樹色について考える6 「樹色の主張と破壊」(川嶋ぱんだ)

第10号では、新季語企画をはじめました。
最終的には一冊の歳時記として発行することが目標です。

なぜ今、新季語なのか。
新型コロナウイルスを契機に年中マスク生活。
インフルエンザが夏でも流行り、秋だというのに30℃の猛暑。
いま季節の概念がどんどん揺らいでいます。

新季語企画自体は、使い古された手なので、似たような企画をどこがやろうとも同じですが、新季語というのは俳句団体にとっては諸刃の剣。やればやるほど自らの首を絞める結果になるかもしれません。

例えば「キャンプ」はこれまで夏の季語として親しまれてきました。
しかし、樹色の季語としては、冬に入れようと考えています。

俳人が1000人いれば999人は冬の季語として入れることに抵抗があるのではないでしょうか。なぜならば膨大に詠まれてきた「キャンプ」の俳句は夏の季語として作られているからです。

しかし、実際、キャンパーからすると夏は虫が多く、暑くて焚き火どころではないので、夏のキャンプが一番適していないそうです。

こういった歪みを歳時記は抱えているように感じます。
他にも公園のブランコ。元々が春を招来する行事だったということで春の季語にされていますが、慣例的に残すべきでしょうか。

こういった季感の歪みは、季語の本質を考えるきっかけになるかもしれません。新季語や季語の捉え直しという作業は俳句全体を再構成する可能性を含んでいます。これからは俳句の内側から俳句を破壊しない限り、長く続いた無風時代はさらに続くことでしょう。
新季語を考えることで、これまでの慣例を破壊したいと思います。

俳句の世界を破壊し構築をしませんか?

それとは少し話は逸れるのですが、会話や作品の端々から主張が感じられることがあります。

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