日々の機微(78) 俳句創作の授業 クラスルーム全体での突き返し
昨日は今年度最後の小学校での授業でした。
授業の進め方で大切な禁則
小学校の授業では禁則が大切です。
友達と喋るなどの、何か授業の進捗に支障が発生するたびに注意していたのではキリがありません。だからクラス全体のルールを決めます。
つまり禁則を決めていきます。
禁則とは、「これはしてはいけません!」というルールです。
質問したがりの学年であれば、「質問の回数を制限する」「質問の時間を制限する」などといった禁則をこれまでしてきました。
禁則を決めていると、私が注意しなくても、禁則を破ったときに周りの子どもたちで注意をし合うなど自浄効果っぽいことが発生します。
禁則という定規で俳句を作るのは、和食の八寸を作るのに似ているかもしれません。
八寸は同じサイズの皿に同じ具材を均等に入れてつくる料理です。器のサイズが決まっているので、中に入れる料理の内容もサイズも画一的になります。それと同じで小学校の授業では少しでもエラーを許容すると、収集がつかなくなっていくので、厳格にします。
例えば俳句の授業だと、「五八五」になっちゃったんですけどいいですかー。という質問がよく出ます。それをOKにしてしまうと、クラス全体で575のリズムが関係なくなった俳句が出来上がってしまいます(特に1.2年生は拍感覚が身についていないことが多いので、字余り字足らずを許すとめちゃくちゃになっていきます)
だから杓子定規かもしれませんが、五七五の練習だからリズムは守ろうということを徹底します。
俳句の授業の禁則 題詠を通じた俳句の突き返し
小学校の中学年高学年の方針として、映像を見たり、写真を見たり、吟行をしたり、句相撲をしたりといろんな俳句の作り方を実験しています。そして、もう一つ季語を通じて語彙を増やすということも意識しています。
昨日は「目借時」を使って俳句を作りました。
春、カエルが鳴く頃、眠たくなって、寝落ちてしまう。そんなとき、私たちの目は蛙に借りられている。そんな昔の人のユニークな空想が元になっている俳句です。
その目借時で俳句を作りました。
するとこんな俳句がよく出ました。
○ぽかぽかと眠たくなった目借時
○夢の中蛙がいたよ目借時
○目借時犬と一緒に寝ちゃったよ
どれくらいの割合で出るかというと、クラスの半分以上はこんな感じの俳句です。つまり同じような俳句(類句)の山になりますを
ここで粘るのが昨日の授業で試したことでした。つまり、もう一度目借時で俳句を作ります。同じ季語で2ラウンド目にいきます。
ここで今回新たに試したのが、冒頭でも登場した「禁則」を入れることです。
子どもたちに質問で、1回目の「目借時」を使った俳句に多く登場した言葉を聞きます。
例えば「ぽかぽか」「眠る」「寝る」「蛙」が多かったとします。
では、2回目は季語「目借時」は使いますが、「ぽかぽか」「眠る」「寝る」「蛙」は使用禁止にします。
これが今回の禁則です。
みんな「えっーーーーー」と言います。
ですが、2回目に作った俳句は最初よりも個性的な俳句になります。
今までは出来上がって提出した俳句の推敲点を一人一人に指摘し、突き返していましたが、クラス全体で突き返してみました。
けっこう上手くいったのでもう少しブラッシュアップしたいと思います。
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