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日本は外国人労働者を惹きつけ続けることができるか?

少子高齢化に伴い労働力人口が減少する中、企業にとって人材の確保は喫緊の課題です。

その解決策のひとつとして外国人活用による労働力確保があげられます。ですが、「日本の人口が減るから海外から人材を受け入れる」ことが果たして今後も安定的に可能なのでしょうか?結論から云うと、外国人が日本に来て働くことのメリットを創っていかないと先行きは厳しいようです。以下で説明します。

その1:今世紀末までに世界人口が半減する可能性がある
米国ワシントン大学研究により、世界の人口は2064年をピークに(約97億人)を迎えた後、今世紀末には88億人まで減少するというショッキングな予測が発表されました。研究報告書によれば、日本、中国、インド、タイ、韓国、イタリアに、スペイン、ポルトガル、などの計23カ国で、人口が減少すると予測されています。背景には女性の社会参加が進み、より少ない子ども数を選択するように傾向にあります。つまり自国での労働力が減少すると日本へ働きに来てくれる外国人が減る可能性があるということなんです。

その2:日本との賃金格差の縮小
ご存じの通り、外国人が日本で働くことを希望する理由のひとつが「稼げること」であるのは間違いありません。しかし、2014年~2018年の最低賃金の伸び率をみると、ベトナムが153.9%、上海が151.4%に対し、日本は110.9%となっています。平均給与月額ではまだ日本に優位性がありますが、今後この差は急速に縮小していくと見てよいでしょう。つまり、この点でも外国人労働者の確保が難しくなる可能性があるということです。自国で稼げるのなら海外へ敢えて出ない層が増えるでしょう。

その3:SNSにより日本の労働環境が拡散する
外国人技能実習生が劣悪な就労・住居環境にさらされているという報道を目にされた方も多くいらっしゃると思います。SNSの発達により「風評」の持つパワーが高まっています。日本で働く外国人労働者の多くがでSNSで情報を交換しており、法令違反を繰り返す悪質な企業の情報は一瞬で拡散されます。そうすると外国人労働者からの日本での就労イメージがマイナスなものに置き換わってしまい、人材を惹きつけることが難しくなるでしょう。

外国人の活用は、今後の日本経済や企業の発展に欠かせないものであるという主張が随分前から繰り返されてきました。しかしこれまで見てきたように。外国人材を単なる日本の置き換え、安く使える労働力とみなすのではなく、一緒に働くパートナーとして外国人に選ばれる日本を創っていく必要がありそうです。


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