鉄欠乏性貧血(スポーツ貧血)

育成年代のスポーツ現場では「鉄欠乏性貧血」は出くわす事があり得る内科疾患です。
それに貧血によってパフォーマンス低下だけでなく、スポーツ障害の発生率にも影響します。
現場で従事されているトレーナーの方は必ず頭に入れておかなければならないと思いますよ。

起こるパターンとしては

・大量に汗をかいた時
→汗には微量ながらも鉄が含まれていて、大量に汗をかくと、それだけで鉄も失われます。

・成長期で筋トレしている子
→ 成長期に体が大きくなるのに合わせて、体の中の血液量も増えていきます。鉄は赤血球などの材料にも使われるため、血液量が増えると必要とされる鉄の量も多くなります。
特に1番身長が伸びる時にヘモグロビンを必要とする為、需要が追いつかず、貧血になる可能性あります。当然、持久力に影響し、走れなくなります。
また筋肥大にも鉄は沢山使われるし、他にも少量ですが、皮膚や粘膜の組織、細胞の代謝にも鉄は必要で生命の維持に不可欠です。

・走るスポーツをする子
→マラソンなど走ることで、足の裏に衝撃を受けやすいスポーツをしていると、その衝撃で赤血球が壊れ、ヘモグロビンが尿や便とともに体外へ排泄されやすくなるとも言われています。また、最近では筋肉に貯まった乳酸などのせいで赤血球が壊れやすくなることで起こるとも考えられています。
いわゆるスポーツ貧血(溶血性貧血)と言われているものです。

・二次性徴(成長期)を迎え、生理が始まった女の子
→上述通り、成長期には沢山の鉄が使われます。そこに生理による出血伴えば当然不足状態になります。

があります。

鉄欠乏性貧血かどうかは血液検査ですぐに判明します。
具体的には、

赤血球の数(RBC)
大きさ(MCV)
ヘモグロビン=血色素(Hb)の量 ※赤血球の構成要素でヘムとグロビンから構成
ヘマトクリット値(Ht) ※血液中の赤血球容積の割合
網状赤血球(比較的未熟な赤血球)
血清中の鉄(血清鉄)
体内に貯蔵されている鉄の量を反映するフェリチン(貯蔵鉄)

などの測定で見ていきます。
処置は鉄剤の投与で約4~6ヶ月必要なようで、数週間で変化するものではありません。もちろん食事からの摂取も大事です。
因みに体内の鉄貯蔵量の回復には、最大4週間以上かかる。(NSCA JAPAN 2023.V30.N4記事より引用)

NSCA JAPAN 記事より引用

ただ現場では選手の症状から推測することも必要になってきます。
具体的な症状として、5つに大別すると


顔色が悪い
爪が白い
唇が白い
まぶたの裏が白い
→上記の原因としては、顔面への血液(ヘモグロビン)量減少


頭痛、めまい、耳鳴り
立ちくらみ
集中力が持続しない
否定的な気分状態
やる気が出ない
脚がムズムズしてよく眠れない(レストレスレッグ症候群とかむずむず脚症候群とか言われる)
→上記の原因としては、脳への酸素供給量減少


動悸、息切れ
胸痛
→上記の原因としては、心臓への酸素供給量減少


朝起きられない 首や肩がこる
疲労感、倦怠感
冷え、むくみ
月経不順
頻脈・頻呼吸・低血圧
→上記の原因としては、末梢組織への酸素供給量減少


→その他として
氷食症(氷を食物として食べる)
ビート氷食症尿症(ビートを食べると赤い尿が排泄される)

NSCA JAPAN 記事より引用

因みに私がおすすめの鉄剤サプリメント↓↓↓↓
太陽科学株式会社のクッキンサプリFe

粉末タイプで味噌汁やスープに入れても全く味も変わらず手軽に摂れます。
聞いた話ではサッカー育成年代の代表選手も使っていたようです。
私も選手に薦めたりすることもあります!!


最後に余談ですが、そもそも鉄欠乏性貧血って・・・

貧血のうち9割以上を占めるといわれるのが「鉄欠乏性貧血」
貧血とは、ヘモグロビン濃度の低下によって、血液の酸素運搬能力が低下した状態で、鉄欠乏性貧血は、体内の鉄不足によって生じる貧血のこと。
赤血球は臓器や組織に酸素を運ぶ細胞で、その中にヘモグロビンというタンパク質が存在します。ヘモグロビンは、酸素濃度の高い組織で酸素と結合し、酸素濃度の低い組織で酸素を手放す特性があり、肺で取り込んだ酸素を体の隅々に運んでいきます。このヘモグロビンを作るには、鉄が不可欠です。鉄欠乏性貧血では、鉄分の不足によってヘモグロビンの合成が障害され、貧血が起こります。
ヘモグロビンとは↓↓↓↓
ヘム(鉄成分)とグロビン(タンパク質)から出来ている

赤血球とヘモグロビンと酸素の関係性↓↓↓↓

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