/ダヤン小砂

初めての一人暮らしは家電より造花のバラが信頼できた/土居尚子

涙は海に 海は涙につながってカルピスソーダにコーラを混ぜる/野添はるか

指揮棒の四拍子目の角度持ち君を叩けり不協和音で/林陶子

だれよりもやさしい指でこの頬におちた睫毛を自分でひろふ/藤田ゆき乃

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